雨日記

蒼結

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雨日記【3】

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確か包帯が奥の棚に入っていたはず、家まで着いてきた黒猫をソファで休ませ、埃を被っているであろう物置部屋へ向かった。

予想通り奥の棚に包帯が置いてあった。
ソファで気持ちよさそうに眠っている黒猫にそーっと近付き耳に触れた。ぴくっと身体が動き、そっと目を開けた。

起こすつもりはなかったんだけどなあ。
起きたついでにお風呂に入れることを思いついた。黒猫を抱き上げ風呂場まで行き、少し大きめの洗面器にぬるめの水を貯め、黒猫を少しずつ水に入れる。

猫って水嫌いだっけ、大丈夫かなあ。
そんなことを考えていると足の先が水に浸かった。案の定、やはり水が嫌なのか初めてびっくりしたのか分からないが、ありえないくらい飛び跳ねて風呂場のドアに隠れた。

今日はさすがに無理だと思い濡れた足をタオルで拭き、ソファに戻った。
尻尾に包帯を巻き付けた。耳は戻りそうにもないので巻かなかった。

6月13日 あめ☂
朝起きるとソファで寝ていたはずの黒猫がベットの枕のそばで寝ていた。小さい寝息をたてて気持ちよさそうに寝ている。

いつの間に来たんだろう。
目が覚め起き上がると猫も目を覚ました。頭を撫でると、
「にゃあ」
と眠そうな声で鳴いた。
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