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四人の友人たち②
しおりを挟む見送りからもどると窓に張り付いていた三人が一斉に振り返った。
ミオンがわくわくしたように目を輝かせている。
「キスとかされた?」
「はあ? されてないけど」
「ええーっ、もうだめだなダミアン!」
「小心者!」
「意気地無しめ!」
好き勝手にわめく三人に首をかしげた。
「どういうこと?」
「どういうことってそういうことよ」
「そういうこと?」
「もうっ、相変わらずにぶいなシルビアは」
「ダミアンはあなたのことが好きなのよ!」
「今回の婚約解消は彼にとってチャンスなの!」
「はあ……」
そう言われてもぴんとこない。
だってまだ会ったばかりだし。
「ダミアンはド下手王子より何倍もいい男よ!」
「そうよ、シルビア。王子よりダミアンになさい!」
「そうそう、将来有望の若手騎士よ!」
「その上未来の侯爵閣下よ!」
「なんの権力もない第五王子のユージーンよりよっぽど力も財力もあるわよ」
「ちょ、待ってメモが追い付かないっ!」
必死になってペンを走らせているあたしの横で三人はますますヒートアップしていった。
「だいたいあなた見る目がないのよ!」
「あんなにいい男がそばにいるってのになんでよりにもよってポンコツ王子なんかと」
「面食いだからって内面を無視しすぎよ!」
「そうよそうよ!」
「ダミアンだってイケメンよ!」
「「「そうよそうよ!」」」
ダミアンの名前の横にイケメンと書いてアンダーラインを二本引いて我に返った。
「あ……」
「どうしたのシルビア?」
金髪つり目のリリアンが聞いてくる。
「あたしダミアンにお兄ちゃんみたいで安心するって言っちゃった……」
「えっ」
「あらら……」
「あなたお兄さんなんていないじゃないの」
「そうよ一人っ子でしょ」
「そうだよね。なんでそう思ったんだろ……」
それから『シルビア』についてと『学園』についていろいろ話を聞かせてもらった。
前世の記憶によって今世の記憶があやふやになると『学園』に通うことになるらしい。
「付添人として私たちも学園に通うわ」
「毎日ってわけにはいかないけどね」
「なるべく一緒にいるわ。だから心配しないで」
口々に励まされ、頷いた。
にっこり笑って三人を見送った。
今日はじめて会ったけれど、もともと友だちだったからかとても気があった。
「三人ともありがとう。よろしくね」
こうしてあたしは『学園』に通うことになった。
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