クズ男はもう御免

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14 ハクラシスが作っていたモノ

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「小隊長殿、何を作ってるんです?」
 
 雪が降り始めてから4日。
 ドアを少し開け、外の様子を確認していたレイズンは、今日の雪はやみそうにないと嘆息し、ハクラシスを振り返った。
 
 家の中で暇を持て余すレイズンとは違い、ハクラシスは何かと用事を作っては、一人ゴソゴソと仕事をしている。
 今日はというと、何やら木を棒状に削り、ヤスリをかけていた。
 
「さあな。また使う時に教えてやる。ところで雪はどうだ。だいぶ積もっているのか」
 
「昨晩で結構積もりましたね。雪の壁みたいになってて、高さは今俺の肩くらいです。これじゃもう外で遊べないです」
 
 レイズンはガッカリしてそう言った。
 
 昨日までは吹雪いたりやんだりを繰り返し、小降りになれば外に出ることもできた。
 
 雪が珍しいレイズンはそのたびに外に出て、まっさらな柔らかい雪の中に飛び込んだり、雪の塊を作ったりして、はしゃぎにはしゃいで遊びまくった。
 
 肌を刺すような寒さなのに、ふわふわの雪で遊んでいる間は、なぜか寒さをあまり感じない。レイズンは夢中で遊び倒し、クシャミをしてはじめて全身がびしょ濡れになっていることに気づいたくらいだ。
 
 かじかんで真っ赤な顔で家に入ると、ハクラシスにはしゃぎすぎだ馬鹿者と怒られたが、それでも性懲りもなく毎日雪に突撃しては、真っ赤な顔で鼻水を垂らしながら帰ってくるというのを繰り返していた。
 
 だが、流石に壁になるほど雪が積もっては遊べない。
 
 家の中で本でも読めばいいのだが、レイズンの場合やはり外で体を動かすのが一番楽しいのだ。
 
「雪の壁にスコップで穴を掘ろうかな」
 
「おい、そのまま掘り進んで、トンネルの中で崩れた雪に埋もれるとか冗談じゃないぞ」
 
 雪の壁にスコップ片手に突進していく気満々のレイズンに、ハクラシスは呆れた声を出した。
 
 浅く穴を開けて楽しむだけなら良いが、奥まで掘り進み、上から崩れて大変なことになるのが目に見えている。
 自ら遭難するような危険な遊びだけはやめて欲しかった。
 
「雪のトンネルも楽しそうですね!」
 
 ハクラシスの言葉に目を輝かせたが、「いい加減にしろ」という目線に「冗談です」と諦めた。
 
「雪がやめば嫌というほど雪かきができるぞ。屋根の雪下ろしだってあるんだ。そのとき存分に雪と遊べ」
 
 ハクラシスはそういうと手に持っていた歪な形の木片を、ぽしゃんと傍らに置いていた水の入った桶に落とした。
 
「出来上がったんです?」

「ああ。いずれ必要なときが来たら使い方を教えてやる」
 
 レイズンはそれが何なのかとても気になったが、そのうち見せて貰えるだろうとそれ以上は詮索しなかった。 
 
 
 
 夜になると雪は吹雪に変わり、窓の外からは風が吹きすさぶ音が聞こえる。静かな家にその音はよく響き、まるで獣の咆哮のようでレイズンはどことなく落ち着かなかった。
 
「小隊長殿、今日はコレ開けましょうよ」
 
 レイズンは食料庫から大きな瓶を引っ張り出した。
 それは冬が来る前にレイズンが仕込んだ果実酒だった。
 酒で気を紛らわそうという魂胆である。
 
「小隊長殿見てください! 色がきれいに出てますよ。それにめちゃくちゃ美味そうじゃないですか?」
 
 レイズンは瓶を持ち上げてランプの光にかざした。
 
 漬けた果実が溶け込んだような真っ赤に染まった酒は、光に透けてキラキラと美しく、酒というよりも甘いジュースを連想させる。
 
(小隊長殿の秘蔵の酒を使ったから、きっと美味いぞ~)
 
 瓶をそのままドンッとテーブルの真ん中に置くと、レイズンはいそいそとカップを2つ持ってきた。
 本当ならその奇麗な赤い色を楽しむための透明グラスが欲しいところだが、あいにくそんな洒落たものはこの家にはない。
 
 いつものように不格好な木のカップに、ドボドボと惜しげもなく注ぎ入れると、強い酒の匂いに混じり甘い芳香が辺りに漂い、レイズンは上機嫌でカップを差し出した。
 
「さ、小隊長殿、どうぞ!」
 
「レイズン、お前は薄めて飲みなさい」
 
「え、大丈夫ですよ! 俺が酒強いのご存知でしょう?」
 
「あ! おいまて!」
 
 忠告するハクラシスを無視して、レイズンはカップの酒を一気にあおった。
 
 この果実酒に使った酒は、ハクラシスが引き籠もるこの雪の時期にせめてもの慰めにと買っていたものだ。かなり強い酒で、普通はチビチビと時間をかけて飲む。
 
 いきなり一気にあおっていい酒じゃない。
 
「うはーっ、うま! ……あー後味はちょっと苦酸っぱいかな」
 
「人の忠告を聞け」
 
 ハクラシスが立ち上がり水を持って戻ると、なんとレイズンはすでに二杯目をあおっていた。
 
「ぷはー!」
 
「変な酔っ払い方をする前に、次からはこっちを飲むんだ」
 
 そう言って水で薄めたものを作り、手に持たせてやると、レイズンはそれもすぐに飲み干し「うっす!」とぼやいた。
 
「お前な……」
 
 席に戻ったハクラシスが呆れた顔をするとと、レイズンはぽやーっとした表情でへへへと陽気に笑う。
 
「小隊長殿も飲んでくださいよ~! これすごく美味いですよ」
 
 ふらふらと立ち上がり、レイズンは椅子に座るハクラシスの背後に回ると、後ろから覆いかぶさるようにして、酒の入ったカップを差し出す。
 
「……お前もう酔ったのか」
 
 ハクラシスが訝しげな顔でカップを受け取ると、レイズンは「にへへ」と無邪気な顔で笑う。
 
 ハクラシスが受け取ったカップの酒を飲み干すと同時に、レイズンはカップを手から奪い取り、酒でほんのり色付いた唇で口づけた。
 
「んー……」
 
 チュッチュッと啄むように吸い付きながら、レイズンは椅子に座るハクラシスの上に強引に跨がった。
 
「おい……」
 
 口では咎めてはいるものの、ハクラシスも押しのけたりはせず、レイズンの好きなようにさせている。
 上気した顔で舌を求め、落ち着きなく動く腰をハクラシスがそっと手で支えてくれている。
 
「へへ、小隊長殿、俺酔ったみたいです」
 
「そうみたいだな」
 
「……ちょっとエッチな気分です。今日はこのまま、ここでしてくれませんか」
 
 レイズンがハクラシスの耳元に顔を寄せながら、熱く吐息する。
 
「……どうして欲しいんだ?」
 
 ハクラシスが意地悪く答えると、「うーーー」と変な声をあげて、「……今日は後ろもいじってほしい」と恥ずかしそうに小さな声で囁いた。
 
 
 
 
 ——本当のことを言えば、レイズンは酔ってなどなかった。
 いや、大胆な行動を取れる程度には酔ってはいる。ほろ酔いの、いつもより少し陽気で強気なレイズンだ。
 
 酔った演技は、今日一日ハクラシスに相手にされず暇を持て余したレイズンの、ちょっとしたいたずら心からだった。
 
(俺から誘わないと小隊長殿、全然触ってくれないんだもんな)
 
 何もしてはくれないが、ねだればなんでもしてくれる。
 要はねだらないと何もしてくれないのだ。
 
 不能だから、興奮できないから乗り気じゃないのは分かってる。でも前を扱いてくれるだけじゃなくて、そろそろ後ろだって触って欲しい。
 
 
 
 
「あっ……」
 
 ズボンの隙間から尻の割れ目に沿ってハクラシスが手を滑り込ませ、窄まった後孔を指でぐりっと撫でた。
 指は中に入ろうとはせず、周囲を優しく撫でるのみ。
 
 後孔はパクパクと口を開けては、なかなか入ってこない指の先を、懸命に飲み込もうとするが、ハクラシスの指は、レイズンを焦らすように中心を避けては会陰のあたりを撫であげていく。
 
「あ……もっと、中…………」
  
 窄まりの中をこじ開けて欲しいと、レイズンは懇願するように腰を揺する。
 
「……この体勢だとお前を支えないといけないから、前は自分で扱きなさい」
 
 そう言ってしがみつくレイズンの右手を掴み、下に持っていく。
 レイズンの前は、もう隠しきれないほど硬く勃ち上がり、ズボンを少しずらすと引っかかった先端がベチンと腹に当たりながら現れた。その先はもう露で濡れている。
 
「あ……小隊長殿……早く」
 
 片手で自分のモノを握りしめ、レイズンは腰を浮かせてハクラシスにしがみつく。
 
 ——こうやって密着すると、ハクラシスの股間がまったく反応していないことがはっきりと分かる。
 わかってはいてはやはり目の当たりにすると、心がズキンと痛む。それでも勃たないハクラシスに求めてしまう自分は、ひどく欲深いのだろう。
 
「あっ!」
 
 ヌプッとハクラシスの節の高い細く長い指が、レイズンの中に滑り込む。待ちに待った感触に、レイズンの体にゾクゾクとしたものが走った。
 中を探るように四方に動き回る指に、思わず体がくねり、熱い吐息が漏れる。
 
(や、やっぱり小隊長殿の指、すごい……)
 
 騎士団のあの部屋で、ラックに中出しされた揚げ句、放置された日を思い出す。まさかあのハクラシスに、本気で尻をいじって貰える日がくるとは。
 
「どうしたレイズン。そんなにこの指がいいのか」
 
「んー~~~っ! だめ、あっ、そんなにかき回したらっ」
 
 ハクラシスの肩に顔を埋め、尻の中をかきまわす指にあわせて、自身のペニスを必死に扱く。焦らすように動く指に、鈴口からは透明な汁がダラダラとこぼれ落ちていく。
 
 二本、三本と指が増えてはいくが、なぜかレイズンのいいところには掠める程度で、なかなか触れてくれない。
 
 こう焦らされては、大きな絶頂感も来そうで来ず、ひどくもどかしい。
 あと少し。あと少しなのに。
 
「あっーー……小隊長殿ぉ、もっと、もっと気持ちいいとこっ……触って……」
 
 そうおねだりした瞬間、ぐりっとハクラシスが中のしこりを指で抉った。
 
「ひっ」
 
 腰に電気が走ったようにビクビクと痙攣すると、先端から白濁がビュッと噴き出した。
 
「あ……あ……あ……」
 
 くたりとしてハクラシスに体を預けるも、まだ右手は出したものを潤滑油にして、自身のモノをしつこく扱いている。
 
「どうした? ん? ……まだ出し切れないか? ……レイズ」
 
 レイズンは体を起こすと、恍惚とした表情でハクラシスを見下ろし唇に貪りついた。
 
「……ん……」
 
 終わったとばかりに止まった指を、まだ止めてくれるなと催促するかのように腰を動かし、片手はややくったり気味のペニスを扱き続けている。
 
「ん……ん……はふ……」
 
 腰を振りながらレイズンは夢中でハクラシスの舌を追い、絡めては吸い付いた。歯列をなぞり、口内を蹂躙すると、がぶりと唇に噛みつく。
 
「……ん、分かった、分かったから、少し離れなさい」
 
「あ……いやだっ」
 
 ハクラシスは尻から指を引き抜き、しがみついてくるレイズンを引き離しながら、よだれてベトベトになった髭を手で拭う。
 
 そして同じくべとべとのレイズンの口周りを指で拭ってやると、悲しそうな目で見るレイズンの頬へキスをした。
 
「そんな目で見るな。続きはベッドでしてやる」
 
 ハクラシスは、自身と同じくらいの身長のレイズンを軽々と抱き上げると、ハクラシスの部屋のベッドに寝かせた。
 そして「少し待ってろ」とキッチンのある部屋に消えると、レイズンが吐精し汚した上衣を一枚脱ぎ、軽装になってそして何かを手に持って戻った。
 
「……? なんです? それ」
 
 ハクラシスが持っているのは歪な木の棒。あれは確か、ハクラシスが今日作って水桶に投げ入れていたものだ。
 
「これは張型だ」
 
「……へ?」
 
 レイズンがポカンとして差し出され手にあるものを見た。
 
 妙に湾曲した歪なソレは、ハクラシスの手首から指先くらいまでの長さで、先は丸く、たしかに男性のペニスと言われたらそれに近い形だ。
 
 でもそれをどうするのか頭が理解せず、「へ? へ?」と間抜けな声を出して、レイズンは木の棒とハクラシスを交互に見た。
 
「この木は通常だと硬いが、表皮を剥いで削ってやると水を吸収する層が現れる。こんな風に水を含ませると、この層だけ表面が膨らみ柔らかくなるんだ。……張型の素材として有名な木だ。この前偶然見つけて面白いから伐っておいたんだが……まさか使うことになるとはな」
 
「使う?? 俺に??」
 
「……そうだ。もしかして嫌か? 俺のモノは役に立たないから、レイズンも不満が溜まるだろうとこれを作ってみたのだが……使ってみるか?」
 
 レイズンはハクラシスの手の中の張型を見つめ、ゴクンと喉を鳴らした。
 
 
 
 
 相変わらず服を着たままのハクラシスとは対称的に、上も下も汚してしまったレイズンは裸にされ、うつ伏せで尻を高く上げさせられた格好のまま、枕にしがみついていた。
 
 後ろは先程散々指でいじって貰ったから、すぐにでも張型を受け入れらるだろう。だが、はじめての性具にレイズンは少しビビっていた。
 
 ——それにこの這いつくばるような姿勢は、男たちに押さえつけられたあの時のことを思い出させ、少し息が苦しくなる。
 
「小隊長殿……、やっぱりこの体勢は嫌です。顔を見てやりたいです」
 
 潤んだ目でハクラシスに手を差し伸べると、理由をなんとなく察したのか、何も言わず差し出された手を取り横に並んで寝そべると、レイズンに軽く口づけた。
 
 そして片足を担ぎ上げ、尻を割って広げると、窄まりに張型の先を押し当てた。
 
「ひっ」
 
 怯えてギュッとしがみつくレイズンに、緊張を解くように優しく口づけながら、先端をぐっと挿入させる。
 
「は…………あ…………」
 
 まつ毛を震わせ熱い息を吐いたレイズンの反応に、いけそうだと感じたのか、ハクラシスは一度ギリギリまで引き抜くと、一気に挿し込んだ。
 
「ひゃ…………あっ」
 
 いいところをかすめ、息を呑んだレイズンの体がビクンと弓形に沿った。
 
 正直言って柔らかいとはいえ所詮木だ。本物のペニスに比べ、やはり硬すぎて異物感が凄い。だが中を擦られる感覚は、分かりやすく暴力的だ。少しでもしこりに当たると、強く抉られたような衝撃が走る。
 
(……これって慣れてないと扱い難しいんじゃ……)
 
 慣れない者が適当に扱っても、おそらく気持ちよくなれない。乱暴にすればきっとただ痛いだけだ。
 
 レイズンは手慣れた様子のハクラシスに、少しばかり嫉妬心が芽生えた。
 
(あーやっぱり奥さんと使ったりしてたのかな)
 
 こういうものは主に女性に使うと聞く。しかし素材になる木など、普通なら興味などないはず。自分で削り出しちゃうくらいには、使い慣れていて、詳しいということだ。
 
「……どうした? 痛かったか」
 
 心に芽生えた妙な嫉妬心を見透かされないよう、レイズンはハクラシスにしがみつく。
 
「ん……大丈夫。もっとして、小隊長殿……」
 
「……そろそろその呼び名もどうにかしないとな」
 
 ハクラシスは棒をはじめはゆっくりと、しだいに早くなるようにして抽挿させ始めた。
 
 ぐちゅっぐちゅっと音を立てて、棒が中を行ったり来たりする感覚に、レイズンは堪らず腰を上下に揺り動かす。
 
 中を擦られるのがひどく気持ちがいい。太さは少し細めだが、それはたいした問題じゃない。この硬いものが適度な間隔で中の壁をズリズリと往復するだけで、頭がぼうっとしてくるぐらい気持ちがいい。
 
「あっ……ん……そこ、すごい…………気持ちいい…………うあっ」
 
 レイズンは快楽に集中するかのように目を閉じ、はーはーと熱い吐息と共に喘ぎ声を漏らす。
 途中しこりをわざと抉られると、悲鳴のような声をあげては体をビクビクと震わせた。
 
「ひぃぁ……んん……っ」
 
 もう堪らず張型の抽挿のリズムに合わせて、レイズンは自分で前を扱きだす。鈴口からは透明な汁が溢れ出てヌルヌルとし、手を這わせるだけで自然と上下に動いていく。
 
「あっあっあっ、いや、イク、あっ、気持ちいいっ」
 
 ハクラシスが手の動きを早めていく。確実にレイズンのいいところを狙い、かつ痛まないよう快感だけに注力させる。
 レイズンの体が硬くなり大きく反り変えると、ハクラシスもトドメとばかりに、ギリギリまで引き抜いた張型を奥まで突っ込んだ。
 
「ひゃっ…………あっ………………」
 
 張型が抜けなくなるくらいギューッと中が締まり、レイズンは勢いよく吐精した。
 
 手で前を扱くだけの時よりも、かなり激しい絶頂だ。硬直した体が、吐精が終わり脱力すると、ようやく後ろが少し緩みだした。
 
 ハクラシスは余韻を愉しむようにゆっくりと、くぷっくぷっと中をかきまわすように張型を抜き挿しする。
 
「あ……やだ…………も、またイク…………」
 
 中が敏感になっているのか、少しでも腸壁に触れると腹の奥がキュッとなり、それと同時にピュッと少量の白濁が噴き出てくる。
 
(……やっぱりやけに手慣れてるよな)
 
 もしかして結婚する前までは、ハクラシスも相当遊んでいたのかもしれない。
 
 少しばかり猜疑心のこもった目でハクラシスを見ると、「どうした? 物足りなかったか?」と優しくキスをし、口内を愛撫するように舌を絡めた。
 
 ——こりゃモテなかったはずがない。
 
 そりゃ長く生きてるんだからそれなりに経験だってあるだろう。
 
 ……とは思うものの、よく考えたらキスだって手慣れてる。このキスもすごく気持ちがいい。その髭の下には整った顔が隠れていることだってレイズンは知っている。
 
 そもそも長く騎士をやっていた男が、モテなかったはずがないのだ。
 
 レイズンは性具という思いがけない体験に満足しつつも、堅物だと思っていたハクラシスの意外な面を見た気がして、嬉しいようなしんどいような、複雑な気持ちでこの夜を終えた。
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