目覚めたら猫耳⁉ ～神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第67話 チャチャとの特訓⁉ 光の力と共に！

　ステラがアレクとのデートに出発し、王立牧場に着いた頃、リリカはメルヴィルの研究所に向かっていた。だが、方向音痴な彼女のことを心配したセルフィが、結局同行することになった。

「リリカ様、また迷ってしまうと大変ですからね」

　とセルフィは微笑みながら言う。

「ごめんね、セルフィ。私、まだ迷っちゃいそう…」

　二人はそんな会話をしながら、メルヴィルの研究所に到着した。研究所は壮大な外観を持ち、どこか神秘的な雰囲気が漂っている。リリカは久しぶりに訪れるこの場所に、少し緊張しながらも心を躍らせていた。

　メルヴィルが二人を奥の部屋へと案内した。その部屋は殺風景で、天井が高く、やたらと広く感じた。無駄に広く感じるその空間に、リリカは少し圧倒された。

「ここで何をするんだろう？」とリリカは首をかしげた。

　その瞬間、ニャ～という鳴き声が響いた。リリカは声の方を見ると、愛猫チャチャが目の前に飛びかかってきた。

「チャチャ！」リリカは嬉しそうに抱きしめた。チャチャは元気そうで、リリカにすり寄りながら、尻尾をふわふわと揺らしていた。

「チャチャは一旦ここで訓練をすろことになったの。リリカと一緒に暮らせるようにね」

　とメルヴィルは説明した。

「今日は、その訓練の成果をリリカにも見せたいと思って」

リリカはチャチャを見つめながら、驚きと感動で胸がいっぱいになった。

「チャチャと一緒に暮らせたらどんなにいいだろう」

「リリカ、あなたも光魔法の使い手。 それならば、ステラがやったようにチャチャの額にある水晶に光の魔力を注ぐことができるはず。そうすればチャチャはその光の力を利用して、さらなる変身や回復ができるようになるわ」

　メルヴィルの言葉にリリカは少し緊張したが、同時にワクワクしていた。

「私が…チャチャのために。がんばらなきゃ！」

「では、さっそく訓練を始めましょう」とメルヴィルは声を張り上げ、チャチャに命令を下した。「チャチャ！第一形態！」

　その瞬間、チャチャの額にある水晶が紫色に光り始めた。リリカはその変化に目を見張った。チャチャの体が徐々に大きくなり、リリカよりも一回り大きくなった。鋭い牙と爪は、かつて森の悪魔と恐れられた存在を思い起こさせるものだったが、今はその姿に神々しさすら感じられた。

「チャチャ…すごい！これが訓練の成果なんですね」

　とリリカは感嘆の声を上げた。

「ええ、リリカ。チャチャも今では魔法を使えるのよ。属性はリリカと同じく火のようね。光の力を注ぐことで、さらなる力を引き出せるようになったわ」

　とメルヴィルは誇らしげに説明した。

　すると、メルヴィルは続けてリリカに命じた。

「リリカ、チャチャの背中にまたがってみて」

「えっ、私がですか？」とリリカは驚いたが、さっそく、チャチャの背にまたがることにした。チャチャの体はしっかりしていて、背中に乗った瞬間、その力強さが伝わってきた。

「首輪をしっかり握って！」

　とメルヴィルが指示すると、リリカは首輪をしっかり握りしめた。

「チャチャ、行け！」

　メルヴィルが合図を送ると、チャチャはゆっくりと歩き始めた。リリカは最初、少し緊張していたが、次第にチャチャのリズムに慣れてきた。

「すごい！チャチャ、すごいよ！」とリリカは笑顔で叫んだ。

　チャチャが歩き出したかと思えば、突然速度を上げ、リリカを背に乗せたまま走り始めた。風がリリカの髪を吹き抜け、彼女は必死でしがみつきながらも、そのスピード感を楽しんでいた。

「チャチャ、すごく速い！」

　とリリカは興奮気味に叫んだ。

　すると、チャチャはさらなるスピードで跳びはねたり、空中を滑るように走ったりと、まるで飛んでいるかのような動きを見せた。リリカはその度に体が浮き上がる感覚を楽しんでいた。

「リリカ、チャチャに乗れば、どんな乗り物よりも早く移動できるわ」

　とメルヴィルは笑みを浮かべた。

　チャチャが空を飛ぶかのように軽やかに動くたび、リリカの心は解放されていく。まるで風と一体になったかのように、自由な感覚に包まれていた。

「すごい！こんなに楽しいなんて！」とリリカは笑いながら叫んだ。

　やがて、チャチャはスピードを落とし、再びゆっくりと歩き始めた。リリカはまだその余韻に浸りながら、チャチャの背中から降り立った。

「チャチャ、ありがとう！すごく楽しかったよ！」とリリカはチャチャの首元を撫でながら感謝を伝えた。

「リリカ、今日の訓練はここまでにして、今後もチャチャと共に力を合わせて、さらなる成長を目指していきましょう」

　とメルヴィルは微笑んだ。

「はい、メルヴィルさん。よろしくお願いします！」

　とリリカは力強く答えた。

　セルフィもその様子を見守りながら、微笑みを浮かべていた。

「リリカ様、本当にすごいですね。チャチャとの絆がどんどん深まっていくのが感じられます」

「ありがとう、セルフィ。でも、これからもっと頑張らないといけないね！」

　とリリカは笑顔で応えた。

　チャチャの初めての訓練は無事成功したが、さらなる試練が待ち受けていることだろう。だが、リリカはチャチャとの新たな絆を感じ、彼女自身もさらなる成長を遂げることを誓ったのであった――。