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第22話:専用剣完成、さらなる高みへ

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 エリスとの稽古から数日後、待ちに待った連絡が鍛冶屋の親父さんから届いた。
 “お前の専用剣が完成した。すぐに取りに来い”――その一文に、俺の胸は高鳴る。

 さっそく工房へ向かうと、溶鉱炉の熱気が今日も立ち込めていた。親父さんは黙々と仕上げ作業をしているようで、カンカンという金属音が響いている。

「よっ、親父さん。完成したって聞いて飛んできたんだけど」

「おお、ラゼルか。もう少し待ってな。仕上げの磨きをやってるところだ」

 そう言われて工房内を少し見回すと、試作品らしき剣が何本か置かれている。どうやらその中から改良を重ねて、一本に絞り込んだらしい。
 やがて親父さんは息をつき、赤熱した刃を水に浸し、最後の調整を終えると、静かに俺を振り返った。

「ほれ、受け取れ。お前専用の剣だ。どうせ地味なスキル持ちって言われてるんだろうから、見た目も無骨な造形だが、使いやすさは保証するぜ」

 差し出された剣は、シンプルな片手剣だが、刀身にわずかに波打つ紋様が見える。柄の部分は手に馴染むようにしっかりと包革が巻かれている。

「すげえ……見ただけで伝わってくるよ。頑丈で振り抜きやすそうだ。しかも剣先までしっかりバランスが取れてる」

「ふん、当たり前だ。お前の力量を見込んで、剣先には少しだけ重心を寄せた。斬り下ろしの際には威力が増すし、槍ほどじゃないがリーチも稼ぎやすいだろう」

「ありがとうございます。こんなすごい剣、俺にはもったいないくらいだ」

「馬鹿言え。鍛冶屋の仕事は、剣士がその力を存分に発揮できるよう導くことだ。気に入らなきゃどんどん文句を言えよ。そのたびに改良したっていいんだからな」

 親父さんは不器用な笑みを浮かべつつ、ぐいっと俺の背中をたたく。熱くてごつごつした手の感触が頼もしい。

「一応試し斬りしてみるか? そこの薪を使っていいぞ」

「おお、ぜひ!」

 工房の端にあった薪を台にセットし、俺は新しい剣を構える。軽く素振りしてみると、驚くほどのフィット感だ。
 そこで、思いきり斬り下ろしてみる。

「はっ!」

 薪がきれいに二つに割れる。重量がうまく乗るのか、思った以上に深く切れ込む。

「すごい! 全然刃こぼれもしないし、切れ味抜群だ」

「だろう? ま、また使ってみてなんかあったら来い。修繕や微調整は無料でやってやるよ」

「ありがとう、親父さん。本当に、最高の剣だと思う」

 俺は感激しながら剣を眺める。地味でもいい、実用本位な形でもいい。この剣は間違いなく俺の相棒になるはずだ。
 そしてふと、俺は“吸収”がこの剣をどんなふうに活かせるのか、想像してみる。新たな武技や魔法を取り込んだとき、剣も一緒に成長していくのかもしれない。

「よし、さっそく実戦で試してみたいな。親父さん、本当にありがとう」

「へへ、礼なんていいさ。お前がその剣で輝いてくれりゃ、それが俺への最大の褒美だ」

 こうして、待望の専用剣を手に入れた俺。
 これを携えてエリスやシエナと合流し、さらに高い次元へと登ってみたい。女神の期待? 邪神の封印? なんでも来い、絶対に乗り越えてやる――そんな強い決意が胸に湧き上がっていた。
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