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第136話 ルクス・マギナ攻略作戦 ⁉其の十一
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リリカは呆然としたまま、その場に座り込んでいた。
目の前で繰り広げられた光景、そして自分が闇の力を操って黒騎士を粉砕した事実が、まだ信じられなかった。
彼女は震える声で呟いた。
「私……どうにかなっちゃったの?こんなの、私じゃない……」
戦いが終わった瞬間、彼女の体内に渦巻いていた闇の力が静まり、いつものリリカに戻っていた。
それでも、リリカは自分の中に潜むこの恐ろしい力に戸惑い、怯えていた。
ステラはそんなリリカに静かに近づくと、何も言わずに優しく抱きしめた。
「ステラ……」
リリカはステラの温もりに安心したのか、突然涙があふれ出し、声を詰まらせながら泣き出した。
「怖かった……あんなに強い力が私の中にあって……制御できない……」
ステラはリリカの頭を優しく撫でながら言った。
「大丈夫よ、リリカ。あなたは何も間違っていないわ。たしかに、その力は強大かもしれないけれど、あなたならきっと乗り越えられるはずよ。」
セルフィとレオンは、そんなリリカの様子に安堵しつつも、心配を隠せないまま見守っていた。
セルフィはそっと息をつき、力なく微笑んだ。
「本当に……どうなることかと思いました……でも、リリカ様が戻ってきてくれて、本当によかったです。」
レオンも不安そうな顔でステラに問いかけた。
「でも、ステラ様……あんなに黒い瘴気を取り込んで、本当にリリカ様は大丈夫なんですか?」
ステラは落ち着いた表情でレオンに答えた。
「みんな、落ち着いて。リリカは大丈夫よ。闇の力に触れたことで彼女の体が影響を受けていることは確かだけれど、その力に支配されるわけではないわ。リリカはちゃんと戻ってきたじゃない?」
それでも、リリカの力の暴走を目の当たりにした仲間たちは、どこか不安を感じずにはいられなかった。
ステラはそんな空気を一掃するように、軽く手を叩き、柔らかく笑って言った。
「さあ、ちょっと休憩しましょう。お茶にでもして、気持ちを落ち着けてから話をしようと思うの。」
セルフィが用意してくたハーブティーを淹れると、爽やかな香りがその場を包んだ。
リリカは少し落ち着いた表情でカップを手に取り、一口飲む。
「ありがとう、ステラ……」
しばらく静かな時間が流れた後、ステラは深く息をつき、思い詰めたように言った。
「ここまできたら、隠しても仕方がないわね……みんな、私の話を聞いてちょうだい。」
リリカ、セルフィ、レオンは一斉にステラに注目した。
何か重大なことが語られる予感に、空気が緊張で張り詰める。
「みんな、十年前の魔導大戦は知っているわね?」
セルフィはその言葉を聞くと、少し顔を伏せ、悲しげに答えた。
「はい、ステラ様……あの戦争で、私は家族を失いました……あれは……最悪の出来事でした……」
ステラはその言葉を受けて、静かに頷きながら続けた。
「その戦争を引き起こしたのは、かつての王宮魔法師の一人、アーロンという人物よ。彼は元々、土の属性魔法師だったわ。けれど、さらなる力を求めて……魔法の属性を増やすための研究を始めたの」
「魔法の属性を増やす?」
セルフィが驚いた表情で聞き返す。
「そう……普通、魔法師は一つの属性を持つだけ。けれど、アーロンはそれを超えた力を欲しがったの。そして彼は禁断の人体実験に手を出し始めた。彼の目的は、魔法臓器『コアリス』を他人から奪い、移植することで新たな属性を得ることだったの」
セルフィとレオンは愕然とした顔を見合わせた。
「まさか……そんな……」
ステラはそのまま話を続けた。
「アーロンは他の魔法師を襲い、彼らのコアリスを奪って自分に移植しようとした。でも、その実験はことごとく失敗したわ。新たな属性を得ることはできず、彼は追われる身となり、このルクス・マギナ遺跡に隠れ住んで、さらに研究を続けた。そして、最終的に彼は『闇の属性』を手に入れたの」
レオンが力強く拳を握りしめた。
「その力で、国を乗っ取ろうとしたんですね……でもどうやって闇の属性を?」
ステラは続けた。
「属性が決まる要因は意外と単純よ。火傷して炎の属性になったり、水に溺れて水の属性になったりね。彼は人が寄り付かない魔石の巣窟、このルクス・マギナで魔素を吸い続けた。それが原因だと考えるのが妥当かしらね」
ステラは一口、ハーブティーを飲み
「彼は魔人や魔獣を操り、国を支配しようとした。でも、ガレッド団長率いる六光の騎士団が彼を倒し、彼の計画は阻止されたわ。最終的にアーロンは、闇の力に蝕まれ、自滅したとも言われている。そして……その息子がガイアス。」
セルフィは驚愕の声を上げた。
「じゃあ……今回の一連の事件の首謀者は……」
「そう、ガイアスが今回の事件の背後にいると考えるのが自然でしょう。彼は父親の研究を引き継ぎ、さらに闇の力を増幅させているわ。そして……ここからが本題よ。」
ステラは真剣な目でリリカを見つめ、言葉を続けた。
「リリカ、あなたの体内には、三つの『コアリス』が存在しているの。」
リリカは不思議そうに
「コアリス……?三つ……?」
セルフィが補足して簡単に説明する。
「リリカ様、コアリスと言うのは体内にある魔力を作り出す臓器です。心臓と同じで一人に一つしかない大事な臓器です」
ステラは頷いて言った。
「私はひとの身体に触れるだけで魔力の流れを感じることができるわ。もちろんその源のコアリスの場所もね。私には分かっていた。リリカの体の中には三つ目のコアリスがあって、いつかもう一つの属性が現れる事を」
ステラはゆっくりとハーブティーを飲み干すと
「普通、魔法師は一つの属性しか持てないわ。でも、あなたには三つのコアリスがある。それはつまり、三つの属性を同時に操れるということ。そして、そのうちの一つが……闇の属性なの。」
リリカはその事実に戸惑い、震えながらステラに問いかけた。
「……私は……闇の力なんて……」
「それは、あなたが特別な存在だからよ。リリカ、これまであなたが見せてきた力は、そのうちの一つにすぎない。闇の力は、その一部として目覚めたの。けれど、あなたはその力に飲み込まれる必要はないわ。私たちがあなたを支え続ける。」
リリカはステラの言葉に涙をこぼしながら、小さく頷いた。
「……ありがとう……ステラ……」
「リリカ、私のかわいい妹。どうか悲しまないで」
セルフィとレオンも、そんなリリカを静かに見守っていた。
セルフィが感動のあまり大粒の涙を流していたのは言うまでもない。
リリカは自分の中にある闇の力に戸惑うが、ステラや仲間たちに支えられながらその事実を受け入れていく。ステラが語る魔導大戦の過去と、リリカが持つ三つの「コアリス」によって彼女が唯一無二の特別な存在であることが明らかになるのだった――。
目の前で繰り広げられた光景、そして自分が闇の力を操って黒騎士を粉砕した事実が、まだ信じられなかった。
彼女は震える声で呟いた。
「私……どうにかなっちゃったの?こんなの、私じゃない……」
戦いが終わった瞬間、彼女の体内に渦巻いていた闇の力が静まり、いつものリリカに戻っていた。
それでも、リリカは自分の中に潜むこの恐ろしい力に戸惑い、怯えていた。
ステラはそんなリリカに静かに近づくと、何も言わずに優しく抱きしめた。
「ステラ……」
リリカはステラの温もりに安心したのか、突然涙があふれ出し、声を詰まらせながら泣き出した。
「怖かった……あんなに強い力が私の中にあって……制御できない……」
ステラはリリカの頭を優しく撫でながら言った。
「大丈夫よ、リリカ。あなたは何も間違っていないわ。たしかに、その力は強大かもしれないけれど、あなたならきっと乗り越えられるはずよ。」
セルフィとレオンは、そんなリリカの様子に安堵しつつも、心配を隠せないまま見守っていた。
セルフィはそっと息をつき、力なく微笑んだ。
「本当に……どうなることかと思いました……でも、リリカ様が戻ってきてくれて、本当によかったです。」
レオンも不安そうな顔でステラに問いかけた。
「でも、ステラ様……あんなに黒い瘴気を取り込んで、本当にリリカ様は大丈夫なんですか?」
ステラは落ち着いた表情でレオンに答えた。
「みんな、落ち着いて。リリカは大丈夫よ。闇の力に触れたことで彼女の体が影響を受けていることは確かだけれど、その力に支配されるわけではないわ。リリカはちゃんと戻ってきたじゃない?」
それでも、リリカの力の暴走を目の当たりにした仲間たちは、どこか不安を感じずにはいられなかった。
ステラはそんな空気を一掃するように、軽く手を叩き、柔らかく笑って言った。
「さあ、ちょっと休憩しましょう。お茶にでもして、気持ちを落ち着けてから話をしようと思うの。」
セルフィが用意してくたハーブティーを淹れると、爽やかな香りがその場を包んだ。
リリカは少し落ち着いた表情でカップを手に取り、一口飲む。
「ありがとう、ステラ……」
しばらく静かな時間が流れた後、ステラは深く息をつき、思い詰めたように言った。
「ここまできたら、隠しても仕方がないわね……みんな、私の話を聞いてちょうだい。」
リリカ、セルフィ、レオンは一斉にステラに注目した。
何か重大なことが語られる予感に、空気が緊張で張り詰める。
「みんな、十年前の魔導大戦は知っているわね?」
セルフィはその言葉を聞くと、少し顔を伏せ、悲しげに答えた。
「はい、ステラ様……あの戦争で、私は家族を失いました……あれは……最悪の出来事でした……」
ステラはその言葉を受けて、静かに頷きながら続けた。
「その戦争を引き起こしたのは、かつての王宮魔法師の一人、アーロンという人物よ。彼は元々、土の属性魔法師だったわ。けれど、さらなる力を求めて……魔法の属性を増やすための研究を始めたの」
「魔法の属性を増やす?」
セルフィが驚いた表情で聞き返す。
「そう……普通、魔法師は一つの属性を持つだけ。けれど、アーロンはそれを超えた力を欲しがったの。そして彼は禁断の人体実験に手を出し始めた。彼の目的は、魔法臓器『コアリス』を他人から奪い、移植することで新たな属性を得ることだったの」
セルフィとレオンは愕然とした顔を見合わせた。
「まさか……そんな……」
ステラはそのまま話を続けた。
「アーロンは他の魔法師を襲い、彼らのコアリスを奪って自分に移植しようとした。でも、その実験はことごとく失敗したわ。新たな属性を得ることはできず、彼は追われる身となり、このルクス・マギナ遺跡に隠れ住んで、さらに研究を続けた。そして、最終的に彼は『闇の属性』を手に入れたの」
レオンが力強く拳を握りしめた。
「その力で、国を乗っ取ろうとしたんですね……でもどうやって闇の属性を?」
ステラは続けた。
「属性が決まる要因は意外と単純よ。火傷して炎の属性になったり、水に溺れて水の属性になったりね。彼は人が寄り付かない魔石の巣窟、このルクス・マギナで魔素を吸い続けた。それが原因だと考えるのが妥当かしらね」
ステラは一口、ハーブティーを飲み
「彼は魔人や魔獣を操り、国を支配しようとした。でも、ガレッド団長率いる六光の騎士団が彼を倒し、彼の計画は阻止されたわ。最終的にアーロンは、闇の力に蝕まれ、自滅したとも言われている。そして……その息子がガイアス。」
セルフィは驚愕の声を上げた。
「じゃあ……今回の一連の事件の首謀者は……」
「そう、ガイアスが今回の事件の背後にいると考えるのが自然でしょう。彼は父親の研究を引き継ぎ、さらに闇の力を増幅させているわ。そして……ここからが本題よ。」
ステラは真剣な目でリリカを見つめ、言葉を続けた。
「リリカ、あなたの体内には、三つの『コアリス』が存在しているの。」
リリカは不思議そうに
「コアリス……?三つ……?」
セルフィが補足して簡単に説明する。
「リリカ様、コアリスと言うのは体内にある魔力を作り出す臓器です。心臓と同じで一人に一つしかない大事な臓器です」
ステラは頷いて言った。
「私はひとの身体に触れるだけで魔力の流れを感じることができるわ。もちろんその源のコアリスの場所もね。私には分かっていた。リリカの体の中には三つ目のコアリスがあって、いつかもう一つの属性が現れる事を」
ステラはゆっくりとハーブティーを飲み干すと
「普通、魔法師は一つの属性しか持てないわ。でも、あなたには三つのコアリスがある。それはつまり、三つの属性を同時に操れるということ。そして、そのうちの一つが……闇の属性なの。」
リリカはその事実に戸惑い、震えながらステラに問いかけた。
「……私は……闇の力なんて……」
「それは、あなたが特別な存在だからよ。リリカ、これまであなたが見せてきた力は、そのうちの一つにすぎない。闇の力は、その一部として目覚めたの。けれど、あなたはその力に飲み込まれる必要はないわ。私たちがあなたを支え続ける。」
リリカはステラの言葉に涙をこぼしながら、小さく頷いた。
「……ありがとう……ステラ……」
「リリカ、私のかわいい妹。どうか悲しまないで」
セルフィとレオンも、そんなリリカを静かに見守っていた。
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