目覚めたら猫耳⁉ ～神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第111話 リリカ覚醒⁉驚きの能力！

　猫耳ハウスの夜は静かに更けていった。

　リリカが引き起こした「覗き見事件？」は無事に解決し、セルフィも気持ちよく許したことで、無事に和解？したのだった。
　
　外はすっかり暗くなり、ステラは窓を開けて冷え込む夜風を部屋に取り入れた。

　夜風が心地よく、ほんのりと冷たいその風が部屋の空気を清々しくしてくれる。

　窓の外、街灯の下では、巡回中の騎士がしっかりと警戒を続けている。その姿を見たステラは、何気なく軽く手を振った。

　騎士は一瞬驚いたようだったが、すぐに敬礼を返し、巡回を続けていった。

　ステラは小さく笑いながら、窓から視線を外し、室内に戻った。

「風が気持ちいいわね」

　と、穏やかに言葉を投げかけたステラは、セルフィに目を向けた。

「それで、セルフィ。何があったのか、教えてくれる？」

「もちろんです、ステラ様」

　とセルフィはにっこりと笑みを浮かべながら答えた。

　「お二人もご存じの通り、私はレオンのことがずっと好きでした。ステラ様が、診療所に残ってレオンの看病をするように言ってくださった時、私はその言葉にすごく背中を押されたんです。あの時はレオンが死んじゃったらどうしようって本当に怖くて……」

　セルフィの声は一瞬震えたが、彼女はすぐに落ち着きを取り戻し、話を続けた。

「でも、レオンが元気を取り戻した瞬間、もう、うじうじ悩むのは嫌だって思ったんです。それで、思わず半分寝ぼけてたせいもありますけど、服を脱いで、レオンに添い寝してしまったんです。今考えると、無謀だったかもしれませんが……彼が目を覚ましたら好きだと言おうと思っていたんです。でも、実際に言ったのはレオンの方で……『好きだ、俺の恋人になってくれ』って……もうその瞬間、私は……」

　セルフィは恥ずかしそうに顔を赤らめ、言葉を詰まらせた。

　ステラとリリカは、その微笑ましい様子に少し笑みを浮かべながらも、じっと耳を傾けていた。

「たぶん、その時からリリカ様に見られていたんじゃないかなって思います」

　とセルフィはちらりとリリカの方を見ながら続けた。

「わたし、そこで大泣きして『はい』って答えました。そして、ついにレオンと私は恋人同士になりました……」

「本当に良かったわね、セルフィ！」

　ステラはにこやかに祝福し

「おめでとう！」

　と声をかけた。

　それに続いてリリカも、興奮気味に声を上げた。

「すごいラブラブで、びっくりしちゃったよ！　だって、キスしてたし！」

「リリカ様！」

　セルフィは顔を真っ赤にし

「その辺のことは忘れてください！」

　と真顔で懇願した。

　リリカはその姿にくすっと笑った。

「それじゃあ、リリカ。今度はあなたの番よ。透明になったってどういうこと？セルフィやガレット団長も気づかなかったって本当なの？」

　とステラは真剣な表情でリリカを見つめる。

　リリカは少し得意げに微笑みながら頷いた。

「本当だよ。ガレッドにも気づかれなかったんだよね」

「信じられない……」

　セルフィは眉をひそめながら驚きを隠せなかった。

「私、魔力感知には結構自信があったんですけど……本当に全く気配を感じませんでした。リリカ様、透明になったってどうやってやったんですか？」

「じゃあ、ここでやってみるね！」

　リリカは元気よく言うと、ベッドの上で目を閉じ、深呼吸をした。

　すると、リリカの体全体が赤や黄色の光の粒子に包まれ、それがやがて消えると同時に、リリカの姿もすうっと消えてしまった。

「えっ、嘘でしょ？　リリカ、どこ？」

　ステラは慌てて手を伸ばし、空間を探るようにした。

　その瞬間、ステラの手がリリカの体に触れ、確かに彼女がそこにいることが分かった。

「ね！ここにいるよ！」

　リリカの声が聞こえ、彼女の体の輪郭が揺らめく蜃気楼のように波打った。

「すごい……全く魔力が感じられないなんて……これが野外だったら、完全に見失います」

　とセルフィは息を飲んで感嘆した。

「まるでカメレオンみたいね。カエルかも？」

　とステラは冗談を交えて微笑んだが

　リリカはすかさず叫んだ。

「ひどいよ、ステラ！　リリカはカメレオンでもカエルでもないよ！でもね……透明にはなるんだけど……戻し方が分からないの……」

　とリリカは困ったように肩をすくめた。

「ええ！？　大丈夫なの？」

　ステラは心配そうに尋ねたが、リリカはすぐに頷いた。

「うん、大丈夫。しばらくしたら勝手に戻るみたい、時間はかかるけど……今日の朝もそうだったし」

　それからしばらくして、リリカは元の姿に戻った。

　その瞬間、ステラとセルフィは安堵しつつも、リリカの急激な成長にただただ驚くばかりだった。

「リリカ様、すごいです……こんな力、どうやって？」

　セルフィは感心しながらリリカに質問を続けた。

「今日の朝は普通に六隠密を使ったつもり……でも気づいたら体が消えてたんだよ。それで、ちょっと遊んでたんだけど、透明になるのが気持ちよくて……。ただ、戻れなくてびっくりしちゃったけどね。」

「でも、本当に凄いわ、リリカ。これで偵察任務を実行に移せる」

　とステラは言いながら、今後の展開に胸を膨らませた。

　猫耳ハウスの寝室では、ステラ、セルフィがリリカの新たな能力に驚きつつも、これからの任務に対して新たな期待を抱いていた。リリカの透明化能力という驚異的なスキルを得てルクス・マギナ遺跡の偵察任務決行を決意するステラであった――。