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第90話  猫耳の甘い囁き⁉セルフィの長い夜! 其の一

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 猫耳ハウスの夜が更ける中、猫耳魔法大隊の会議もようやく終わり、三人の間にはほっとしたような空気が漂っていた。リリカ、ステラ、そしてセルフィ。これまでの一日の疲れが体にじわじわと広がり、睡魔が次第に襲いかかってきていた。

「ふぅ…久々の女子会楽しかった」

 とリリカは大きなあくびをしながら、目をこすった。

 ステラも頷きながら

「そうね。でも、正直今日はもうヘトヘトよ」

 と微笑んだ。

 セルフィはリリカとステラを見て内心少ほっとしていた。二人が前向きに話し合っている姿を見て、改めて彼女たちが頼もしい仲間であることを感じていた。

 しかし、リリカがふと不安げに呟いた。

「でも、もし今夜また黒騎士が来たらどうしよう?この間だって、あんな突然現れたし……。ちゃんと眠れるかな……」

 その言葉に、一瞬、空気が張り詰めた。黒騎士の不気味な登場が脳裏に蘇り、再び襲撃されるのではないかという不安が三人の中で広がった。しかし、ステラはすぐにリリカの肩に手を置いて、落ち着いた声で言った。

「大丈夫よ、リリカ。もしまた黒騎士が現れたとしても、今はしっかり備えているわ。それに、チャチャが異変を察知して知らせてくれるはずよ。彼女がいてくれる限り、私たちはすぐに対処できるわ」

 リリカはその言葉に少し安心したようで

「そうだね、チャチャがいるから大丈夫だよね」

 と微笑んだ。

「気にしても仕方ないわ。睡眠は大事よ」

 とステラは続けた。

「明日に備えて、今夜はゆっくり休みましょう」

 リリカはさらに甘えたような笑顔を浮かべながら、

「じゃあさ、ステラのベッドで三人一緒に寝ようよ。広いベッドだし、みんなで川の字になって寝ようよ!」

 と提案した。

 ステラは一瞬驚いたが、すぐに笑顔で答えた。

「いいわね。それなら安心して眠れるし、スペースは十分あるもの。みんなで寝ましょう」

「え?あの……私もいいんですか?」

 セルフィが明らかに動揺しながら言った。

 するとステラがポンポンとマットをたたきながら手招きして言った

「もちろん!じゃあセルフィ、こっちにおいで。セルフィは真ん中ね」

 そう言ってステラはセルフィの手を取り隣で寝るよう促した。ステラとセルフィは手をつないだままベットに横になった。リリカは灯りを消しチャチャと一緒にセルフィの背後で横になった。

「よし、これで準備万端!」

 リリカは満足げに言い、セルフィに寄り添うようにして目を閉じた。

「おやすみ、リリカ。セルフィも、おやすみなさい」

 とステラが優しく言うと、リリカもセルフィもそれぞれ

「おやすみなさい」

 と返した。

 静かな夜が広がり、部屋の中はリリカとステラの穏やかな寝息が響く。二人はすぐに疲れからか、深い眠りに落ちていった。しかし、セルフィは一人、なかなか眠りにつけなかった。

 彼女は興奮と緊張で寝るどころではなかった。目の前にステラ、そして背後にはリリカ。大好きな二人と同じベットで横になり、しかもステラと手を握りあっているという特殊な状況は、セルフィの心を躍らせるには十分だった。

「こっこれは……なんて幸せな状況なのかしら……!」

 セルフィは心の中で呟いた。 

 静かな夜、月明かりが窓から差し込み、二人の寝顔を照らしている。ステラの寝顔に目をやると、セルフィは胸の高鳴りを抑えきれなかった。ステラの穏やかな顔、柔らかな呼吸、そして白く輝く肌。その全てが、セルフィにとって夢のような光景だった。

「ステラ様……」

 思わずその名前が口をついて出る。セルフィは、抑えられない衝動に突き動かされるように、そっと体を移動させ、ステラの顔をさらに近くで見つめた。月明かりの下で輝くその姿は、まるで幻想のようだった。普段の冷静で毅然とした彼女とは違い、今のステラはただ無防備で、甘美な魅力に溢れている。

「こんなに近くでステラ様の顔を見つめられるなんて……初めて……」

 セルフィはその優雅な寝顔に手を伸ばし、思わずステラの猫耳に触れた。柔らかい手触りが指に伝わり、心臓が一瞬止まりそうになるほどの幸福感が広がる。その感触を確かめるように、セルフィはゆっくりと撫で始めた。

「こんなに……ふわふわで……」

 触れるたびに、猫耳がピクリと動く。

「キャ!なんてかわいい猫耳!」

 セルフィの心はどんどん深い快感に包まれていった。もっと触りたい、もっと近づきたい。そう思いながら、指先で猫耳を優しくなぞり続ける。ステラの体は薄い光魔法の幕で包まれているかのようで、彼女の頬に触れるとまるで柔らかい絹に触れるような感触がした。

「ステラ様の肌……こんなに滑らかで……」

 指先が滑らかな頬に触れると、セルフィはさらにその魅力に引き込まれていく。ステラの唇が少し開き、静かな寝息が彼女の耳元に届くたび、胸が高鳴る。もっと触れたい、もっとこの瞬間を味わいたい。そんな欲望が抑えられなくなってきた。

「ステラ様……」

 セルフィが夢中でステラの頬を撫でていると、突然背後からリリカが抱きついてきた。おもわずリリカの方に振り返ると、セルフィの胸元に顔をうずめてきた。

「ヒャッ!リ、リリカ様……!?」

 セルフィは驚きつつも、心がさらに揺れ動く。リリカは子供のようにセルフィに甘え、その顔を彼女の胸元にグイグイと埋めてくる。

「セルフィ……セルフィ~」

 リリカの甘い囁きが、心地よく耳に響く。その声に、セルフィはさらに体が熱くなるのを感じた。リリカの柔らかい体がぴったりと寄り添い、温かさが伝わってくる。無意識のうちに、セルフィの手はリリカの猫耳に触れていた。

「リリカ様……なんて可愛い……」

 セルフィはリリカの耳を優しく撫で、心の中でさらに興奮が高まっていく。彼女の柔らかな髪と耳、そして甘い囁きに包まれながら、セルフィは二人に挟まれた幸福感に浸っていた。

 リリカの無防備な寝顔を抱きしめているうちに、セルフィの中でさらに愛おしさが膨らんでいく。二人が眠っている間だけ、セルフィはこの瞬間を自分だけのものにしたいと強く願った。

「猫神様……ありがとうございます……」

 ステラとリリカに挟まれながら、セルフィは眠れない夜を過ごした。普段は強気で頼もしい彼女が、大好きな二人に触れることで心を満たされ、幸せを感じていた。甘美な時間を楽しみながら、いつまでもその幸福感に包まれていたいセルフィであった――。
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