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第175話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の四十九
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「行ってきます!」
元気よく家を飛び出したのは、トラ耳族の少女マナだった。
特徴的な猫耳の先を丸くしたような耳がピンと立ち、バックからは大事なおやつである魚の燻製が飛び出しそうになっているのを必死で押さえながら駆け出していた。
「危ない危ない……今日もいっぱい集めるんだから!」
マナの住む集落は、小高い丘にある小さな村で、広大な森を抜けた先にひっそりと存在している。
この土地は、かつて邪龍ナーガが封印された場所からそれほど遠くないため、魔力の影響を強く受ける地域だった。
そのため、普通の人間はこの地で暮らすのが難しく、村には魔力に強い体質を持つ猫耳族――特にトラ耳族が住んでいた。
マナの父親は村の代表として活動しており、最近は邪龍のお城が壊れたとかいう騒ぎで帝都に出向いていた。
そのため、家には母と双子の姉妹マノとマナだけが残されていた。
姉妹は水晶集めに夢中で、今日も鍾乳洞内の秘密の場所に向かう。
「マノ、もう着いてるかな?」
マナは姉のマノのことを思い浮かべながら、慣れた足取りで森を抜け、いつもの鍾乳洞の入り口に向かっていた。
ヤマタイコク自体が巨大な鍾乳洞であり、鍾乳洞はヤマタイコク全体に広がる広大な地下空間の一部で、まるで生き物のように成長を続け、時間が経つごとにその内部の様子が変わると言われている。
鍾乳洞のどこかにある秘密の場所で、水晶集めをするのがマナの日課だった。
「今日も綺麗な水晶を見つけて、いっぱい貯金するんだから!」
貯金箱にコツコツとお金を貯めるのがマナの楽しみだった。
父親に頼んで街で売ってもらった水晶の代金が入るたび、貯金箱を振る音に胸が躍るのだ。
鍾乳洞の入口を探して森を歩いていると、マナの足元に突然何かが絡みついてきた。
「ひゃ! な、なに!?」
思わず声を上げたマナだったが、視線を下ろすとそこにいたのは一匹の小さな猫だった。
「ニャー」
小さく鳴くその猫は、三毛の模様を持ち、どこか愛らしい仕草でマナを見上げていた。
「まあ……かわいい! こんな森で猫なんて珍しいわね。」
マナは驚きながらも、猫をそっと抱き上げた。
この地域では魔力の影響で巨大な蛇や猪のような危険な生物が多く生息しており、小さな猫など見たことがなかった。
都を訪れたときに一度だけ猫を見たことがあるマナにとって、この出会いは衝撃的だった。
「あなた、どうしてこんなところにいるの? ここで一人で生きていくなんて無理よ。……でも、私、強いから大丈夫! 私のお家に来ない?」
マナは子猫を抱えたまま、鍾乳洞の入り口へと進んでいく。
鍾乳洞の入口にたどり着くと、マナは慣れた手つきで背中のバッグから金属の棒を取り出した。
そして、それを軽く振り鳴らす。
「チーン……」
その音が洞窟全体に響くと、鍾乳石が青白く光り始めた。
「すごいでしょ? これ、決まった音に反応して光るのよ!」
マナは得意げに説明しながら、子猫を抱えたまま鍾乳洞の奥へと進んでいく。
子猫はその光に興味を示すように、キョロキョロと周囲を見回していた。
「ふふ、面白い子ね。もしかして、これが気になるのね?」
マナはチャチャに語りかけながら、洞窟内を慎重に進んでいく。
鍾乳洞の中は独特の静けさに包まれ、ぽたぽたと滴る水音だけが響いていた。
進むにつれて道が狭くなり、壁には大きな水晶が輝いている。
マナは目を輝かせながら足を止めた。
「今日もいいのがあるわね……でも、もう少し奥に行こう!」
マナは再び歩き出したが、その時、洞窟の奥から微かな風の流れを感じた。
それと同時に、どこか不気味な気配が漂い始める。
「……なんだろう、この感じ……」
マナは立ち止まり、子猫を抱き直した。
その時、子猫が小さく唸り声を上げた。
「ニャー……」
まるで警戒しているかのようなその声に、マナも緊張を覚える。
「大丈夫よ、私がついてるから。」
そう言いながらも、マナは慎重に足を進め、奥へと向かっていく。
さらに進むと、奥にぽっかりと開いた広間に出た。その中央には巨大な水晶が鎮座し、青白い光を放っていた。
その神秘的な光景にマナはしばし見とれていたが、
「ええ!? なにこれ! 昨日はこんな場所なかったのに、道を間違えちゃったの?」
次の瞬間、子猫が突然彼女の腕の中から飛び出した。
「ちょっと! 猫ちゃんどこに行くの!?」
子猫は広間の中央に向かって走り出し、その場に立ち止まると低く唸り声を上げた。
見上げると頭上にはスカイスネークの大群がこちらを威嚇していた。
「やだ、ここ、蛇の巣じゃない?」
あまりの絶望的な状況に足がすくみそうになるのを必死でこらえた。
その時、洞窟全体が揺れるような音と共に、何か巨大な気配が広間の奥から迫ってきた。
「これは……一体何が起きているの!?」
マナは息を呑み、子猫の元へ駆け寄ろうとした。
洞窟の闇が一層深くなり、不穏な空気がマナと子猫を包み込んでいった。
トラ耳族のマナは姉のマノを追って水晶を取りに鍾乳洞に向かう。マナはその入り口で一匹の子猫を拾い一緒に連れていく事に。姉のマノを探していつもの道を進むが、鍾乳洞内の景色は一変して、蛇の巣に迷い込んでしまう。スカイスネークが威嚇するが、暗い広間の先からそれ以上の恐怖を感じ取るマナであった――。
元気よく家を飛び出したのは、トラ耳族の少女マナだった。
特徴的な猫耳の先を丸くしたような耳がピンと立ち、バックからは大事なおやつである魚の燻製が飛び出しそうになっているのを必死で押さえながら駆け出していた。
「危ない危ない……今日もいっぱい集めるんだから!」
マナの住む集落は、小高い丘にある小さな村で、広大な森を抜けた先にひっそりと存在している。
この土地は、かつて邪龍ナーガが封印された場所からそれほど遠くないため、魔力の影響を強く受ける地域だった。
そのため、普通の人間はこの地で暮らすのが難しく、村には魔力に強い体質を持つ猫耳族――特にトラ耳族が住んでいた。
マナの父親は村の代表として活動しており、最近は邪龍のお城が壊れたとかいう騒ぎで帝都に出向いていた。
そのため、家には母と双子の姉妹マノとマナだけが残されていた。
姉妹は水晶集めに夢中で、今日も鍾乳洞内の秘密の場所に向かう。
「マノ、もう着いてるかな?」
マナは姉のマノのことを思い浮かべながら、慣れた足取りで森を抜け、いつもの鍾乳洞の入り口に向かっていた。
ヤマタイコク自体が巨大な鍾乳洞であり、鍾乳洞はヤマタイコク全体に広がる広大な地下空間の一部で、まるで生き物のように成長を続け、時間が経つごとにその内部の様子が変わると言われている。
鍾乳洞のどこかにある秘密の場所で、水晶集めをするのがマナの日課だった。
「今日も綺麗な水晶を見つけて、いっぱい貯金するんだから!」
貯金箱にコツコツとお金を貯めるのがマナの楽しみだった。
父親に頼んで街で売ってもらった水晶の代金が入るたび、貯金箱を振る音に胸が躍るのだ。
鍾乳洞の入口を探して森を歩いていると、マナの足元に突然何かが絡みついてきた。
「ひゃ! な、なに!?」
思わず声を上げたマナだったが、視線を下ろすとそこにいたのは一匹の小さな猫だった。
「ニャー」
小さく鳴くその猫は、三毛の模様を持ち、どこか愛らしい仕草でマナを見上げていた。
「まあ……かわいい! こんな森で猫なんて珍しいわね。」
マナは驚きながらも、猫をそっと抱き上げた。
この地域では魔力の影響で巨大な蛇や猪のような危険な生物が多く生息しており、小さな猫など見たことがなかった。
都を訪れたときに一度だけ猫を見たことがあるマナにとって、この出会いは衝撃的だった。
「あなた、どうしてこんなところにいるの? ここで一人で生きていくなんて無理よ。……でも、私、強いから大丈夫! 私のお家に来ない?」
マナは子猫を抱えたまま、鍾乳洞の入り口へと進んでいく。
鍾乳洞の入口にたどり着くと、マナは慣れた手つきで背中のバッグから金属の棒を取り出した。
そして、それを軽く振り鳴らす。
「チーン……」
その音が洞窟全体に響くと、鍾乳石が青白く光り始めた。
「すごいでしょ? これ、決まった音に反応して光るのよ!」
マナは得意げに説明しながら、子猫を抱えたまま鍾乳洞の奥へと進んでいく。
子猫はその光に興味を示すように、キョロキョロと周囲を見回していた。
「ふふ、面白い子ね。もしかして、これが気になるのね?」
マナはチャチャに語りかけながら、洞窟内を慎重に進んでいく。
鍾乳洞の中は独特の静けさに包まれ、ぽたぽたと滴る水音だけが響いていた。
進むにつれて道が狭くなり、壁には大きな水晶が輝いている。
マナは目を輝かせながら足を止めた。
「今日もいいのがあるわね……でも、もう少し奥に行こう!」
マナは再び歩き出したが、その時、洞窟の奥から微かな風の流れを感じた。
それと同時に、どこか不気味な気配が漂い始める。
「……なんだろう、この感じ……」
マナは立ち止まり、子猫を抱き直した。
その時、子猫が小さく唸り声を上げた。
「ニャー……」
まるで警戒しているかのようなその声に、マナも緊張を覚える。
「大丈夫よ、私がついてるから。」
そう言いながらも、マナは慎重に足を進め、奥へと向かっていく。
さらに進むと、奥にぽっかりと開いた広間に出た。その中央には巨大な水晶が鎮座し、青白い光を放っていた。
その神秘的な光景にマナはしばし見とれていたが、
「ええ!? なにこれ! 昨日はこんな場所なかったのに、道を間違えちゃったの?」
次の瞬間、子猫が突然彼女の腕の中から飛び出した。
「ちょっと! 猫ちゃんどこに行くの!?」
子猫は広間の中央に向かって走り出し、その場に立ち止まると低く唸り声を上げた。
見上げると頭上にはスカイスネークの大群がこちらを威嚇していた。
「やだ、ここ、蛇の巣じゃない?」
あまりの絶望的な状況に足がすくみそうになるのを必死でこらえた。
その時、洞窟全体が揺れるような音と共に、何か巨大な気配が広間の奥から迫ってきた。
「これは……一体何が起きているの!?」
マナは息を呑み、子猫の元へ駆け寄ろうとした。
洞窟の闇が一層深くなり、不穏な空気がマナと子猫を包み込んでいった。
トラ耳族のマナは姉のマノを追って水晶を取りに鍾乳洞に向かう。マナはその入り口で一匹の子猫を拾い一緒に連れていく事に。姉のマノを探していつもの道を進むが、鍾乳洞内の景色は一変して、蛇の巣に迷い込んでしまう。スカイスネークが威嚇するが、暗い広間の先からそれ以上の恐怖を感じ取るマナであった――。
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