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第51話  ドタバタ救出劇⁉ レオンの受難!

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 レオンが男湯でのんびりと湯に浸かっていたその時、突然バシャッ!という音と共に何かが湯船に飛び込んできた。

「うわっ!?」

 驚いて振り返ると、そこには顔を真っ赤にして息を切らしたセルフィがバスタオル一枚という無防備な姿で立っていた。彼女は焦りの表情を浮かべながら湯船の中で必死に呼吸を整えていた。

「セルフィ!?どうしたんですか!?ここは男湯ですよ!」

 レオンはその姿に驚き、反射的に大声を上げたが、セルフィはそんなことはお構いなしに話し始めた。

「レオン!大変なの!ステラ様とリリカ様がのぼせちゃって動けなくなってる!」

「ええ!?のぼせたって、二人が!?そ、それは一大事だ…!」

 レオンは一瞬状況を把握できずに固まったが、すぐに事態の深刻さを理解し、慌てて湯船から飛び出した。体をタオルで軽く拭きながら、焦るセルフィを見て決断した。

「急いで涼しいところに連れて行かなきゃ…でも、僕が女湯に入るわけには…」

「そんなこと言ってる場合じゃないわ!早く来て!」

 セルフィはレオンを急かし、二人は女湯へ駆け込んだ。扉を開けると、湯船の縁にもたれかかっているリリカとステラがぐったりとしていた。二人とも顔が真っ赤で、尻尾が絡み合っている状態だった。

「ステラ様!リリカ様!大丈夫ですか!?こ、これは…」

 レオンが慌てて近づき、状況を確認すると、リリカが弱々しく声を出した。

「うぅ…熱い…動けない…」

 一方、ステラも顔が真っ赤になり、意識が朦朧としている様子だ。レオンは急いで二人を助け出そうとするが、ふと気づいたことがあった。

「待って…二人の尻尾が絡まってる!?」

 リリカとステラの白い尻尾が互いに絡み合い、まるで結び目のようにきつく縛られている。レオンは焦りながらそれを解こうとするが、力を入れるたびに二人が顔をしかめる。

「い、痛い…」

「レオン、無理に引っ張らないで…」

 どうやら無理に解こうとすると逆効果のようだ。レオンは仕方なく、二人をそのまま湯船から抱きかかえることに決めた。

「くっ…もうこうなったら、二人を抱えて涼しいところに移動するしかない!」

 レオンは腰にタオルを巻いたまま、リリカとステラを両手で抱きかかえる。力強く抱え上げると、二人はレオンの首に手を回し、まるで抱きつくように顔を近づけてきた。

「えっ…」

 レオンは一瞬言葉を失った。リリカとステラの顔がすぐ近くにあり、彼女たちの肌が柔らかく、ぬるっとした感触が伝わってくる。そして二人とも無意識のうちにレオンの首に手を回し、頬をくっつけてきた。

「な、なんだこの状況…!?」

「レオン…助けて…」

「うぅ…頭がぼーっとする…」

 リリカとステラの甘い声が耳元で囁かれ、レオンは心臓がバクバクと跳ね上がるのを感じた。

「ま、待ってください!こっこの状況!勘弁してください!」

 レオンは慌てふためきながら、セルフィの方を振り返る。しかし、セルフィはその光景に少し興奮気味な様子を見せながら言った。

「レオン、何か…すごくいい感じに見えるわよ。ステラ様もリリカ様も、あなたに抱きついて離れないじゃない、両手に花、それも超スペシャルな花!」

「ちょ、ちょっとセルフィ!誤解だ!これは本当に大変な状況で…!」

 レオンは顔を真っ赤にしながら叫んだが、セルフィはニヤニヤしながら冷静に答えた。

「まあ、いいわ。でも、身のほどをわきまえなさいよね」

「ちょ、待ってください!本当に誤解だ!もう勘弁して!」

 レオンは叫びながら、抱きかかえた二人を何とか涼しい場所に運ぼうと足を踏み出した。しかし、さらなる問題が発生した。リリカとステラの尻尾が、今度はレオンの体に巻きついてしまったのだ。

「う、うわっ!尻尾が…!?」

 二人の尻尾は無意識のうちにレオンの腰に絡みつき、まるで結びつけられたようにしっかりと巻きついていた。まったく離れる気配がなく、レオンは困惑した。

「これじゃあ動けないじゃないか!二人とも、尻尾を解いてください!」

「無理よ…自分じゃどうにもならないの…」

 ステラが弱々しく呟き、リリカも同じように呻き声を上げた。

「ふぅ…レオン、助けて…」

「お、お願い…」

 レオンは一瞬頭を抱えたが、このままではどうにもならないと判断し、そのまま強行突破するしかないと決断した。

「もうこうなったら、このまま抱えて行くしかない!二人とも、しっかり捕まっててください!」

 レオンは尻尾が絡んだまま二人を抱え、ふらふらとした足取りで露天風呂から外に向かって歩き始めた。

 廊下に出ると、そこには宿のスタッフや他の宿泊客がちらほらと歩いていた。レオンがステラとリリカを抱えた状態で通りかかると、当然ながら全員がその異様な光景に注目した。

「な、なんだあれ…?」

「やるねえ!お兄さん!」

 スタッフや宿泊客たちは驚いた顔でレオンたちを指さし、小声でざわざわと話し始めた。レオンはその視線に耐えきれず、顔を真っ赤にして俯きながら必死に歩き続けた。

「も、もう勘弁してくれ…!こんな格好で見られるなんて…!」

 セルフィも横で笑いをこらえながらついてきていたが、レオンの苦悩を楽しむような表情を浮かべていた。

「みんな見てるわよ、レオン。まるでヒーローみたいね」

「これがヒーローだなんて、僕は絶対に認めません!」

 レオンは心の中で叫びながらも、どうに自分の部屋にたどり着いた。廊下ではどこからともなく笑い声が聞こえ、ますます恥ずかしい思いをしたが、部屋の扉を開けてようやく安堵の息をついた。

 しかし、問題はまだ終わっていなかった。レオンが部屋に入っても、リリカとステラは彼にしがみついたままだ。むしろ、二人とも完全に意識を失ってしまい、ぐっすりと眠り込んでしまったようだった。

「えぇっ…寝ちゃった!?どうするんですか、僕は…!」

 レオンは途方に暮れながらも、両手で抱きつかれたままの二人を何とか支え続け、頭の中で必死に解決策を考えるのだった――。
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