上 下
64 / 198

第64話  猫耳アイドルの休日⁉ 街での注目ショッピング!

しおりを挟む
 ステラが朝の散歩から戻り、猫耳ハウスのキッチンで朝食の準備が整った。香ばしい匂いが部屋中に広がる中、ステラはテーブルに着く。

「ステラ様、お待ちくださいね。リリカ様を起こしてきます」

 セルフィは寝室へと向かう。扉を開けると、リリカはまだベッドでぐっすり眠っていた。柔らかな黒髪が枕に広がり、猫耳がピクピクと動いている。

「リリカ様、おはようございます。朝ですよ。起きてください」

 セルフィが声をかけるが、リリカはまだ目を開けようとしない。少し困った表情を浮かべたセルフィは、リリカの肩を優しく揺さぶった。

「うぅん…あとちょっと…」リリカは寝ぼけたまま、枕をぎゅっと抱きしめて、もごもごと何かを呟いている。

「もう、仕方ないですね。ステラ様も待っていますよ。さぁ、起きましょう」

 セルフィは優しく、しかししっかりとリリカをベッドから引きずり出すようにして起こした。

 やっと目を覚ましたリリカは、ふらふらとした足取りでリビングへと向かい、眠たそうな顔のまま枕を抱えて現れた。

「おはようごにゃい…ます…」リリカはぼんやりとした目でテーブルに座り、欠伸をしながら挨拶した。

「やっと起きたのね」とステラが微笑みながら、リリカを見つめた。

「うん、でもまだ寝むい…」リリカはまだ眠たそうな顔をして、食器を手に取った。

 朝食終えて、朝の恒例である本日のスケジュールをセルフィが報告する。

「今日は急きょオフ日にしました。街に買い物に行きましょう。ステラ様、リリカ様の服も一緒に選びたいと思います。それに、ステラ様の明日のデートのためのお洋服も見つけなきゃいけませんからね!」

 「デート!?」
 
 突然飛び出した言葉に、リリカはびっくりして、寝ぼけ眼のままポカンとした顔でステラを見つめた。

「そうですよ、ステラ様。明日はアレク様とデートです!」

 セルフィはニヤニヤと笑いながら、ステラに視線を送った。

 リリカはますます驚いて、ステラとセルフィのやり取りを見つめる。

「え…デート?ステラが?アレクと?どういうこと!?」

「そのままの意味よ、リリカ。アレクシス様から、明日二人きりで出かけようって誘われて…」

 ステラは少し恥ずかしそうに視線をそらしながら説明した。

 リリカはしばらく呆然とした表情で、何も言えなかった。

 「え、あの、デートって…そういう意味のデート?」

 セルフィはそんなリリカの反応にクスクスと笑い、

「そうです、リリカ様。これは正真正銘のデートのお誘いです。アレク様はステラ様にぞっこんですよ。みんな知っていますよ」

 と楽しそうに言った。

 リリカはますます困惑し、目をパチパチと瞬きしながら頭を抱えた。

「そ、そんな…ステラが王子とデートなんて…全然理解できないんだけど!」

「ふふ、リリカ様もいつか分かりますよ。さあ、今日はそのための準備をしましょう!」

 セルフィは笑いながら、リリカの背中をポンと叩いた。

「それじゃあ、準備して出かけましょうか」

 とステラが言うと、セルフィはすぐに立ち上がり、何かを思い出したように言った。

「その前に、私はメルヴィル様にご報告をしてきますね。すぐ戻りますので、少しお待ちください」

 セルフィはテキパキと動き、メルヴィルのもとへと向かった。しばらくして、セルフィが戻ってくると、何か伝えることがあるように慎重な表情を浮かべた。

「それから、アレクシス王子からの伝言も承っております。明日の朝、朝食を終えた頃合いにお迎えに上がるそうです。そしてリリカ様は、明日メルヴィル様の研究所にお越しください、とのことです」

 リリカは少し驚いたが、すぐに微笑み

「メルヴィルさんの研究所か…何するんだろ?」

「はい、そういうことですので、明日は予定がしっかり組まれています!」

 とセルフィはにっこり笑った。

 その後、三人は街へと繰り出した。猫耳ハウスを出ると、賑わう街並みが広がり、三人は楽しい一日を過ごすことを楽しみにしていた。王宮から通達も出ており、ステラとリリカが王宮の関係者で国の防衛のTOPであることが知られているため、街で見かけても騒がないようにというお達しが出ていた。これにより、二人は猫耳や尻尾を隠さずに堂々と歩くことができるようになっていた。

 しかし、街の人々の視線は彼女たちに注がれていた。特に、ステラとリリカはアイドルとしても人気があり、その美しさと魅力に誰もが釘付けになっていた。

「やっぱり、目立つわね…」ステラが少し照れたように呟くと、リリカが明るく笑った。「まぁ、仕方ないよ。私たちはアイドルでもあるし、ね?」

 それでも二人は気にすることなく、街中を楽しく歩き回った。二人がじゃれあう姿に、街の人々は思わず微笑みを浮かべ、その可愛らしいやりとりに魅了されていた。

 セルフィは、二人の様子を見ながらも目的に集中していた。今日は何としてでも、ステラのデートにふさわしい服を見つけるために、いくつかの服屋を巡ることに決めていた。

「ステラ様、これなんてどうですか?」

 セルフィは薄い水色のワンピースを手に取り、ステラに見せた。「王子様もきっとこの色がお好きだと思いますよ」

「うーん、いいかもしれないけど…ちょっと派手じゃない?」ステラは少し躊躇いながらも、セルフィの提案を検討していた。

「いえいえ、デートなんですから少しお洒落しなきゃダメですよ。王子様に素敵なステラ様を見せるためには、このくらいは必要です!」

 リリカも賛成の意を込めて頷き

「そうだよ、ステラ!せっかくだから、いつもとは違う自分を見せてみようよ!」

 と明るく言った。

 ステラは二人の励ましに少し照れながらも、ワンピースを手に取り、試着室へと向かった。

「ステラ様、楽しみですね!明日はきっと素敵な一日になりますよ!」セルフィは目を輝かせながら、ステラの背中を見送った。

 それからもいくつかの店を回り、セルフィは真剣な表情で、いくつもの服を見ては手に取り、ステラに合うものを探していた。彼女の美しさは、自然と周りの人々の視線を集めていた。

「これなんてどうかしら?」

 白いプリーツスカートと黒いタンクトップを手にとり体に押し当てて見せる。その姿に、店員たちも思わずウットリと見とれてしまった。まるで何かの舞台で、主役を演じているような美しさだった。

「ステラ様、素敵です!」店員の一人が思わず口にした。その声に店内の他の客も気づき、遠巻きにステラたちの様子を伺うようになった。邪魔をしてはいけないと感じながらも、皆一目でもいいからステラの美しい姿を見ようと、店の中を覗き込んでいた。

 ステラの淡い水色の髪が優雅に揺れ、キラリと輝く水色の瞳。彼女が動くたびに、店内の空気が静かに揺れ、見ている人々の心をつかんで離さなかった。

「ステラ様、本当にこの色が似合いますよ!絶対にお似合いです!」

 店員は興奮気味に言う。

 そんなやり取りを見ていた人々は、ますますステラの気品と美しさに引き込まれていた。

 店の外には人が集まり、通行人も足を止めて、中の様子を覗き込んでいた。ステラとリリカが店内にいると知って、みんながどうしても一目でもその姿を見たいという思いでいっぱいだった。しかし、彼女たちの邪魔をしてはいけないという思いもあり、遠くから静かに見守るだけだった。

 その後も、三人は服屋を何軒も巡りながら、楽しそうに買い物を続けた。ステラのデート服を選ぶたびに、セルフィは「これだ!」と言いながらステラに似合いそうな服を勧めていた。そしてリリカもそれに加わり、笑い声が絶えない一日となった。三人はいつもと違う自分たちを楽しみながら、街でのショッピングを満喫したのだった――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女貞操逆転世界で、自己肯定感低めのお人好し男が、自分も周りも幸せにするお話

カムラ
ファンタジー
※下の方に感想を送る際の注意事項などがございます! お気に入り登録は積極的にしていただけると嬉しいです! ーーーーーーーーーーーーーーーーーー あらすじ    学生時代、冤罪によってセクハラの罪を着せられ、肩身の狭い人生を送ってきた30歳の男、大野真人(おおのまさと)。  ある日仕事を終え、1人暮らしのアパートに戻り眠りについた。  そこで不思議な夢を見たと思ったら、目を覚ますと全く知らない場所だった。  混乱していると部屋の扉が開き、そこには目を見張るほどの美女がいて…!?  これは自己肯定感が低いお人好し男が、転生した男女貞操逆転世界で幸せになるお話。 ※本番はまぁまぁ先ですが、#6くらいから結構Hな描写が増えます。 割とガッツリ性描写は書いてますので、苦手な方は気をつけて! ♡つきの話は性描写ありです! ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 誤字報告、明らかな矛盾点、良かったよ!、続きが気になる! みたいな感想は大歓迎です! どんどん送ってください! 逆に、否定的な感想は書かないようにお願いします。 受け取り手によって変わりそうな箇所などは報告しなくて大丈夫です!(言い回しとか、言葉の意味の違いとか) 作者のモチベを上げてくれるような感想お待ちしております!

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

処理中です...