狐火の通る散歩道~月夜に集うあやかしの茶屋~
とある宿場町の外れに、夜だけ現れる幻の茶屋があるという。“狐火の散歩道”と呼ばれる小道を辿った先で、動物の面をつけた客たちがひそやかに集い、奇妙な酒や菓子が振る舞われるらしい。旅人の詩夏(しか)は、偶然その茶屋を見つけてしまい、店主の白面(はくめん)と名乗る女性に迎えられる。そこには、人だけでなくあやかしも交わり、愚痴をこぼしたり笑い合ったりと不思議な温かみがあった。しかし、茶屋で交わされる噂話には、町を脅かす妖異の影がちらつく。詩夏は旅を続けるべきか、この茶屋で耳にした人々の嘆きやあやかしの警告を見過ごすべきか、揺れ動く。やがて狐火の灯が導く先には、茶屋を取り巻く秘密が待ち受けていた。
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