12 / 66
12 大いなる勘違い
しおりを挟む
レイズンは小屋に続く暗い山道を、ハクラシスに上腕を掴まれたまま歩いていた。
酔いはすっかりと覚め、もうよろけず歩けるのに、ハクラシスは腕をしっかりと掴んだまま離してくれない。
レイズンはほとんど引っぱられるようにして、山道を歩いていた。
以前は生い茂る草木で獣道同様だったこの道も、寒くなった今は立ち枯れて、広く歩きやすい。
おかげでレイズンは、ハクラシスに腕を掴まれたままでも、草木に足を取られずに済んだ。
(まずい。小隊長殿すごく怒ってるな……。なんでここまで飲んじゃったんだ俺は)
腕を掴んだまま無言でずんずん歩くハクラシスを見ながら、レイズンはどう謝るべきかとそのことばかりを考えていた。
少し飲んで帰る程度ならハクラシスも怒らなかっただろう。
だがまさか時間を忘れ、酔い潰れるまで飲んでしまうとは……。しかも家の仕事を放置して遊び呆けるなんて、そりゃ怒られて当たり前だ。
……それにこんなに遅くなって、きっとひどく心配したに違いない。
「あ、あの、……小隊長殿、すみません、俺……」
「…………」
レイズンが何かを言ってもハクラシスは無言のままだ。とても気まずい。
道が開けて小屋が見えてくる。
暗闇に魔獣避けの斧がぼんやりと光り、その家の周囲にはハクラシスが用意した戸板が立て掛けられているのが分かった。
ハクラシスは小屋のドアを開け、レイズンをぐいと室内に押し込んだ。
明かりを灯すと、おろおろするレイズンを尻目に、自分はいつも座る椅子にドカッと腰を下ろし、気を鎮めようとするかのように細く息を吐いた。
レイズンは、持っていた肉とドライフルーツの入った袋をテーブルの上にそっと置いた。
「小隊長殿……、その……」
もう一度あらためて謝罪しようと口を開くと、ハクラシスがそれを遮った。
「……謝罪はいい。レイズン、金をたかられたとか、本当にそういうことも何もなかったんだな?」
「はい、何もありません。ただ……ちょっと一人で街へ出て浮かれてしまっただけです」
「それならいい。……俺はお前にああしろこうしろと言うつもりはないし、ルールで縛り付けるつもりもない。だから今日みたいに、一人で街へ出て酒場で飲んだり、誰かに会ったりするのはお前の自由だ。好きにすればいい。……ただ何も知らされていないと、何かあったのかと心配する」
「はい……すみませ……」
「謝罪はいい」
怒りを隠し諭すように話すハクラシスに、レイズンはシュンとして肩を落とした。
もしかして呆れられてしまったのだろうか。
……これ以上聞きたくないし話しもする気がない、そんな突き放したような言い方だ。
もう何も言いたくないほどガッカリさせてしまったのだとしたら……。レイズンは泣きたくなった。
どうせなら小隊にいた頃のように、ガミガミと怒られたほうが、謝罪し挽回する余地がある分まだマシだった。
「レイ……」
レイズンがしゅんとした顔で黙って突っ立っていると、ハクラシスが何か言いかけた。
呼ばれた気がしてレイズンが顔をあげると、ハクラシスは何も言わず口をつぐんでしまった。
そしてしばらくの沈黙のあと、もうこの話は終わりだと言わんばかりに、ハクラシスが就寝の時刻を告げた。
「…………レイズン、夜も遅い。酒が入っているから眠いだろう。もう寝なさい」
「……はい……。おやすみなさい」
きっと本当はまだ怒っているのだろう。
ハクラシスは他所を向いたまま、一度もレイズンを見なかった。
こんな気まずい雰囲気で一日を終えるのは初めてで、言い訳することも許されなかったレイズンは、肩を落としたまま自室に入った。
酒はまだ体に残ってはいたが、酔いなどもう体のどこにも残ってない。頭はいつも以上に冷えて醒めている。
(俺、小隊長殿に見放されたのかな)
もっと何かいろいろ言われるかと思ったのだ。
レイズンを連れてきたブーフのことや、なんでこんな時間になったのかとか、根掘り葉掘り聞かれるかと思ったのに。
結局何も聞かれず『自由にしろ』と突き放されたのだ。
こんなしょうもないことで嫌われるか? とも頭の片隅で考えたが、信頼とはほんの些細なことで失うものなのである。
ブーフには、また後日飲もうと断っていればこんなことにならなかったのだ。
ブーフは悪くない。
……いや、そんなこともない。事の発端はブーフだ。
ブーフにも責任の一端はある。
でも久々にできた年の近い友人に、浮かれた自分が一番悪い。
枕に顔をグリグリと押し付け、レイズンは反省と後悔を織り交ぜながら、一人唸り悶々とした。
——そんなふうにレイズンが眠れぬ夜を過ごしたこの夜、この山には今年最初の雪がハラハラと舞い落ちた。
小さな花弁のようにふわふわと舞い落ちる雪は、二人の住むこの小さな家を冷たく包んだ。
「小隊長殿、雪が降っていますね」
朝起きるなり、レイズンは部屋から顔を出し、キッチンのある部屋にいたハクラシスにそう声をかけた。
昨晩のことをまだ引きずってはいたが、雪のおかげで何気なさを装い声をかけることができた。
だがハクラシスの返事はそっけなく、「ああ、そうだな」と、それだけだった。
いや、いつも言葉数は少ないのだが、それでももう少し「はしゃぐんじゃないぞ」とか「今日は暖かくしておきなさい」とか、そんなことを言ってくれたり、嬉しそうなレイズンの様子に少し笑ってくれたりとかしてくれるのだが。
(……やっぱりまだだめか……。これ以上嫌われないように大人しくしないとな……)
これ以上言うべき言葉が見つからず、すごすごと自室に引っ込み、肩を落としながら服を着替えた。
窓の外を見ると、ハラハラと雪が舞い降り、さきほどよりも量を増した雪が窓に貼り付いては消えていく。雪は止む気配もなく、冷えた室内で着替えている間、冷気に触れた肌へうっすらと鳥肌が立つ。
この様子だとおそらく今日中には雪が積もりだし、外には出られなくなるだろう。
雪によって外部と遮断された完全密閉の空間の中、二人だけで過ごす冬ごもりが始まるのだ。
(あー……そっか、今日から完全に冬ごもりか……)
豪雪の経験のないレイズンは、まだ冬ごもりがどんなものかピンときていない。
しかし
気まずすぎる。気まずすぎてどうしたらいいか、レイズンには分からない。
確かに距離を置きたいとは思ったが、こんな雰囲気になることは望んでいなかった。
これから一週間。いや、雪解けや天候の悪化を加味し、さらに冬ごもりの期間が延びると考えると……
その間に関係を修復できないと、非常に辛い冬ごもりになることだけは、いやでも分かった。
(冬ごもりのために、いろいろ準備したのになぁ)
これまでハクラシスとともに、冬ごもり期間でも普段通りに鬱々とせず過ごせるよう、いろいろと準備をしてきた。
薪を割ったり、野菜を干したり、水や肉の確保、雪から家を守るための対策。
レイズンだって果実酒を仕込んだり、ジャムを作ったり、暇になれば二人でゲームをしようと街でゲーム盤を買ったり、密かにこのはじめての冬ごもりを楽しみにしていた。
それなのにゲームどころじゃなくなってしまった。
のろのろとズボンを履き替えると、部屋を出た。そして朝食を作るためにキッチンに立つ。そこにはすでにハクラシスが湯を沸かすために立っていた。
気まずさを押し殺して、パンを取り出しながら「今日はサンドイッチでもいいですかね」とわざと明るく声をかけると「ああ」とだけ返ってくる。
レイズンはハムを切り、それをパンに乗せ野菜と挟み、皿に盛って出す。ハクラシスは湯が沸くと、茶葉を入れたポットに湯を注ぎ、机に置く。レイズンは何も言えず、その間二人とも無言だった。
「……レイズン」
ギスギスとした雰囲気の中、朝食を食べ始めてからしばらくすると、やっとハクラシスが口を開いた。
「はい! なんでしょう」
目一杯サンドイッチを口に詰め込んでいたレイズンは、不意打ちに驚いて口からボロッと野菜を落としながらも、慌てて返事をした。
「窓の外を見れば分かるが、もう雪が積もる種類のものに変わった。数時間もしないうちに、積もった雪で歩くのが困難になるだろう。……もし雪の間、街で過ごしたいのなら、出るなら今のうちだ」
「……え?」
レイズンは最初、ハクラシスが言っている意味が分からなかった。
(街で過ごしたいなら今のうち?)
それはどういう意味なのか。
ハクラシスがレイズンともう一緒に居たくないから、出て行けということなのか。
「小隊長殿、それは、……俺に出て行けということですか」
「いや、そういうことじゃない。……雪の間、ここに居たら何もできない。街なら多少の雪でも店は開いているし、昨日の男とも自由に会える」
「は……?」
レイズンの動揺とはうらはらに、ハクラシスは動じる様子なく残ったサンドイッチを口に入れる。
髭についたパンクズを手巾で払うと、畳んで皿の横に置いた。
「俺とここにいても鬱屈するだけだろう。俺のことはいい。宿代も出してやるから、そうしなさい」
もう決まったような口ぶりだった。
レイズンが茫然としている間に、ハクラシスは食べ終わった食器を持って席を立った。
「雪の時期が終わって、ここに戻りたくなったら戻ってくればいい。街が気に入ったなら、ずっといてもいい。誰と暮らそうがお前の自由だ。ここに縛るつもりは毛頭ない」
それだけ言い、使った食器をざっと洗うとハクラシスは自室に戻ろうとした。
「小隊長殿!!」
ドアを開けようとノブに手をかけた時、レイズンが焦ったように声をかけた。
ハクラシスが振り向くとレイズンは、食べかけのサンドイッチを皿に散らばせ、椅子から立ち上がっていた。
その表情はきっと今にも泣きそうで、まるで道に置いて行かれた子供のように見えただろう。
「小隊長殿! 意味が分かりません! 俺に出ていけということですか? なんで俺がここより街のほうがいいと思うんです? これまで冬支度を一緒に整えたじゃないですか! 昨日のことは謝ります。出ていけなんて言わないでください」
顔をくしゃくしゃにしてそう必死にハクラシスに懇願した。
「俺はここに居たいんです……。街で一人で住むなんてできません」
「……街の者はお前に親切だ。あそこなら移住しても歓迎してくれるだろう。住む場所も働く場所もある。……それに昨日の男だっているだろう。一人じゃない」
昨日の男とはブーフのことだろうか。
何でさっきからブーフのことが話に出るのか。レイズンは無性に腹が立った。
「ブーフとはなんでもありません!! 何も聞かなかった癖に勝手に勘違いしないでください!! 俺は小隊長殿のことが好きなんです!! だからここにいるんです!! 他の誰とも住む気はありません!!」
バンッと机を鳴らし、レイズンは憤り思わず声を荒らげた。
……そしてしばらくして気がついた。
自分が今、何を言ったのかを。
(し、しまった……。勢いで思わず小隊長殿のことが好きだって、はっきり言ってちゃった…!)
顔がカーッと熱くなるのを感じた。
まずい。ここで言うつもりはなかったのに。
レイズンはそのままガタンと椅子に座り、頭を抱えて机に突っ伏した。
……しかし、これもいい機会だ。全て話してスッキリしよう。今ならハクラシスの言う通り山を下りることができる。受け入れて貰えないなら、それこそ出ていけばいいのだ。
レイズンは勇気を出した。
突っ伏した状態から顔を上げることはできた。でもハクラシスの顔を直視できず、視線を逸らし俯いたままだ。
「その……小隊長殿、いきなり大声を出してすみません。俺、本当に小隊長殿のことが好きで……ずっと言えなくて。
昨日もブーフにそのことを相談してて遅くなってしまって。いや、ブーフとは昨日知り合って、肉屋の親父さんとこの……、いえそんなことはいいんです。
ともかく、俺が言いたいことはブーフとは本当に何もなくて、俺は小隊長殿のことが好きで。……でも小隊長殿は俺のことそんな目で見てないの分かってるんです。奥さんのことまだ好きなの知ってますし。
だから気持ち悪いとか俺の気持ちが負担で面倒だって思うなら、……そういうことなら、今日出ていきます」
レイズンは勢いに任せて一息で話した。
興奮したせいで耳が熱い。
——あとはもうハクラシスの反応次第。拒否されればそれまで。
沈黙が続き、ストーブのパチパチという薪の爆ぜる音がやけに耳に残る。
レイズンはこの空気に耐えきれず、大声で喚いてどこかに走って消え去りたくて仕方がなかった。
しばらくして少し遠くでカタンと音がし、ハクラシスが椅子に座る気配がした。
それはきっとハクラシスの部屋のドア近くにある、作業用の丸椅子に座る音だ。
「……いつからだ」
「え」
ハクラシスが感情の見えない声で、レイズンに問いかけた。
「いつから俺を好きだったのか聞いている」
「え……と、いつからかは分かりません。その、自覚したのは少し前です。……すみません」
俯く頭がさらに低くなる。
「謝らなくていい。……最近やけに態度がおかしいと思ったら……そういうことか」
「……え"っ」
まさかハクラシスに気づかれていたとは。レイズンは驚いて顔を上げた。
ハクラシスは壁に背を凭れ、腕を組み、レイズンを目を細めて据えていた。
「たまにぼんやりしていただろう。普段なら気にしないようなことを気にしたり、やけに俺を避けるような態度をとったり。妙だとは思っていた」
「き、……気付いていたんですか」
「当たり前だ。ずっと一緒にいるのに気づかん訳がないだろう。……最近やけに街に行きたがるし、てっきり街に気になる者でもできたのかと思っていた。それに昨日二人で抱き合っていたから、てっきりそいつがそうなのだと」
「だ、抱き合ってなどいません!!」
「俺が見たときには抱き合っていた」
「(なにそれ)!!」
レイズンは否定しようとしたが、驚きすぎて言葉にならない声しか出なかった。
おそらく寝ているレイズンをブーフが抱き起こそうとでもしたのだろう。だが酔って寝ていたレイズンは、記憶がぼんやりできっぱりと否定のしようがない。
真っ赤な顔で口をパクパクさせているのを見て、ハクラシスが呆れたように大きくため息を吐く。
「それで本気なのか」
「ほ、本気とは……」
「俺を好きだという話だ」
「!! 本気です!」
「なぜ俺なんだ。30も年が違う。まるで父と子だ。どう考えても無理がある」
「な、なんでって……」
レイズンはゴニョゴニョと口籠った。なんでと言われても自分でも分からない。気がついたら好きになっていたのだ。
「レイズン、お前はおそらく俺に依存しているだけだ。生まれたてのヒヨコのようなものだ。ここを親鳥が守る巣のように感じているんだ」
「違います!」
「お前は優しくされて勘違いしているだけだ」
「違います!! 俺は小隊長殿を見るとムラムラするんです!! 体が反応するんです!! 勘違いでそうなりますか? なりませんよ!!」
ここまで言ってレイズンはまたもやハッとなって口を押さえた。
(しまった……また口が滑った)
しかし言ってしまったものは仕方がない。これで自分の気持ちが本気だと信じてくれるだろうと、レイズンはハクラシスをチラッと見た。彼は額に手をやり、顔を俯かせていたので表情が見えない。
「……レイズン、俺はお前の親よりも年上だろう。それなのに俺がいいというのか」
「小隊長殿がいいんです。……俺ではだめですか」
考え込むように吐かれる小さな吐息。
「…………少し、考えさせてくれ」
そういうと椅子から立ち上がった。
そして自室のドアのノブに手をかけ扉を開くと、すぐに中には入らず少しまた考えこむように目をつむり、しばらくして今度は大きく息を吐いた。
そして——
「レイズン、来なさい」
中には入らず開けたドアを閉めると、ハクラシスはレイズンに向かって手を差し出した。
その声にレイズンは、ハッと顔をあげた。
そしてピョンと飛び上がるように立ち上がると、椅子を蹴倒しながら走り寄り、しがみつくようにハクラシスの手を取った。
酔いはすっかりと覚め、もうよろけず歩けるのに、ハクラシスは腕をしっかりと掴んだまま離してくれない。
レイズンはほとんど引っぱられるようにして、山道を歩いていた。
以前は生い茂る草木で獣道同様だったこの道も、寒くなった今は立ち枯れて、広く歩きやすい。
おかげでレイズンは、ハクラシスに腕を掴まれたままでも、草木に足を取られずに済んだ。
(まずい。小隊長殿すごく怒ってるな……。なんでここまで飲んじゃったんだ俺は)
腕を掴んだまま無言でずんずん歩くハクラシスを見ながら、レイズンはどう謝るべきかとそのことばかりを考えていた。
少し飲んで帰る程度ならハクラシスも怒らなかっただろう。
だがまさか時間を忘れ、酔い潰れるまで飲んでしまうとは……。しかも家の仕事を放置して遊び呆けるなんて、そりゃ怒られて当たり前だ。
……それにこんなに遅くなって、きっとひどく心配したに違いない。
「あ、あの、……小隊長殿、すみません、俺……」
「…………」
レイズンが何かを言ってもハクラシスは無言のままだ。とても気まずい。
道が開けて小屋が見えてくる。
暗闇に魔獣避けの斧がぼんやりと光り、その家の周囲にはハクラシスが用意した戸板が立て掛けられているのが分かった。
ハクラシスは小屋のドアを開け、レイズンをぐいと室内に押し込んだ。
明かりを灯すと、おろおろするレイズンを尻目に、自分はいつも座る椅子にドカッと腰を下ろし、気を鎮めようとするかのように細く息を吐いた。
レイズンは、持っていた肉とドライフルーツの入った袋をテーブルの上にそっと置いた。
「小隊長殿……、その……」
もう一度あらためて謝罪しようと口を開くと、ハクラシスがそれを遮った。
「……謝罪はいい。レイズン、金をたかられたとか、本当にそういうことも何もなかったんだな?」
「はい、何もありません。ただ……ちょっと一人で街へ出て浮かれてしまっただけです」
「それならいい。……俺はお前にああしろこうしろと言うつもりはないし、ルールで縛り付けるつもりもない。だから今日みたいに、一人で街へ出て酒場で飲んだり、誰かに会ったりするのはお前の自由だ。好きにすればいい。……ただ何も知らされていないと、何かあったのかと心配する」
「はい……すみませ……」
「謝罪はいい」
怒りを隠し諭すように話すハクラシスに、レイズンはシュンとして肩を落とした。
もしかして呆れられてしまったのだろうか。
……これ以上聞きたくないし話しもする気がない、そんな突き放したような言い方だ。
もう何も言いたくないほどガッカリさせてしまったのだとしたら……。レイズンは泣きたくなった。
どうせなら小隊にいた頃のように、ガミガミと怒られたほうが、謝罪し挽回する余地がある分まだマシだった。
「レイ……」
レイズンがしゅんとした顔で黙って突っ立っていると、ハクラシスが何か言いかけた。
呼ばれた気がしてレイズンが顔をあげると、ハクラシスは何も言わず口をつぐんでしまった。
そしてしばらくの沈黙のあと、もうこの話は終わりだと言わんばかりに、ハクラシスが就寝の時刻を告げた。
「…………レイズン、夜も遅い。酒が入っているから眠いだろう。もう寝なさい」
「……はい……。おやすみなさい」
きっと本当はまだ怒っているのだろう。
ハクラシスは他所を向いたまま、一度もレイズンを見なかった。
こんな気まずい雰囲気で一日を終えるのは初めてで、言い訳することも許されなかったレイズンは、肩を落としたまま自室に入った。
酒はまだ体に残ってはいたが、酔いなどもう体のどこにも残ってない。頭はいつも以上に冷えて醒めている。
(俺、小隊長殿に見放されたのかな)
もっと何かいろいろ言われるかと思ったのだ。
レイズンを連れてきたブーフのことや、なんでこんな時間になったのかとか、根掘り葉掘り聞かれるかと思ったのに。
結局何も聞かれず『自由にしろ』と突き放されたのだ。
こんなしょうもないことで嫌われるか? とも頭の片隅で考えたが、信頼とはほんの些細なことで失うものなのである。
ブーフには、また後日飲もうと断っていればこんなことにならなかったのだ。
ブーフは悪くない。
……いや、そんなこともない。事の発端はブーフだ。
ブーフにも責任の一端はある。
でも久々にできた年の近い友人に、浮かれた自分が一番悪い。
枕に顔をグリグリと押し付け、レイズンは反省と後悔を織り交ぜながら、一人唸り悶々とした。
——そんなふうにレイズンが眠れぬ夜を過ごしたこの夜、この山には今年最初の雪がハラハラと舞い落ちた。
小さな花弁のようにふわふわと舞い落ちる雪は、二人の住むこの小さな家を冷たく包んだ。
「小隊長殿、雪が降っていますね」
朝起きるなり、レイズンは部屋から顔を出し、キッチンのある部屋にいたハクラシスにそう声をかけた。
昨晩のことをまだ引きずってはいたが、雪のおかげで何気なさを装い声をかけることができた。
だがハクラシスの返事はそっけなく、「ああ、そうだな」と、それだけだった。
いや、いつも言葉数は少ないのだが、それでももう少し「はしゃぐんじゃないぞ」とか「今日は暖かくしておきなさい」とか、そんなことを言ってくれたり、嬉しそうなレイズンの様子に少し笑ってくれたりとかしてくれるのだが。
(……やっぱりまだだめか……。これ以上嫌われないように大人しくしないとな……)
これ以上言うべき言葉が見つからず、すごすごと自室に引っ込み、肩を落としながら服を着替えた。
窓の外を見ると、ハラハラと雪が舞い降り、さきほどよりも量を増した雪が窓に貼り付いては消えていく。雪は止む気配もなく、冷えた室内で着替えている間、冷気に触れた肌へうっすらと鳥肌が立つ。
この様子だとおそらく今日中には雪が積もりだし、外には出られなくなるだろう。
雪によって外部と遮断された完全密閉の空間の中、二人だけで過ごす冬ごもりが始まるのだ。
(あー……そっか、今日から完全に冬ごもりか……)
豪雪の経験のないレイズンは、まだ冬ごもりがどんなものかピンときていない。
しかし
気まずすぎる。気まずすぎてどうしたらいいか、レイズンには分からない。
確かに距離を置きたいとは思ったが、こんな雰囲気になることは望んでいなかった。
これから一週間。いや、雪解けや天候の悪化を加味し、さらに冬ごもりの期間が延びると考えると……
その間に関係を修復できないと、非常に辛い冬ごもりになることだけは、いやでも分かった。
(冬ごもりのために、いろいろ準備したのになぁ)
これまでハクラシスとともに、冬ごもり期間でも普段通りに鬱々とせず過ごせるよう、いろいろと準備をしてきた。
薪を割ったり、野菜を干したり、水や肉の確保、雪から家を守るための対策。
レイズンだって果実酒を仕込んだり、ジャムを作ったり、暇になれば二人でゲームをしようと街でゲーム盤を買ったり、密かにこのはじめての冬ごもりを楽しみにしていた。
それなのにゲームどころじゃなくなってしまった。
のろのろとズボンを履き替えると、部屋を出た。そして朝食を作るためにキッチンに立つ。そこにはすでにハクラシスが湯を沸かすために立っていた。
気まずさを押し殺して、パンを取り出しながら「今日はサンドイッチでもいいですかね」とわざと明るく声をかけると「ああ」とだけ返ってくる。
レイズンはハムを切り、それをパンに乗せ野菜と挟み、皿に盛って出す。ハクラシスは湯が沸くと、茶葉を入れたポットに湯を注ぎ、机に置く。レイズンは何も言えず、その間二人とも無言だった。
「……レイズン」
ギスギスとした雰囲気の中、朝食を食べ始めてからしばらくすると、やっとハクラシスが口を開いた。
「はい! なんでしょう」
目一杯サンドイッチを口に詰め込んでいたレイズンは、不意打ちに驚いて口からボロッと野菜を落としながらも、慌てて返事をした。
「窓の外を見れば分かるが、もう雪が積もる種類のものに変わった。数時間もしないうちに、積もった雪で歩くのが困難になるだろう。……もし雪の間、街で過ごしたいのなら、出るなら今のうちだ」
「……え?」
レイズンは最初、ハクラシスが言っている意味が分からなかった。
(街で過ごしたいなら今のうち?)
それはどういう意味なのか。
ハクラシスがレイズンともう一緒に居たくないから、出て行けということなのか。
「小隊長殿、それは、……俺に出て行けということですか」
「いや、そういうことじゃない。……雪の間、ここに居たら何もできない。街なら多少の雪でも店は開いているし、昨日の男とも自由に会える」
「は……?」
レイズンの動揺とはうらはらに、ハクラシスは動じる様子なく残ったサンドイッチを口に入れる。
髭についたパンクズを手巾で払うと、畳んで皿の横に置いた。
「俺とここにいても鬱屈するだけだろう。俺のことはいい。宿代も出してやるから、そうしなさい」
もう決まったような口ぶりだった。
レイズンが茫然としている間に、ハクラシスは食べ終わった食器を持って席を立った。
「雪の時期が終わって、ここに戻りたくなったら戻ってくればいい。街が気に入ったなら、ずっといてもいい。誰と暮らそうがお前の自由だ。ここに縛るつもりは毛頭ない」
それだけ言い、使った食器をざっと洗うとハクラシスは自室に戻ろうとした。
「小隊長殿!!」
ドアを開けようとノブに手をかけた時、レイズンが焦ったように声をかけた。
ハクラシスが振り向くとレイズンは、食べかけのサンドイッチを皿に散らばせ、椅子から立ち上がっていた。
その表情はきっと今にも泣きそうで、まるで道に置いて行かれた子供のように見えただろう。
「小隊長殿! 意味が分かりません! 俺に出ていけということですか? なんで俺がここより街のほうがいいと思うんです? これまで冬支度を一緒に整えたじゃないですか! 昨日のことは謝ります。出ていけなんて言わないでください」
顔をくしゃくしゃにしてそう必死にハクラシスに懇願した。
「俺はここに居たいんです……。街で一人で住むなんてできません」
「……街の者はお前に親切だ。あそこなら移住しても歓迎してくれるだろう。住む場所も働く場所もある。……それに昨日の男だっているだろう。一人じゃない」
昨日の男とはブーフのことだろうか。
何でさっきからブーフのことが話に出るのか。レイズンは無性に腹が立った。
「ブーフとはなんでもありません!! 何も聞かなかった癖に勝手に勘違いしないでください!! 俺は小隊長殿のことが好きなんです!! だからここにいるんです!! 他の誰とも住む気はありません!!」
バンッと机を鳴らし、レイズンは憤り思わず声を荒らげた。
……そしてしばらくして気がついた。
自分が今、何を言ったのかを。
(し、しまった……。勢いで思わず小隊長殿のことが好きだって、はっきり言ってちゃった…!)
顔がカーッと熱くなるのを感じた。
まずい。ここで言うつもりはなかったのに。
レイズンはそのままガタンと椅子に座り、頭を抱えて机に突っ伏した。
……しかし、これもいい機会だ。全て話してスッキリしよう。今ならハクラシスの言う通り山を下りることができる。受け入れて貰えないなら、それこそ出ていけばいいのだ。
レイズンは勇気を出した。
突っ伏した状態から顔を上げることはできた。でもハクラシスの顔を直視できず、視線を逸らし俯いたままだ。
「その……小隊長殿、いきなり大声を出してすみません。俺、本当に小隊長殿のことが好きで……ずっと言えなくて。
昨日もブーフにそのことを相談してて遅くなってしまって。いや、ブーフとは昨日知り合って、肉屋の親父さんとこの……、いえそんなことはいいんです。
ともかく、俺が言いたいことはブーフとは本当に何もなくて、俺は小隊長殿のことが好きで。……でも小隊長殿は俺のことそんな目で見てないの分かってるんです。奥さんのことまだ好きなの知ってますし。
だから気持ち悪いとか俺の気持ちが負担で面倒だって思うなら、……そういうことなら、今日出ていきます」
レイズンは勢いに任せて一息で話した。
興奮したせいで耳が熱い。
——あとはもうハクラシスの反応次第。拒否されればそれまで。
沈黙が続き、ストーブのパチパチという薪の爆ぜる音がやけに耳に残る。
レイズンはこの空気に耐えきれず、大声で喚いてどこかに走って消え去りたくて仕方がなかった。
しばらくして少し遠くでカタンと音がし、ハクラシスが椅子に座る気配がした。
それはきっとハクラシスの部屋のドア近くにある、作業用の丸椅子に座る音だ。
「……いつからだ」
「え」
ハクラシスが感情の見えない声で、レイズンに問いかけた。
「いつから俺を好きだったのか聞いている」
「え……と、いつからかは分かりません。その、自覚したのは少し前です。……すみません」
俯く頭がさらに低くなる。
「謝らなくていい。……最近やけに態度がおかしいと思ったら……そういうことか」
「……え"っ」
まさかハクラシスに気づかれていたとは。レイズンは驚いて顔を上げた。
ハクラシスは壁に背を凭れ、腕を組み、レイズンを目を細めて据えていた。
「たまにぼんやりしていただろう。普段なら気にしないようなことを気にしたり、やけに俺を避けるような態度をとったり。妙だとは思っていた」
「き、……気付いていたんですか」
「当たり前だ。ずっと一緒にいるのに気づかん訳がないだろう。……最近やけに街に行きたがるし、てっきり街に気になる者でもできたのかと思っていた。それに昨日二人で抱き合っていたから、てっきりそいつがそうなのだと」
「だ、抱き合ってなどいません!!」
「俺が見たときには抱き合っていた」
「(なにそれ)!!」
レイズンは否定しようとしたが、驚きすぎて言葉にならない声しか出なかった。
おそらく寝ているレイズンをブーフが抱き起こそうとでもしたのだろう。だが酔って寝ていたレイズンは、記憶がぼんやりできっぱりと否定のしようがない。
真っ赤な顔で口をパクパクさせているのを見て、ハクラシスが呆れたように大きくため息を吐く。
「それで本気なのか」
「ほ、本気とは……」
「俺を好きだという話だ」
「!! 本気です!」
「なぜ俺なんだ。30も年が違う。まるで父と子だ。どう考えても無理がある」
「な、なんでって……」
レイズンはゴニョゴニョと口籠った。なんでと言われても自分でも分からない。気がついたら好きになっていたのだ。
「レイズン、お前はおそらく俺に依存しているだけだ。生まれたてのヒヨコのようなものだ。ここを親鳥が守る巣のように感じているんだ」
「違います!」
「お前は優しくされて勘違いしているだけだ」
「違います!! 俺は小隊長殿を見るとムラムラするんです!! 体が反応するんです!! 勘違いでそうなりますか? なりませんよ!!」
ここまで言ってレイズンはまたもやハッとなって口を押さえた。
(しまった……また口が滑った)
しかし言ってしまったものは仕方がない。これで自分の気持ちが本気だと信じてくれるだろうと、レイズンはハクラシスをチラッと見た。彼は額に手をやり、顔を俯かせていたので表情が見えない。
「……レイズン、俺はお前の親よりも年上だろう。それなのに俺がいいというのか」
「小隊長殿がいいんです。……俺ではだめですか」
考え込むように吐かれる小さな吐息。
「…………少し、考えさせてくれ」
そういうと椅子から立ち上がった。
そして自室のドアのノブに手をかけ扉を開くと、すぐに中には入らず少しまた考えこむように目をつむり、しばらくして今度は大きく息を吐いた。
そして——
「レイズン、来なさい」
中には入らず開けたドアを閉めると、ハクラシスはレイズンに向かって手を差し出した。
その声にレイズンは、ハッと顔をあげた。
そしてピョンと飛び上がるように立ち上がると、椅子を蹴倒しながら走り寄り、しがみつくようにハクラシスの手を取った。
11
お気に入りに追加
217
あなたにおすすめの小説
敏感♡ナース♡凌辱物語♡♡
松井すき焼き
BL
斉藤要のもとに、姉の婚約者の西園寺清から体験型ゲームVRが送られてきた。
ゲームなんぞ興味はない要だったが、ゲームの名前は、『敏感♡ナース♡凌辱物語♡♡』と書かれていることに、要は目をとめ、やり始めることにしたのだが、ゲーム内で要の姿は少女になっていた。
頬に触れる指も頬もリアルで、ゲームないだととても思えない。ゲームの設定のせいか、異様に敏感な体になってしまった要は、ゲーム中の患者になど凌辱され輪姦されながらも、ゲームクリアを模索する。
なおこの作品は小説家になろうと、アルファポリスの二つに記載させていただいています。
天使の小夜曲〜黒水晶に恋をする〜
黒狐
BL
天使の小夜曲(セレナード)。
魔力を持たない『落ちこぼれ」と呼ばれた悪魔のモリオンは、人間に化けた他の悪魔の密告により、身を隠していた洞窟から天界へと連行されてしまう。
大人しく懲罰房に幽閉されたモリオンは、そこでも激しい暴力を受けていた。
そんなある日、長い髪に美しい6枚の翼を持つ上級天使...アクロアが懲罰房に訪れたことから物語は動き出す。
アクロア(美形天使攻め)✕モリオン(男前悪魔受け)の恋愛BLです。🔞、暴力、途中攻がモブレされる描写があるので苦手な方は閲覧注意です。
性行為のある話には⭐︎がついています。
pixivに載せている話を少し手直ししています。
手〈取捨選択のその先に〉
佳乃
BL
彼の浮気現場を見た僕は、現実を突きつけられる前に逃げる事にした。
大好きだったその手を離し、大好きだった場所から逃げ出した僕は新しい場所で1からやり直す事にしたのだ。
誰も知らない僕の過去を捨て去って、新しい僕を作り上げよう。
傷ついた僕を癒してくれる手を見つけるために、大切な人を僕の手で癒すために。
総受け体質
田原摩耶
BL
二人の兄に毎晩犯されて可愛がられてきた一人称僕・敬語な少年が初めて兄離れをして全寮制学園に通うことになるけどモブおじさんにセクハラされたり色々されながらも友達をつくろうと肉体的に頑張るお話。
※近親相姦、セクハラ、世間知らず、挿入なしで全編エロ、乳首責め多め。なんでも許せる方向け。
壊れた番の直し方
おはぎのあんこ
BL
Ωである栗栖灯(くりす あかり)は訳もわからず、山の中の邸宅の檻に入れられ、複数のαと性行為をする。
顔に火傷をしたΩの男の指示のままに……
やがて、灯は真実を知る。
火傷のΩの男の正体は、2年前に死んだはずの元番だったのだ。
番が解消されたのは響一郎が死んだからではなく、Ωの体に変わっていたからだった。
ある理由でαからΩになった元番の男、上天神響一郎(かみてんじん きょういちろう)と灯は暮らし始める。
しかし、2年前とは色々なことが違っている。
そのため、灯と険悪な雰囲気になることも…
それでも、2人はαとΩとは違う、2人の関係を深めていく。
発情期のときには、お互いに慰め合う。
灯は響一郎を抱くことで、見たことのない一面を知る。
日本にいれば、2人は敵対者に追われる運命…
2人は安住の地を探す。
☆前半はホラー風味、中盤〜後半は壊れた番である2人の関係修復メインの地味な話になります。
注意点
①序盤、主人公が元番ではないαたちとセックスします。元番の男も、別の女とセックスします
②レイプ、近親相姦の描写があります
③リバ描写があります
④独自解釈ありのオメガバースです。薬でα→Ωの性転換ができる世界観です。
表紙のイラストは、なと様(@tatatatawawawaw)に描いていただきました。
王族の子【4】~古き血族の少年の物語
藤雪花(ふじゆきはな)
BL
呪術に守られた樹海の奥底に、いにしえに失われた王国と、秘宝があるという。秘宝を手にいれた者は、世界の覇者にもなれるという。
樹海の少年リリアスには秘密があった。
男でもあり、女でもある両性未分化「プロトタイプ」だったのだ。
リリアスが愛を知り、成長していく物語。
↑これが前提
◼️「王族の子」
リリアス16歳。
ムハンマド王弟との将来のために、バラモン王都国立学校に通うことになり、リリアスは男子寮に入ります!
嫉妬や羨望、欲望の乱れる中、有力貴族の息子にあなたの騎士にしてほしい、なんて言われて?
男としても、女としても、頑張ります!
リリアスは学校生活をうまくやっていけるのか?
すこし物語は息抜き気味な、リリアスのスクールライフです。
と、思っていましたが!?
どんなタイミングでもうれしいです。
ぜひご感想をお聞かせください♪
獅子帝の宦官長
ごいち
BL
皇帝ラシッドは体格も精力も人並外れているせいで、夜伽に呼ばれた側女たちが怯えて奉仕にならない。
苛立った皇帝に、宦官長のイルハリムは後宮の管理を怠った罰として閨の相手を命じられてしまう。
強面巨根で情愛深い攻×一途で大人しそうだけど隠れ淫乱な受
R18:レイプ・モブレ・SM的表現・暴力表現多少あります。
2022/12/23 エクレア文庫様より電子版・紙版の単行本発売されました
電子版 https://www.cmoa.jp/title/1101371573/
紙版 https://comicomi-studio.com/goods/detail?goodsCd=G0100914003000140675
単行本発売記念として、12/23に番外編SS2本を投稿しております
良かったら獅子帝の世界をお楽しみください
ありがとうございました!
再会は甘い始まり~浮気された俺は同級生からの溺愛に癒されてます
syouki
BL
「嘘だろ……」
出張から自宅であるマンションに戻ったら、合鍵を渡していた彼女が寝室で知らない男とSEXの真っ最中だった。俺に気付くこともなく快楽に耽っている彼女。その甘ったるい声が気持ち悪くて、俺はキャリーケースを持ったまま部屋を出た。行きつけのバーに入り、一人酒を煽った。……翌朝、見知らぬ部屋で目が覚めた俺。隣には……。
※見直しはしていますが、誤字・脱字等、ご容赦ください。
※語彙力が少ないため、表現が分かりにくいかと思います。寛大な気持ちで読んでください。
※設定はかなりゆるゆるです。ご都合主義な所もあります。
※徐々にエロが多くなる予定です。
※BL小説大賞エントリーしました。よろしければお願い致します<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる