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第126話 ルクス・マギナ攻略作戦⁉其の一

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 ルクス・マギナ攻略作戦の決行の日がついに訪れた。

 早朝、まだ暗い空の下、冷たい風が微かに吹き抜ける。

 猫耳ハウスでは、猫耳三姉妹であるステラ、リリカ、セルフィがそれぞれの準備を終え、静かな緊張感が漂っていた。

「よし、準備はいいかしら」

 とステラが声をかける。

「うん、大丈夫」

 とリリカが応じる。

 セルフィも黙って頷き、三人とチャチャは馬車に乗り込み、王宮内の「転移の間」へと向かった。

 そこで彼女たちを待っていたのは、作戦の司令官であるメルヴィルと、騎士に昇格したばかりのレオン。

「おはようございます」

 とセルフィが敬礼しながら挨拶をすると、メルヴィルが微笑んで迎えた。

「皆、おはよう。準備はできているわ」

 と言いながら、メルヴィルは床に描かれた大きな魔法陣を見せた。

 魔法陣は淡い光を放ち、ゆっくりと回転している。

「転移の魔法陣か……あいかわらずすごいね」

 とリリカが目を輝かせる。

「さあ、そろそろ出発よ」

 とステラが言い、全員が魔法陣の中央へと集まる。

 その時、扉が開き、足音が響き渡った。そこに現れたのは、エリオス王子だった。

「まだ出発前でよかった……」

 とエリオスが少し息を切らしながらやって来た。

「エリオス?どうしてここに?」

 とステラが不思議そうに尋ねる。

 エリオスは少し照れながら答えた。

「君たちが出発する前に、どうしても一言伝えたくて……」

 その言葉に全員が注目する。

 エリオスは深呼吸をしてから、真剣な顔で言葉を続けた。

「皆、どうか無事で帰ってきてほしい。リリカ、セルフィ、ステラ、そしてレオン。僕たちは君たちを信じてるし、君たちならこの任務を成功させられると確信している。それでも、万が一何かあったら……」

「心配しすぎよ、エリオス」

 とリリカが微笑みながら言った。

「私たち、猫耳三姉妹よ?そんな簡単にやられたりしないわ!」

 ステラもエリオスの手を軽く握り、

「大丈夫。私たちは必ず無事に戻ってくるわ」

 と優しく言った。

 エリオスは少し安心した様子で頷き

「じゃあ、頑張ってきて」

 と力強く送り出した。

 メルヴィルが転移の準備を進め、魔法陣がさらに強い光を放ち始めた。

「さあ、みんなしっかり手をつないで輪を作って!」

 リリカはチャチャをぎゅっと抱きしめてステラの手を握る。

「転移魔法、私大好き……」

 リリカがワクワクした様子でステラの手を握ると、ステラは緊張のあまり

「お願いリリカ!絶対に手を離さないでね!」

 セルフィとレオンも互いに手を取りあい、四人は輪を作った。

 メルヴィルが魔法陣の中心に立ち呪文を唱え始めると、魔法陣全体が白く光り始め回転の速度を上げていく。

 魔法陣の光は一層強くなり、四人と一匹の姿は光とともに地中へと消えていった。

 足元がすっと沈む感覚にやはり皆、過剰に反応してしまう。

「うわっ、きたきた!」

 リリカが楽しそうに声を上げた。

 光のトンネルへと吸い込まれ、その中を滑り落ちていく。

 一切の音がしない静寂の中、視界には光の流れが続いていた。

「ねえねえ、体が宙に浮いてる感じが最高!ステラも目を開けてごらんよ」

 リリカは興奮しながら叫び、ステラは緊張のあまり閉じていたまぶたをゆっくりと開けた。

「きれい……」

 上を見上げるとどこまでも広がる白い光の空間が見えた。

 慣れているセルフィは冷静に状況を見守る。
 
 一方、レオンはあいかわらず気分が悪くなり、やや困ったような声を漏らした。

「やっぱり……酔ってきました……気持ち悪いです……」

 すると森の入口の魔法陣が開き皆、いっせいに飛び出した。

 猫耳三姉妹とチャチャは優雅に着地を決めたがレオンは勢い余って道端に転がっていった。

「レオン大丈夫?」

 セルフィが心配して駆け寄ると、リリカは肩をすくめて笑い

「レオン、張り切ってるねえ?」

 と冗談っぽく言うと

 ステラが

「頼もしいわね」

 と呆れた様子で言った。

 レオンはやっとのことで体勢を整えると

「すみません。どうも急に体が重くなる感覚になれなくて、ちょっとだけ時間をください……酔いが少し残ってるみたいです」

「大丈夫?無理しないで、少し休んでからでもいいよ」

 セルフィが心配そうに声をかけると、レオンは頷き、数回深呼吸をして立ち直った。

「ありがとうセルフィ。もう大丈夫。行きましょう」

 四人と一匹は気を取り直し、森の入口から遺跡へと向かって歩き始めた

 ルクス・マギナ攻略作戦の開始。猫耳三姉妹、レオン、そしてチャチャが緊張感の中転移魔法で森の入口に到着する。不安や興奮が交錯する中、いつともと変わらない猫耳三姉妹のやり取りにちょっだけ安堵するレオンであった――。
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