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34 久々の二人きり
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「……俺、さっき、余計なことを聞いてしまって……すみませんでした」
ルルーがまだアーヴァルのことを好きだと聞いて、レイズンは動揺し、少し落ち込んでいた。
なんせアーヴァルと自分とは先ほどまでそういう関係にあったのだ。尻の奥にはまだ彼が出したものが残っている。
……きっと自分には、ずっとあの重い香水の匂いがまとわりついていたに違いない。
それなのに、ルルーは何も言わず、こうしてハクラシスと会わせてくれた。
「気にしなくていい。ルルーとアーヴァルのことはお前にも知っていて欲しかったことだ。それにアーヴァルのああいうところは、ルルーもよく分かっている。アーヴァルがお前のことを唆した理由の一つに、ルルーのことがあるのは確かだろう。それにお前をいいように扱うことで、俺をコケにすることまでできる」
ムスッとした顔でそう言うと、ハクラシスは自分とレイズンのカップをトレーに戻すと、レイズンのほうに体が向くようにして隣に腰をかけた。
「……レイズン、よく顔を見せてくれ」
優しい声が向けられ、ハクラシスが体を引き寄せようとするのを、レイズンはとっさに手で突っぱねた。
「す、……すみません!」
「……もう、俺ではだめなのか?」
拒否をされ傷ついたようなハクラシスの声色に、レイズンが焦りつつしどろもどもろで答えた。
「あっいや、ちょっと、まだ……その今日俺はアーヴァル様のところにいた訳だし……」
邸宅で脱ぎ捨てたガウンであらかた拭ったとはいえ、さっきまでアーヴァルの出したモノでドロドロだった体でハクラシスに抱きしめられるのは、さすがに抵抗がある。
それを聞いたハクラシスは、眉間にシワを寄せ、
「……分かった。それならきれいにすればいいんだな」
と言いながら勢いよく立ち上がり、足早く部屋を出ていった。
それからしばらくして、大きなタライとタオル、そして湯の入った大きなポットを抱えて戻ってくると、「拭いてやる」と腕まくりをしてレイズンの前に立ちはだかった。
「相変わらず、お前は裸になることに躊躇しないな」
「そうですか?」
言われるがまま部隊服をパパッと抵抗なく脱いだレイズンに、ハクラシスがやや呆れたように言った。
レイズンは裸になることについて、とくに抵抗は感じないタイプだ。
昔から暑いと所構わず上半身裸にはなっていたし、騎士団では何かあればその場で着替えることも少なくない。それに見られて恥ずかしいような体型でもない。
……まあ尻や股間をジロジロ見られたり、そういう目で全身を舐められるように見られるとすれば、話は別だが。
小屋でも風呂上がりはよく素っ裸で歩いて、ハクラシスに怒られていたなと、レイズンは思い出して口元に笑みを浮かべた。
「ようやく笑ったな」
「え?」とハクラシスを見ると、彼は目を細めてレイズンを見ていた。
「今日はずっと泣いているか、沈んだような顔ばかりだった。……せっかく会えたのに、こんな再会にするつもりじゃなかった。すまなかったな」
レイズンは首を振った。
悪いのはレイズンも同じだ。全くの嘘ではないにしろアーヴァルの言葉をそのまま鵜呑みにし、ハクラシスを疑い、話をまともに聞かなかったのは自分だ。
「レイズン、用意ができた。ここに座りなさい」
ハクラシスが袖をまくりながら、レイズンを呼んだ。
見ると床には厚めの敷物が敷かれ、その上にさっきハクラシスが持ってきた大きなタライが置かれている。
レイズンはハクラシスの指示通りに、背を向ける形でタライの中に入り胡座をかいて座ると、ハクラシスがポットの湯を注ぎ始めた。
お湯はややぬるめで、ちょっと冷えていた足がほんのりと温まり、気持ちがいい。
だが下半身が急に温まったせいか、一瞬寒気が走り、レイズンはブルッとわずかに身震いした。
「裸になったから寒くなったか。……少し湯がぬるいかもしれんな」
ハクラシスが湯にタオルを浸し、うっすらと鳥肌の立った背中に押し当てた。
レイズンはその温もりにほーっと息をつく。
「……久々だな、こうしてお前の肌に触るのは」
そう言いながら、レイズンの中途半端に伸びた髪を濡らさないよう手で押さえながら、首筋から背中にかけて拭っていく。
レイズンも温かく湿ったタオルが肌に当てられるたび、その温かさにほっとして、体の強張りが緩んでいくのがわかる。
「少し筋肉がついたか。小屋にいるときよりも逞しくなった気がするな」
「部隊で毎日しごかれていますから」
ここに来てから毎日毎日鬼のような部隊長に散々しごかれ、以前よりも体は大きくなった。特に上半身は、弓を引くための筋肉がついて肉厚になった気がする。
チャプチャプと音を立てながらタオルに湯を含ませて、ハクラシスがゆっくりと背中を拭う。
レイズンは背中を丸めてされるがままになっていると、背中を拭き終わったハクラシスが「次は前だ」とレイズンを正面に向かせた。
「……ん? おい、この腕はどうした」
ハクラシスがレイズンの手首を凝視する。
「あー……これ……」
腕を見るとうっすらと痣になっている。
多分さっきアーヴァルに掴まれた時についたものだ。
痛みはなく、レイズンも言われて初めて気がついた。よく見ると指の形になっているのが分かる。
これまでの呼び出しでアーヴァルに乱暴なことをされたことなどなかったのだが、今回に限ってはちょっと違った。
(いつも言いなりの俺が、珍しく抵抗したのが相当不愉快だったのか……)
そう思う反面、レイズンの反応を見て、無理強いすることを愉しんでいたようにも思える。
(まさかあの手紙もわざと俺が見つけやすいようにしていたんじゃ……)
あのアーヴァルならあり得る。
「この痣はどうしたんだ。訓練中に誰かに掴まれたのか? ……まさかアーヴァルに何かされたんじゃないだろうな」
ハクラシスの低い声に、レイズンがビクリと体を強ばらせると、察し良いハクラシスはすぐに勘付き、ハーッと深く溜息を吐いた。
「……くそっ、アーヴァルの奴め。こんなに乱暴に扱いやがって! 手紙のことといい、人を何だと思っている! ……痛むか? あとでここに湿布でも貼ろう。さあ、顎の下を拭いてやる」
気を取り直すように耳の下から首に沿って濡れたタオルが当てられ、レイズンは慌てて顎を上に向けた。
ぐりぐりと顎の下を拭われた後、チャポンと何度もタオルを濡らしながら、ハクラシスの手は首筋から鎖骨、肩へと移動していく。レイズンはタライの中で胡座をかいたまま、されるがままに目の前にいるハクラシスの顔と頭をじっと眺めていた。
こんなにゆっくりと間近にハクラシスのことを眺めるのは、本当に久々だった。
小屋にいる時は長かった髪も今はサイドがきれいに刈られ、頭頂部はビシッと隙なく後ろに流してある。髭がないことも新鮮だ。こんな唇の形だったんだなとまじまじと観察する。眉の形、睫毛の長さ、頬骨の高さ……この角度からこうして眺められることも珍しい。
「どうした。そんなに俺を見て」
レイズンの視線に気がついたハクラシスが手を止めた。
「……髪の毛切っちゃったんだなって。あと髭も」
「ああ、これか。ここに着いた早々、王陛下への謁見があるのだからと理髪師に整えられた。ついでにと髭も全部剃られてしまった。……髭はあったほうがいいか?」
こくりと頷くと、ハクラシスが心なし嬉しそうな顔で「じゃあ小屋に戻ったら伸ばすか」と言ってくれた。
そして下からすくうようにしてハクラシスが口付けたのを、レイズンも自然と抵抗なく受け止めた。
チュッチュと軽く唇をついばみながら、タオルを持った手が胸の先端を刺激する。布越しに優しく摘まれレイズンが吐息し僅かに身悶えると、手は今度は腹へ、そして湯に浸かった胡座の間に滑り込み、まだ柔らかいペニスとその周囲を優しく拭う。
「……ん……」
ハクラシスの温かい舌が唇と歯列をなぞり、レイズンはそれを迎え入れるように口を薄く開いた。
「あ……、んん…………」
舌と舌が絡み合い、レイズンはハクラシスにしがみつくようにして少し腰を浮かせると、湯の中でタオルが股間と尻の間をさするように往復し、その刺激にレイズンは堪らず腰を揺らしチャプンと湯を跳ねさせた。
「……少し勃ったな」
最後唇に吸い付きチュッと音を立てながら、ハクラシスは確認するように、指先で半勃ちで横に向いたものを撫であげる。
「んー……」
ここがどこかも忘れ、もっと、と見境なくハクラシスの唇を追うと、ハクラシスがもう一度口づけながら、今度は手を背後に回し、尻の間に割り込ませた。そして舌をもつれ合わせると同時に指を穴に挿し入れた。
「……っん」
ゴツゴツとした指が挿入された瞬間、アーヴァルのせいで切れたところにピリッと鋭い痛みが走ったが、レイズンは止めなかった。
そんなことよりも、今はハクラシスの指が欲しかった。
「……あ……っ、く…………」
指を折り曲げ、かき回すようにして中の異物をハクラシスは掻き出していく。
レイズンは思わず小さく声を漏らし、ハクラシスから唇を離すと、彼の肩にしがみついた。
「奴の痕跡を消さないとな」
腰がくだけ、尻が落ちタライの湯が跳ねる。レイズンのいいところに折り曲げた指が当たるたび、ハクラシスを掴んだ手に力が入り、喉の奥から声が漏れた。
「さ、もういいだろう。……どうした、やりすぎたか」
タライの中でくったりとして動かないレイズンに、ハクラシスが慌てた。
「……すみません、ちょっと腰が……あてて……」
久々のハクラシスの指に夢中になりすぎて、レイズンは腰が痛いのをすっかり忘れて無理な姿勢を取り、おかげで腰が抜けて立てなくなっていた。
「すみません、立たせて下さい……」
レイズンは何も言わなかったが(というよりも何も言えなかった)、なぜレイズンが腰を痛めているのか、その理由に勘付いたハクラシスが舌打ちした。
「そういえば庭で会ったときもうまく立てなかったな……。くそっアーヴァルめ……」
レイズンは再びムスッと眉根を寄せたハクラシスに担がれて、ベッドに横たえられた。
ルルーがまだアーヴァルのことを好きだと聞いて、レイズンは動揺し、少し落ち込んでいた。
なんせアーヴァルと自分とは先ほどまでそういう関係にあったのだ。尻の奥にはまだ彼が出したものが残っている。
……きっと自分には、ずっとあの重い香水の匂いがまとわりついていたに違いない。
それなのに、ルルーは何も言わず、こうしてハクラシスと会わせてくれた。
「気にしなくていい。ルルーとアーヴァルのことはお前にも知っていて欲しかったことだ。それにアーヴァルのああいうところは、ルルーもよく分かっている。アーヴァルがお前のことを唆した理由の一つに、ルルーのことがあるのは確かだろう。それにお前をいいように扱うことで、俺をコケにすることまでできる」
ムスッとした顔でそう言うと、ハクラシスは自分とレイズンのカップをトレーに戻すと、レイズンのほうに体が向くようにして隣に腰をかけた。
「……レイズン、よく顔を見せてくれ」
優しい声が向けられ、ハクラシスが体を引き寄せようとするのを、レイズンはとっさに手で突っぱねた。
「す、……すみません!」
「……もう、俺ではだめなのか?」
拒否をされ傷ついたようなハクラシスの声色に、レイズンが焦りつつしどろもどもろで答えた。
「あっいや、ちょっと、まだ……その今日俺はアーヴァル様のところにいた訳だし……」
邸宅で脱ぎ捨てたガウンであらかた拭ったとはいえ、さっきまでアーヴァルの出したモノでドロドロだった体でハクラシスに抱きしめられるのは、さすがに抵抗がある。
それを聞いたハクラシスは、眉間にシワを寄せ、
「……分かった。それならきれいにすればいいんだな」
と言いながら勢いよく立ち上がり、足早く部屋を出ていった。
それからしばらくして、大きなタライとタオル、そして湯の入った大きなポットを抱えて戻ってくると、「拭いてやる」と腕まくりをしてレイズンの前に立ちはだかった。
「相変わらず、お前は裸になることに躊躇しないな」
「そうですか?」
言われるがまま部隊服をパパッと抵抗なく脱いだレイズンに、ハクラシスがやや呆れたように言った。
レイズンは裸になることについて、とくに抵抗は感じないタイプだ。
昔から暑いと所構わず上半身裸にはなっていたし、騎士団では何かあればその場で着替えることも少なくない。それに見られて恥ずかしいような体型でもない。
……まあ尻や股間をジロジロ見られたり、そういう目で全身を舐められるように見られるとすれば、話は別だが。
小屋でも風呂上がりはよく素っ裸で歩いて、ハクラシスに怒られていたなと、レイズンは思い出して口元に笑みを浮かべた。
「ようやく笑ったな」
「え?」とハクラシスを見ると、彼は目を細めてレイズンを見ていた。
「今日はずっと泣いているか、沈んだような顔ばかりだった。……せっかく会えたのに、こんな再会にするつもりじゃなかった。すまなかったな」
レイズンは首を振った。
悪いのはレイズンも同じだ。全くの嘘ではないにしろアーヴァルの言葉をそのまま鵜呑みにし、ハクラシスを疑い、話をまともに聞かなかったのは自分だ。
「レイズン、用意ができた。ここに座りなさい」
ハクラシスが袖をまくりながら、レイズンを呼んだ。
見ると床には厚めの敷物が敷かれ、その上にさっきハクラシスが持ってきた大きなタライが置かれている。
レイズンはハクラシスの指示通りに、背を向ける形でタライの中に入り胡座をかいて座ると、ハクラシスがポットの湯を注ぎ始めた。
お湯はややぬるめで、ちょっと冷えていた足がほんのりと温まり、気持ちがいい。
だが下半身が急に温まったせいか、一瞬寒気が走り、レイズンはブルッとわずかに身震いした。
「裸になったから寒くなったか。……少し湯がぬるいかもしれんな」
ハクラシスが湯にタオルを浸し、うっすらと鳥肌の立った背中に押し当てた。
レイズンはその温もりにほーっと息をつく。
「……久々だな、こうしてお前の肌に触るのは」
そう言いながら、レイズンの中途半端に伸びた髪を濡らさないよう手で押さえながら、首筋から背中にかけて拭っていく。
レイズンも温かく湿ったタオルが肌に当てられるたび、その温かさにほっとして、体の強張りが緩んでいくのがわかる。
「少し筋肉がついたか。小屋にいるときよりも逞しくなった気がするな」
「部隊で毎日しごかれていますから」
ここに来てから毎日毎日鬼のような部隊長に散々しごかれ、以前よりも体は大きくなった。特に上半身は、弓を引くための筋肉がついて肉厚になった気がする。
チャプチャプと音を立てながらタオルに湯を含ませて、ハクラシスがゆっくりと背中を拭う。
レイズンは背中を丸めてされるがままになっていると、背中を拭き終わったハクラシスが「次は前だ」とレイズンを正面に向かせた。
「……ん? おい、この腕はどうした」
ハクラシスがレイズンの手首を凝視する。
「あー……これ……」
腕を見るとうっすらと痣になっている。
多分さっきアーヴァルに掴まれた時についたものだ。
痛みはなく、レイズンも言われて初めて気がついた。よく見ると指の形になっているのが分かる。
これまでの呼び出しでアーヴァルに乱暴なことをされたことなどなかったのだが、今回に限ってはちょっと違った。
(いつも言いなりの俺が、珍しく抵抗したのが相当不愉快だったのか……)
そう思う反面、レイズンの反応を見て、無理強いすることを愉しんでいたようにも思える。
(まさかあの手紙もわざと俺が見つけやすいようにしていたんじゃ……)
あのアーヴァルならあり得る。
「この痣はどうしたんだ。訓練中に誰かに掴まれたのか? ……まさかアーヴァルに何かされたんじゃないだろうな」
ハクラシスの低い声に、レイズンがビクリと体を強ばらせると、察し良いハクラシスはすぐに勘付き、ハーッと深く溜息を吐いた。
「……くそっ、アーヴァルの奴め。こんなに乱暴に扱いやがって! 手紙のことといい、人を何だと思っている! ……痛むか? あとでここに湿布でも貼ろう。さあ、顎の下を拭いてやる」
気を取り直すように耳の下から首に沿って濡れたタオルが当てられ、レイズンは慌てて顎を上に向けた。
ぐりぐりと顎の下を拭われた後、チャポンと何度もタオルを濡らしながら、ハクラシスの手は首筋から鎖骨、肩へと移動していく。レイズンはタライの中で胡座をかいたまま、されるがままに目の前にいるハクラシスの顔と頭をじっと眺めていた。
こんなにゆっくりと間近にハクラシスのことを眺めるのは、本当に久々だった。
小屋にいる時は長かった髪も今はサイドがきれいに刈られ、頭頂部はビシッと隙なく後ろに流してある。髭がないことも新鮮だ。こんな唇の形だったんだなとまじまじと観察する。眉の形、睫毛の長さ、頬骨の高さ……この角度からこうして眺められることも珍しい。
「どうした。そんなに俺を見て」
レイズンの視線に気がついたハクラシスが手を止めた。
「……髪の毛切っちゃったんだなって。あと髭も」
「ああ、これか。ここに着いた早々、王陛下への謁見があるのだからと理髪師に整えられた。ついでにと髭も全部剃られてしまった。……髭はあったほうがいいか?」
こくりと頷くと、ハクラシスが心なし嬉しそうな顔で「じゃあ小屋に戻ったら伸ばすか」と言ってくれた。
そして下からすくうようにしてハクラシスが口付けたのを、レイズンも自然と抵抗なく受け止めた。
チュッチュと軽く唇をついばみながら、タオルを持った手が胸の先端を刺激する。布越しに優しく摘まれレイズンが吐息し僅かに身悶えると、手は今度は腹へ、そして湯に浸かった胡座の間に滑り込み、まだ柔らかいペニスとその周囲を優しく拭う。
「……ん……」
ハクラシスの温かい舌が唇と歯列をなぞり、レイズンはそれを迎え入れるように口を薄く開いた。
「あ……、んん…………」
舌と舌が絡み合い、レイズンはハクラシスにしがみつくようにして少し腰を浮かせると、湯の中でタオルが股間と尻の間をさするように往復し、その刺激にレイズンは堪らず腰を揺らしチャプンと湯を跳ねさせた。
「……少し勃ったな」
最後唇に吸い付きチュッと音を立てながら、ハクラシスは確認するように、指先で半勃ちで横に向いたものを撫であげる。
「んー……」
ここがどこかも忘れ、もっと、と見境なくハクラシスの唇を追うと、ハクラシスがもう一度口づけながら、今度は手を背後に回し、尻の間に割り込ませた。そして舌をもつれ合わせると同時に指を穴に挿し入れた。
「……っん」
ゴツゴツとした指が挿入された瞬間、アーヴァルのせいで切れたところにピリッと鋭い痛みが走ったが、レイズンは止めなかった。
そんなことよりも、今はハクラシスの指が欲しかった。
「……あ……っ、く…………」
指を折り曲げ、かき回すようにして中の異物をハクラシスは掻き出していく。
レイズンは思わず小さく声を漏らし、ハクラシスから唇を離すと、彼の肩にしがみついた。
「奴の痕跡を消さないとな」
腰がくだけ、尻が落ちタライの湯が跳ねる。レイズンのいいところに折り曲げた指が当たるたび、ハクラシスを掴んだ手に力が入り、喉の奥から声が漏れた。
「さ、もういいだろう。……どうした、やりすぎたか」
タライの中でくったりとして動かないレイズンに、ハクラシスが慌てた。
「……すみません、ちょっと腰が……あてて……」
久々のハクラシスの指に夢中になりすぎて、レイズンは腰が痛いのをすっかり忘れて無理な姿勢を取り、おかげで腰が抜けて立てなくなっていた。
「すみません、立たせて下さい……」
レイズンは何も言わなかったが(というよりも何も言えなかった)、なぜレイズンが腰を痛めているのか、その理由に勘付いたハクラシスが舌打ちした。
「そういえば庭で会ったときもうまく立てなかったな……。くそっアーヴァルめ……」
レイズンは再びムスッと眉根を寄せたハクラシスに担がれて、ベッドに横たえられた。
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