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私とレオポルド殿下の追及が一段落したと思った矢先、聖女が「真の奇跡を示す」と宣言し、宮廷広場で大規模な祈りの儀式を行うとの報せが入った。
貴族や庶民は「今度こそ本当の神の力を見られる」と熱狂し、広場には多くの人々が集まることになった。
あまりに派手な動きに、私の胸には嫌な予感が募る。
レオポルド殿下も「弟は確かに弁明の機会を作ると言っていたが、こんな危険そうな“ショー”を開くとは」と眉をひそめていた。
当日、私が伯爵家の馬車で宮廷広場に着くと、すでに人だかりができていた。
衛兵らしき者たちが広場の中心に大きな円を作り、その内側には複雑な魔法陣が描かれている。
聖女と呼ばれる彼女は銀髪をなびかせ、豪奢な白いローブをまとっていたが、その姿が妙に舞台じみていると感じるのは私だけだろうか。
アレクサンドル殿下は彼女の隣で胸を張り、まるでこの国の救世主を演出するかのように取り仕切っている。
私は群衆の後方から、そっと様子をうかがうことにした。
もし何らかのトリックがあるなら、できるだけ遠目で全体を観察した方が有利だと考えたのだ。
レオポルド殿下は広場の端に騎士たちを配置し、万が一の事態に備えて警戒を強めている。
それでも、ここの空気は圧倒的に聖女を支持する人々の熱気で満ちていた。
アレクサンドル殿下の合図とともに、祈りの儀式が始まる。
聖女が両手を広げ、まるで天を仰ぐように声を上げると、魔法陣が青白い光に包まれる。
その光景自体は幻想的で、何も知らない人なら神秘的な感動を覚えるかもしれない。
しかし私は、以前聞いた「不審な薬品や道具」という話を思い出して、身構えてしまう。
やがて、聖女のローブの裾から煙が立ち上り始める。
淡くただよう煙は、まるで儀式の演出のようにも見えるが、鼻をつく焦げたような匂いが何とも不吉だ。
アレクサンドル殿下は「見ろ、これが聖女の奇跡だ!」と誇らしげに叫んでいるが、私は胸の奥に嫌な汗がにじむのを感じる。
「皆さま、今こそ真の奇跡をご覧あれ。神の御力が私たちを導くのです!」
聖女の声が広場に響き渡り、周囲の人々から歓声が上がる。
しかし、その興奮が最高潮に達した瞬間、突然ものすごい爆発音が鳴り響いた。
巨大な衝撃波が空気を震わせ、私まで思わず耳を塞いでしまう。
次の瞬間、焦げ臭い煙があたりを覆い尽くし、人々の悲鳴が入り乱れる。
巨大な魔法陣の一部が崩れ、何らかの仕掛けが暴発したのか、地面がいびつに焦げついているのが見えた。
大勢の人々がパニックに陥り、逃げ惑う足音や叫び声が混在している。
私も思わず息をのんだまま、周囲の様子を見回した。
「危ない、離れてください!」
騎士たちが混乱の群衆を押しのけながら駆け寄ってくる。
彼らはレオポルド殿下の命を受けて警備に当たっていたが、予想外の大爆発に対応が追いつかない。
爆風によって負傷した人たちの呻き声が聞こえ、どこからか火の手が上がったのか、さらに濃い煙が立ち込めてきた。
アレクサンドル殿下と聖女はどうなったのだろう。
目を凝らしてみると、彼らは魔法陣の近くで立ち尽くしていた。
アレクサンドル殿下はうろたえた様子で周りを見回し、聖女は自分の身を守ろうとする侍女たちにしがみついている。
儀式の失敗どころか、人々の命に危険を及ぼす大惨事が目の前で起きたのだ。
「こんなの……奇跡なんかじゃない。むしろ呪いにしか見えないわ」
私は声にならない叫びを飲み込みながら、目の前の地獄絵図を直視した。
無知な人々はまだ「誰かが邪魔をしたのか」とか「聖女の祈りを中断させた者がいるはずだ」と叫んでいるが、私にはそんな言葉がただの責任転嫁に聞こえる。
やがて、レオポルド殿下が広場に駆けつけてきた。
騎士たちに指示を飛ばしながら、倒れこんだ人々の救助を優先するよう命じている。
私も近くにいた負傷者を手助けしようと試みるが、何がどうなっているのか、足元がおぼつかないほど混乱が広がっていた。
ここまでくると、聖女の“奇跡”の正体がどうであれ、多数の被害者を出しているのは事実だ。
絶対にこれを見過ごすことはできない。
煙にむせ返りながら、私は喉を焼くような苦しさをこらえつつ、必死に人々を安全な場所へ誘導する。
そんな中、アレクサンドル殿下と聖女が「こんなはずではなかった」という表情で、騎士たちに取り囲まれる。
しかし、彼らはなおも「外部のせいだ」「邪魔が入ったせいで奇跡が歪んだ」などと叫んでいるらしい。
大惨事の原因を他人に押しつけようとする彼らの言動に、私の中で怒りが燃え上がった。
結局、この大規模な祈りの儀式は最悪の結果を招き、多数の負傷者が出る事態となった。
これ以上、彼らが責任を逃れることは許されない。
私もレオポルド殿下も同じ思いを抱いたまま、けが人の救護に奔走しながら、次の手を考え始める。
貴族や庶民は「今度こそ本当の神の力を見られる」と熱狂し、広場には多くの人々が集まることになった。
あまりに派手な動きに、私の胸には嫌な予感が募る。
レオポルド殿下も「弟は確かに弁明の機会を作ると言っていたが、こんな危険そうな“ショー”を開くとは」と眉をひそめていた。
当日、私が伯爵家の馬車で宮廷広場に着くと、すでに人だかりができていた。
衛兵らしき者たちが広場の中心に大きな円を作り、その内側には複雑な魔法陣が描かれている。
聖女と呼ばれる彼女は銀髪をなびかせ、豪奢な白いローブをまとっていたが、その姿が妙に舞台じみていると感じるのは私だけだろうか。
アレクサンドル殿下は彼女の隣で胸を張り、まるでこの国の救世主を演出するかのように取り仕切っている。
私は群衆の後方から、そっと様子をうかがうことにした。
もし何らかのトリックがあるなら、できるだけ遠目で全体を観察した方が有利だと考えたのだ。
レオポルド殿下は広場の端に騎士たちを配置し、万が一の事態に備えて警戒を強めている。
それでも、ここの空気は圧倒的に聖女を支持する人々の熱気で満ちていた。
アレクサンドル殿下の合図とともに、祈りの儀式が始まる。
聖女が両手を広げ、まるで天を仰ぐように声を上げると、魔法陣が青白い光に包まれる。
その光景自体は幻想的で、何も知らない人なら神秘的な感動を覚えるかもしれない。
しかし私は、以前聞いた「不審な薬品や道具」という話を思い出して、身構えてしまう。
やがて、聖女のローブの裾から煙が立ち上り始める。
淡くただよう煙は、まるで儀式の演出のようにも見えるが、鼻をつく焦げたような匂いが何とも不吉だ。
アレクサンドル殿下は「見ろ、これが聖女の奇跡だ!」と誇らしげに叫んでいるが、私は胸の奥に嫌な汗がにじむのを感じる。
「皆さま、今こそ真の奇跡をご覧あれ。神の御力が私たちを導くのです!」
聖女の声が広場に響き渡り、周囲の人々から歓声が上がる。
しかし、その興奮が最高潮に達した瞬間、突然ものすごい爆発音が鳴り響いた。
巨大な衝撃波が空気を震わせ、私まで思わず耳を塞いでしまう。
次の瞬間、焦げ臭い煙があたりを覆い尽くし、人々の悲鳴が入り乱れる。
巨大な魔法陣の一部が崩れ、何らかの仕掛けが暴発したのか、地面がいびつに焦げついているのが見えた。
大勢の人々がパニックに陥り、逃げ惑う足音や叫び声が混在している。
私も思わず息をのんだまま、周囲の様子を見回した。
「危ない、離れてください!」
騎士たちが混乱の群衆を押しのけながら駆け寄ってくる。
彼らはレオポルド殿下の命を受けて警備に当たっていたが、予想外の大爆発に対応が追いつかない。
爆風によって負傷した人たちの呻き声が聞こえ、どこからか火の手が上がったのか、さらに濃い煙が立ち込めてきた。
アレクサンドル殿下と聖女はどうなったのだろう。
目を凝らしてみると、彼らは魔法陣の近くで立ち尽くしていた。
アレクサンドル殿下はうろたえた様子で周りを見回し、聖女は自分の身を守ろうとする侍女たちにしがみついている。
儀式の失敗どころか、人々の命に危険を及ぼす大惨事が目の前で起きたのだ。
「こんなの……奇跡なんかじゃない。むしろ呪いにしか見えないわ」
私は声にならない叫びを飲み込みながら、目の前の地獄絵図を直視した。
無知な人々はまだ「誰かが邪魔をしたのか」とか「聖女の祈りを中断させた者がいるはずだ」と叫んでいるが、私にはそんな言葉がただの責任転嫁に聞こえる。
やがて、レオポルド殿下が広場に駆けつけてきた。
騎士たちに指示を飛ばしながら、倒れこんだ人々の救助を優先するよう命じている。
私も近くにいた負傷者を手助けしようと試みるが、何がどうなっているのか、足元がおぼつかないほど混乱が広がっていた。
ここまでくると、聖女の“奇跡”の正体がどうであれ、多数の被害者を出しているのは事実だ。
絶対にこれを見過ごすことはできない。
煙にむせ返りながら、私は喉を焼くような苦しさをこらえつつ、必死に人々を安全な場所へ誘導する。
そんな中、アレクサンドル殿下と聖女が「こんなはずではなかった」という表情で、騎士たちに取り囲まれる。
しかし、彼らはなおも「外部のせいだ」「邪魔が入ったせいで奇跡が歪んだ」などと叫んでいるらしい。
大惨事の原因を他人に押しつけようとする彼らの言動に、私の中で怒りが燃え上がった。
結局、この大規模な祈りの儀式は最悪の結果を招き、多数の負傷者が出る事態となった。
これ以上、彼らが責任を逃れることは許されない。
私もレオポルド殿下も同じ思いを抱いたまま、けが人の救護に奔走しながら、次の手を考え始める。
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