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スーシリアム神皇国
42※ 貪りあう二人
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スルトは今、わけも分からぬままに、自身のアパートの玄関でサーシャに唇を貪られていた。
あれからサーシャに抱きかかえられたまま、気がついたら自身のアパートの前だった。頭からすっぽりと被せられたマントを剥ぎ取られると、サーシャの顔をゆっくり見る暇もなく、玄関を入った途端壁に押し付けられ、荒々しく唇を奪われたのだ。
「……んっ」
唇を強く吸い上げたかと思うと舌で嬲られ、息をしようにもその隙もなく。顔はがっちりと両手で挟み込まれてしまっているので、自分で唇をずらすことすらできない。ぬめぬめとした感触が口内を這い回り、スルトの舌を強く吸い上げる。
さっきまではまるで夢でも見ているかのようだった。だが息もできぬほどの口づけの激しさに、これは現実なのだと実感させられる。
これはあのサーシャなんだ。夢にまでみた俺のサーシャ。
うっすらと目を開けると、伏せられた赤い睫毛がすぐ近くにある。ときおり瞼の奥の眼球が動くところまで見えるほど近い。ねじ込まれた舌の熱さも、頬を包む少しカサついたごつごつとした大きな手も、何もかもがこれが本物のサーシャだと、心の奥底から歓喜する。
スルトの目からは涙が溢れ出る。もう自分では止めることはできない。無我夢中でサーシャの大きな体にしがみつき、嗚咽のような声を絞り出す。
「ごめん、ごめんなさい……サーシャ、ん、会いたかった……」
言葉を発するたびにサーシャの唇が、離れたスルトの唇を追いかける。唇を食まれ、言葉がサーシャに吸い込まれていく。
「ん……おれ、俺自信がなかったんだ……サーシャが、こんなに凄い人だなんて思いもしなくて……」
口づけがどんどん深くなり、喉の奥までサーシャの舌でいっぱいになる。声を出そうとするとそれを止めるかのごとく、舌が喉奥に差し込まれ、最後にはもう何も言葉を発することもできなくなってしまった。
貪るように唇の角度を変える彼の顔が動くたびに、彼の髪や肌や吐息から香辛料のような鼻にツンとした、それでもって清涼感のある涼しく刺激のある香りが鼻に流れ込む。
サーシャの匂い。もう二度と嗅ぐことはないと思っていたのに。
腹の奥がジンッとして太腿を擦り合わせる。
「ね、サーシャ、俺を抱いて」
スルトは無我夢中で足をサーシャの腰に巻き付けると、ちょうど彼の股間のあたりに尻を擦り付けた。
そこは神兵のごつい隊服のズボンからでも分かるほど、すでに固く膨れ上がっていた。尻をその上に自重で落とすと、後孔を貫かんとする勢いでぐいと押し上げられるのを感じ、スルトの口から吐息が漏れた。
「あ! ……あ、あ、サーシャ……サーシャ……!!」
胡座をかいたサーシャの上に膝立ちで跨り、スルトは後孔を太い指で弄られていた。
何度も中の熟れた膨らみを押しつぶされ、鈴口からは透明な液が溢れ滴り、たまらず押し付けたサーシャの腹を濡らした。
そして喘ぎながら反らした胸は、執拗に舌で嬲られ、先端は赤くぷっくりと腫れて尖りきっていた。
「ね、もう、もういいよ。あ、んんん……挿れて、サーシャの挿れてよ……」
「……まだ痛いかもしれぬぞ?」
サーシャの太い指で押し広げられたそこは、じっとりと濡れて口を開いている。
だが、彼のバケモノのごとく巨大な逸物を咥え込むにはまだ早いのだろう。
サーシャがスルトの懇願にまだ無理だと躊躇いつつも、自身の欲望が我慢できぬのか、逆に許可を得るように問い返す。
相変わらずの巨根。スルトもここに来てからは自身の指で愛撫することしかしておらず、かなり狭くなってきているのは自覚している。無茶をするとしばらく相手をすることができなくなるが、もうかなりの時間をかけてほぐしたのだ。スルトだってもう待てなかった。
後ろ手でサーシャの逸物を支えると、蕾に添える。いやらしくひくひくと口を開けて彼を待ち焦がれているソコは、先端を難なくぬるっと咥え込んだ。
「あ、あ、あああああーーーー!」
少しずつ腰を落とし、無理のないように先端を奥へと導いていく。めりめりと狭い内壁を剛直に貫かれてスルトは喘ぎとも悲鳴ともつかぬ声をあげた。ゆっくりと腰を落とし、カリがようやく全部収まった頃、馴染ませるために浅く上下すると、カリが前立腺の膨らみに引っかかりぐりっと抉った。
「は、ああんんんっ!!」
あまりの快感に喉を仰け反らすと、陰茎からピュッと白濁が散った。
「無理はするな」
途端に崩れ落ちそうになるスルトをサーシャがすぐに支えてくれたが、彼が少し動くたびに、中で痺れるような快感が襲う。
「はあ……! ちょ、ちょっとまだ、動かないで……」
言っている傍からサーシャが腰を掴み、下からゆるゆると腰を動かしてくる。
「も、もう! サーシャ!! あ、もうまたきちゃう……!!」
「気にせずとも達すればいい」
「や、もう! ああああ!!!」
刺激でビクビクと痙攣して脳に甘い痺れが走る。それでもサーシャは動くのを止めてくれない。痙攣するたび中を締付け、サーシャの口からは「うっ」という息を呑む声が漏れ聞こえる。
早くスルトの中にすべてを埋め込みたいのだろう。何度も達するスルトをよそに、自重で深く落ちぬよう手でスルトを支えたまま、サーシャはゆっくりと腰を動かし、己の逸物を突き進める。上下に抽挿を繰り返すたび、少しずつスルトの中に埋まっていく。
ずぐずぐと押し開かれて、突き上がってくる圧迫感にスルトの目に涙が溢れるが、これは喜びの涙でもあるのだ。足りなかったものが埋まっていく、そんな感じだ。
スルトは後ろ手でどこまで入ったかを確認した。触ると筋の張った剛直がビクッと震え、中でピクピクと動くのを感じた。
もうあと少し。
「サーシャ……」
スルトはサーシャに舌を差し出し、お互いの舌が絡んだのを合図に、深く腰を下ろした。
「あ、あん、ん……ん、はぁ…………あああ…………んん」
スルトはサーシャに腰を高く持ち上げられた姿勢で、布団にうつ伏せに押し付けられたまま、彼の陰茎が中で動くのを感じていた。
サーシャはひどくゆっくりと動く。それは狭く引きつれた中を馴染ませている、というよりも、まるで筋の浮いた太い陰茎でじっくりとスルトの中を味わっているようだ。
だがそのゆっくりじっとりとした抽挿は、激しい刺激を与えるわけでもなく、達することもできずにただただもどかしい。それでいて絶えずじんわりとした快楽を生み出している。
達せそうで達せない、そんな渦巻く快楽の中、口から糸を引く涎すら気にならぬほど恍惚とした頭で、スルトはサーシャと出会った頃のことを思い出していた。
それは女将さんから「久々に、あんた出番だよ」と唐突に声をかけられたところから始まった。
スルトは若い頃こそその端正な顔立ちで、どのお店に行っても引く手あまたで、それなりに馴染みの客をこしらえてはそれなりに金を稼いできた。だが30手前となった今、もう年増だとして若い子には勝てず、馴染みも減りお茶を挽くことが増えていた。
この日も暇を持て余し、裏方の仕事をやっていたところに、女将さんから声がかかったのだ。
「えらい巨根のお客人で、あんた以外じゃあ壊れちまうかもしれないから、今日は頼むよ」
女将さんのその言葉に裏も表もないのだろうが、さすがにそれはない。
確かに古株で、後ろの穴はここの男娼の中ではそれなりに使い込まれている方だ。だが、そんな巨根ばかりを相手にしてきた訳じゃない。穴のサイズには限界というものがあるだろう。
それにまるで暇をしているスルトなら、尻が裂けてお客がとれない日が多少続いても問題ないだろうと、そう言われているようで、内心は憤然としていた。
それになに? 女将さんたちにわざわざ自分の下衣を寛げて見せつけるなんて、それもなんだか変な客だ。
それなりにこの店に貢献してきたと自負しているスルトは、そんな変な客を自分につけるなんてと、内心苛立ちながらも呼ばれた部屋に向かった。しかし部屋に入りそのお客の姿を見た途端、怒りよりも何よりも、まず戸惑いのほうが先に出た。
「——失礼します。お待たせしました。本日はありがとうございます。お相手させていただくスルトでございます」
その人ははじめて来たくせに、娼館特有の薄暗い灯りの部屋の中、まるで我が家かのように、ひとり悠々と寛いでいた。
すでに風呂を済ませたのか、客用の夜着を身に着け、ひとり酒を呑みながら、入ってきたスルトを見て目を細めた。
大きな体に真っ赤な髪。隆々と盛り上がった筋肉に、余裕なく薄い夜着が張り付いている。
まるで武人だ。
こんな男に力づくで組み敷かれてしまえば、抗うことすら無意味だろう。しかも女将さんの言うとおりの巨根なら、裂けるどころの話ではない。
青ざめて立ちすくんでいると、彼のほうから声をかけてきた。
「そう怯えるな。なるべく傷にならぬよう心掛ける」
顔は仏頂面だがかなりの男前だ。かける言葉も存外優しい。
——これが俺とサーシャとの出会いだった。
滾っておさまらぬから早く抜きたいという彼の言葉に夜着を捲ってみたものの、その逸物という言葉がぴったりと当てはまるほどの立派なモノに、恐れおののき怯えてしまったのは、プロ失格だったなと今更ながら思う。
だからこの時も、サーシャは今のようにゆっくりじっくりねちっこく、逆にこちらが焦れるほど辛抱強くほぐしてくれた。
途中からは軽口も叩けるほど気安くしてもらって。
最初はこんなの入るものかと思ったけど、意外と入るもんだなって……
「……スルト、何を呆けている?」
「……あ………………ひっ!」
「ぐ……」
後ろから突然耳朶を噛まれ、ぐんっと突き上げられた。いきなり最奥にもたらされた快楽に、思わず中をぎゅうと締め付けてしまい、サーシャが奥歯をギリと食いしばる音がした。
スルトの鈴口からはビュッビュッと白濁が吐き出され、頭の中は真っ白だ。
「あ、あ、あ…………」
耳にはぁはぁと荒い吐息がかかり、背すじはゾクゾクと奮え、もうイッているのに中の締付けを緩めることができない。
「……スルト、力を抜け」
「むりむりむり!」
「……スルト」
ぶんぶんと首を振るスルトの耳に舌を這わせ、スルトの口から熱い吐息が漏れる。ねちねちという音をたて耳の中をぶ厚い舌に嬲られ、はわはわと口がわななく。
スルトがくたりとなったところで唇が合わせられ、一度強く吸い付かれたと思った途端、バジュンッと深く突き上げられた。
「……! ひぃっ……!」
スルトが締め付ける暇もなく、サーシャの腰が激しく動き、ジュブッジュブッと抽挿する水音とパンパンと肌と肌を打ち付ける激しい音が部屋中に響く。
スルトの安い寝台が大きく揺れ、ギシギシと悲鳴を上げた。
「やっ、ああーー……! あ、あ、ああああーーーーーひぃっ」
サーシャが根元まで埋めるように腰を強く打ち付けると、最奥の更にその奥がグボッと開き、その大きなカリがハマる音がした。全身を穿かれているようなその圧迫感と衝撃に体が大きく反り上がる。
肉壁全体を擦りあげられ、さらにその奥をグボグボと突き破られ、もう目の前はチカチカと星が散るばかりで、喘ぐ声も悲鳴しか出ない。
スルトの陰茎からも絶えず白いものがビュッと湧き出すように滴り落ちる。
「ひっ! ひゃんっ! やだっああ…………」
サーシャが抜けるギリギリまで引き、それから一気に突き挿れた瞬間、スルトの陰茎から精ではない透明な液がびゅっと噴き上がり、中をギュウギュウと締付けた。内壁がサーシャのゴツゴツとした陰茎に纏わりつき、離すものかと締め上げる。
「ぐっ……!」
サーシャから汗が滴り落ち、奥に熱い飛沫がぶちまけられるのを感じた。
「あ……!」
かなり溜まっていたのか勢いよく長い射精に、腸壁が撫でられ脳に震えがくる。彼は出している最中もゆっくりと掻き混ぜるように陰茎を動かし、最後の最後までスルトの中を堪能したようだった。
まだ僅かに腰を動かしながら、サーシャはスルトの背中にピッタリと体を密着させて覆いかぶさり、うなじに吸い付いた。
放心状態だったスルトの意識が、ピリッとした刺激で僅かに覚醒する。程よく体重がかけられ、しっとりとした体が貼り付くように重なり、ひどく安心する。
恐ろしいほどの幸福感。
一瞬覚醒したものの、彼の体の重さを感じたままスルトの意識は落ちていった。
あれからサーシャに抱きかかえられたまま、気がついたら自身のアパートの前だった。頭からすっぽりと被せられたマントを剥ぎ取られると、サーシャの顔をゆっくり見る暇もなく、玄関を入った途端壁に押し付けられ、荒々しく唇を奪われたのだ。
「……んっ」
唇を強く吸い上げたかと思うと舌で嬲られ、息をしようにもその隙もなく。顔はがっちりと両手で挟み込まれてしまっているので、自分で唇をずらすことすらできない。ぬめぬめとした感触が口内を這い回り、スルトの舌を強く吸い上げる。
さっきまではまるで夢でも見ているかのようだった。だが息もできぬほどの口づけの激しさに、これは現実なのだと実感させられる。
これはあのサーシャなんだ。夢にまでみた俺のサーシャ。
うっすらと目を開けると、伏せられた赤い睫毛がすぐ近くにある。ときおり瞼の奥の眼球が動くところまで見えるほど近い。ねじ込まれた舌の熱さも、頬を包む少しカサついたごつごつとした大きな手も、何もかもがこれが本物のサーシャだと、心の奥底から歓喜する。
スルトの目からは涙が溢れ出る。もう自分では止めることはできない。無我夢中でサーシャの大きな体にしがみつき、嗚咽のような声を絞り出す。
「ごめん、ごめんなさい……サーシャ、ん、会いたかった……」
言葉を発するたびにサーシャの唇が、離れたスルトの唇を追いかける。唇を食まれ、言葉がサーシャに吸い込まれていく。
「ん……おれ、俺自信がなかったんだ……サーシャが、こんなに凄い人だなんて思いもしなくて……」
口づけがどんどん深くなり、喉の奥までサーシャの舌でいっぱいになる。声を出そうとするとそれを止めるかのごとく、舌が喉奥に差し込まれ、最後にはもう何も言葉を発することもできなくなってしまった。
貪るように唇の角度を変える彼の顔が動くたびに、彼の髪や肌や吐息から香辛料のような鼻にツンとした、それでもって清涼感のある涼しく刺激のある香りが鼻に流れ込む。
サーシャの匂い。もう二度と嗅ぐことはないと思っていたのに。
腹の奥がジンッとして太腿を擦り合わせる。
「ね、サーシャ、俺を抱いて」
スルトは無我夢中で足をサーシャの腰に巻き付けると、ちょうど彼の股間のあたりに尻を擦り付けた。
そこは神兵のごつい隊服のズボンからでも分かるほど、すでに固く膨れ上がっていた。尻をその上に自重で落とすと、後孔を貫かんとする勢いでぐいと押し上げられるのを感じ、スルトの口から吐息が漏れた。
「あ! ……あ、あ、サーシャ……サーシャ……!!」
胡座をかいたサーシャの上に膝立ちで跨り、スルトは後孔を太い指で弄られていた。
何度も中の熟れた膨らみを押しつぶされ、鈴口からは透明な液が溢れ滴り、たまらず押し付けたサーシャの腹を濡らした。
そして喘ぎながら反らした胸は、執拗に舌で嬲られ、先端は赤くぷっくりと腫れて尖りきっていた。
「ね、もう、もういいよ。あ、んんん……挿れて、サーシャの挿れてよ……」
「……まだ痛いかもしれぬぞ?」
サーシャの太い指で押し広げられたそこは、じっとりと濡れて口を開いている。
だが、彼のバケモノのごとく巨大な逸物を咥え込むにはまだ早いのだろう。
サーシャがスルトの懇願にまだ無理だと躊躇いつつも、自身の欲望が我慢できぬのか、逆に許可を得るように問い返す。
相変わらずの巨根。スルトもここに来てからは自身の指で愛撫することしかしておらず、かなり狭くなってきているのは自覚している。無茶をするとしばらく相手をすることができなくなるが、もうかなりの時間をかけてほぐしたのだ。スルトだってもう待てなかった。
後ろ手でサーシャの逸物を支えると、蕾に添える。いやらしくひくひくと口を開けて彼を待ち焦がれているソコは、先端を難なくぬるっと咥え込んだ。
「あ、あ、あああああーーーー!」
少しずつ腰を落とし、無理のないように先端を奥へと導いていく。めりめりと狭い内壁を剛直に貫かれてスルトは喘ぎとも悲鳴ともつかぬ声をあげた。ゆっくりと腰を落とし、カリがようやく全部収まった頃、馴染ませるために浅く上下すると、カリが前立腺の膨らみに引っかかりぐりっと抉った。
「は、ああんんんっ!!」
あまりの快感に喉を仰け反らすと、陰茎からピュッと白濁が散った。
「無理はするな」
途端に崩れ落ちそうになるスルトをサーシャがすぐに支えてくれたが、彼が少し動くたびに、中で痺れるような快感が襲う。
「はあ……! ちょ、ちょっとまだ、動かないで……」
言っている傍からサーシャが腰を掴み、下からゆるゆると腰を動かしてくる。
「も、もう! サーシャ!! あ、もうまたきちゃう……!!」
「気にせずとも達すればいい」
「や、もう! ああああ!!!」
刺激でビクビクと痙攣して脳に甘い痺れが走る。それでもサーシャは動くのを止めてくれない。痙攣するたび中を締付け、サーシャの口からは「うっ」という息を呑む声が漏れ聞こえる。
早くスルトの中にすべてを埋め込みたいのだろう。何度も達するスルトをよそに、自重で深く落ちぬよう手でスルトを支えたまま、サーシャはゆっくりと腰を動かし、己の逸物を突き進める。上下に抽挿を繰り返すたび、少しずつスルトの中に埋まっていく。
ずぐずぐと押し開かれて、突き上がってくる圧迫感にスルトの目に涙が溢れるが、これは喜びの涙でもあるのだ。足りなかったものが埋まっていく、そんな感じだ。
スルトは後ろ手でどこまで入ったかを確認した。触ると筋の張った剛直がビクッと震え、中でピクピクと動くのを感じた。
もうあと少し。
「サーシャ……」
スルトはサーシャに舌を差し出し、お互いの舌が絡んだのを合図に、深く腰を下ろした。
「あ、あん、ん……ん、はぁ…………あああ…………んん」
スルトはサーシャに腰を高く持ち上げられた姿勢で、布団にうつ伏せに押し付けられたまま、彼の陰茎が中で動くのを感じていた。
サーシャはひどくゆっくりと動く。それは狭く引きつれた中を馴染ませている、というよりも、まるで筋の浮いた太い陰茎でじっくりとスルトの中を味わっているようだ。
だがそのゆっくりじっとりとした抽挿は、激しい刺激を与えるわけでもなく、達することもできずにただただもどかしい。それでいて絶えずじんわりとした快楽を生み出している。
達せそうで達せない、そんな渦巻く快楽の中、口から糸を引く涎すら気にならぬほど恍惚とした頭で、スルトはサーシャと出会った頃のことを思い出していた。
それは女将さんから「久々に、あんた出番だよ」と唐突に声をかけられたところから始まった。
スルトは若い頃こそその端正な顔立ちで、どのお店に行っても引く手あまたで、それなりに馴染みの客をこしらえてはそれなりに金を稼いできた。だが30手前となった今、もう年増だとして若い子には勝てず、馴染みも減りお茶を挽くことが増えていた。
この日も暇を持て余し、裏方の仕事をやっていたところに、女将さんから声がかかったのだ。
「えらい巨根のお客人で、あんた以外じゃあ壊れちまうかもしれないから、今日は頼むよ」
女将さんのその言葉に裏も表もないのだろうが、さすがにそれはない。
確かに古株で、後ろの穴はここの男娼の中ではそれなりに使い込まれている方だ。だが、そんな巨根ばかりを相手にしてきた訳じゃない。穴のサイズには限界というものがあるだろう。
それにまるで暇をしているスルトなら、尻が裂けてお客がとれない日が多少続いても問題ないだろうと、そう言われているようで、内心は憤然としていた。
それになに? 女将さんたちにわざわざ自分の下衣を寛げて見せつけるなんて、それもなんだか変な客だ。
それなりにこの店に貢献してきたと自負しているスルトは、そんな変な客を自分につけるなんてと、内心苛立ちながらも呼ばれた部屋に向かった。しかし部屋に入りそのお客の姿を見た途端、怒りよりも何よりも、まず戸惑いのほうが先に出た。
「——失礼します。お待たせしました。本日はありがとうございます。お相手させていただくスルトでございます」
その人ははじめて来たくせに、娼館特有の薄暗い灯りの部屋の中、まるで我が家かのように、ひとり悠々と寛いでいた。
すでに風呂を済ませたのか、客用の夜着を身に着け、ひとり酒を呑みながら、入ってきたスルトを見て目を細めた。
大きな体に真っ赤な髪。隆々と盛り上がった筋肉に、余裕なく薄い夜着が張り付いている。
まるで武人だ。
こんな男に力づくで組み敷かれてしまえば、抗うことすら無意味だろう。しかも女将さんの言うとおりの巨根なら、裂けるどころの話ではない。
青ざめて立ちすくんでいると、彼のほうから声をかけてきた。
「そう怯えるな。なるべく傷にならぬよう心掛ける」
顔は仏頂面だがかなりの男前だ。かける言葉も存外優しい。
——これが俺とサーシャとの出会いだった。
滾っておさまらぬから早く抜きたいという彼の言葉に夜着を捲ってみたものの、その逸物という言葉がぴったりと当てはまるほどの立派なモノに、恐れおののき怯えてしまったのは、プロ失格だったなと今更ながら思う。
だからこの時も、サーシャは今のようにゆっくりじっくりねちっこく、逆にこちらが焦れるほど辛抱強くほぐしてくれた。
途中からは軽口も叩けるほど気安くしてもらって。
最初はこんなの入るものかと思ったけど、意外と入るもんだなって……
「……スルト、何を呆けている?」
「……あ………………ひっ!」
「ぐ……」
後ろから突然耳朶を噛まれ、ぐんっと突き上げられた。いきなり最奥にもたらされた快楽に、思わず中をぎゅうと締め付けてしまい、サーシャが奥歯をギリと食いしばる音がした。
スルトの鈴口からはビュッビュッと白濁が吐き出され、頭の中は真っ白だ。
「あ、あ、あ…………」
耳にはぁはぁと荒い吐息がかかり、背すじはゾクゾクと奮え、もうイッているのに中の締付けを緩めることができない。
「……スルト、力を抜け」
「むりむりむり!」
「……スルト」
ぶんぶんと首を振るスルトの耳に舌を這わせ、スルトの口から熱い吐息が漏れる。ねちねちという音をたて耳の中をぶ厚い舌に嬲られ、はわはわと口がわななく。
スルトがくたりとなったところで唇が合わせられ、一度強く吸い付かれたと思った途端、バジュンッと深く突き上げられた。
「……! ひぃっ……!」
スルトが締め付ける暇もなく、サーシャの腰が激しく動き、ジュブッジュブッと抽挿する水音とパンパンと肌と肌を打ち付ける激しい音が部屋中に響く。
スルトの安い寝台が大きく揺れ、ギシギシと悲鳴を上げた。
「やっ、ああーー……! あ、あ、ああああーーーーーひぃっ」
サーシャが根元まで埋めるように腰を強く打ち付けると、最奥の更にその奥がグボッと開き、その大きなカリがハマる音がした。全身を穿かれているようなその圧迫感と衝撃に体が大きく反り上がる。
肉壁全体を擦りあげられ、さらにその奥をグボグボと突き破られ、もう目の前はチカチカと星が散るばかりで、喘ぐ声も悲鳴しか出ない。
スルトの陰茎からも絶えず白いものがビュッと湧き出すように滴り落ちる。
「ひっ! ひゃんっ! やだっああ…………」
サーシャが抜けるギリギリまで引き、それから一気に突き挿れた瞬間、スルトの陰茎から精ではない透明な液がびゅっと噴き上がり、中をギュウギュウと締付けた。内壁がサーシャのゴツゴツとした陰茎に纏わりつき、離すものかと締め上げる。
「ぐっ……!」
サーシャから汗が滴り落ち、奥に熱い飛沫がぶちまけられるのを感じた。
「あ……!」
かなり溜まっていたのか勢いよく長い射精に、腸壁が撫でられ脳に震えがくる。彼は出している最中もゆっくりと掻き混ぜるように陰茎を動かし、最後の最後までスルトの中を堪能したようだった。
まだ僅かに腰を動かしながら、サーシャはスルトの背中にピッタリと体を密着させて覆いかぶさり、うなじに吸い付いた。
放心状態だったスルトの意識が、ピリッとした刺激で僅かに覚醒する。程よく体重がかけられ、しっとりとした体が貼り付くように重なり、ひどく安心する。
恐ろしいほどの幸福感。
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