上 下
50 / 198

第50話  驚きの出会い⁉ 月明かりに輝くドラゴンとレオンの災難!

しおりを挟む
 リリカ一行は、小島を後にし、帰路につくことになった。クルーザーは静かに湖面を滑りながら、夜の風を受けて進んでいた。湖面には月明かりが映り込み、幻想的な風景が広がっている。

 レオンは周囲の警戒を怠らず、湖面の動きや周囲の音に耳を澄ませていた。その時、突然クルーザーの上空に影が差し、何かが飛来してくるのが見えた。

「何だ…?」

 レオンが目を凝らして見上げると、空に大きなシルエットが浮かび上がった。それは二匹のドラゴンだった。月明かりに照らされて青白く輝くその姿に、リリカは驚きの声を上げた。

「ドラゴン!?あれ本物のドラゴンなの!?」

 リリカは目を見開き、その壮大な姿に感激していた。ドラゴンたちは小型の種で、翼を広げてゆったりと山の頂上付近に降りていった。

「すごい…本当にドラゴンがいるんだ」

 リリカが感嘆しながら呟くと、バイス町長が説明を始めた。

「あれは『ムーンライトドラゴン』と呼ばれる小型のドラゴンです。非常に臆病で、人を襲うことはありません。おそらくあの二匹はつがいでしょうね」

「そうなんですね。でも、ドラゴンが実際にいるなんてすごいです!」

 リリカが興奮していると、ステラも興味深そうにドラゴンの姿を見つめていた。

「あのドラゴンは夜行性で、付近の魔獣を餌にしています。王宮も調査隊を結成して、この地域のドラゴンについての調査を進めているはずです」

 バイス町長の説明を聞いて、リリカたちは感心しながらも、人と動物の共存についての重要性を改めて感じた。

 無事クルージングが終わり、クルーザーから降りたリリカ一行は、バイス町長にお礼を述べた。その時、バイス町長が興味深そうに彼らに尋ねた。

「皆さん、何かお忍びで調査任務に来られているのですか?王宮の関係者がこのような形で訪れるのは珍しいので」

 ステラは一瞬ためらったものの、事情を簡潔に説明した。ただ黒騎士との戦いで撤退を余儀なくされたことはふせて、国の外れの遺跡調査が予定より早くすみ、自分達の力で帰ろうと試みたと話した。

「まさか猫耳メイド魔法大隊のお二人とは!六光の騎士様まで!」

 バイス町長は驚いた表情を浮かべたが、すぐに納得したように頷いた。

「なるほど、そういうことでしたら、こちらにも転移魔法陣があります。私が王宮まで転移させましょうか?」

セルフィはその提案を聞いて、少し焦った表情を浮かべて申し訳なさそうに言った。

「しまった…確認すべきでした・・・。ぜひお願いします!」

 バイス町長は微笑みながら頷いた。

「分かりました。それでは、明日の朝にまたお迎えに上がります。どうぞごゆっくりお休みください」

 バイス町長と別れた後、4人はホテルの支配人に部屋を案内してもらった。ホテルには人数分の個室が用意され、レオンはほっとむねをなでおろした。

「さあ、各自お風呂の準備をして露天風呂に集合!」

 リリカが声を上げると、ステラも笑顔で応じた。

「久々のお風呂、しっかりつかって疲れをとりましょう」

 四人は支配人の案内で露天風呂へと向かった。露天風呂は湖に面しており、開放的な空間で月明かりの下、温かな湯に浸かることができる。

 湖に映る月明かりが輝き、静かな夜。

「いいお湯。もう最高!」

 ステラが湯に浸かりながらリラックスすると、解放された猫耳がピクピクンと動き、尻尾もまるで生き物のようにゆらゆら動いている。リリカも隣で頷いた。

「猫耳と尻尾隠すのもつかれちゃう」

 リリカはステラの隣に座り、ふと彼女を見つめていた。月明かりに照らされるステラの裸体はまさに芸術のようで、白い肌は輝くように美しく、水色の髪は風に揺れて柔らかに波打っていた。彼女の吸い込まれるような青白い瞳はまるで夜空の星のように輝き、すらりと伸びた脚はまるで彫刻のようだった。さらに、白くふさふさとした猫耳と銀色のしっぽがチャーミングに揺れている。

「同じ猫耳なのに、ステラって本当にきれい…」

 リリカはその姿に見惚れ、しばらく言葉が出なかった。一方で、ステラもリリカのことを同じように見つめていた。リリカの艶やかな黒髪、柔らかな肌、眩しく輝く金色の瞳、そして少し小さめの可愛らしい猫耳と黒くて少し短いしっぽが、彼女の魅力を一層引き立てていた。

「リリカって、本当に信じられないくらい可愛い…」

 ステラもまたリリカの愛らしさに心を奪われていた。お互いに見つめ合いながら、言葉はなくともその魅力を感じ合う二人。セルフィは二人の様子を見て、ほんとうに絵になる二人だと感心しつつ、その色気に当てられて少し顔を赤らめた。

「なんというか…目の保養にはなるけど、刺激が強すぎるわ…」

 セルフィがぼそっと呟くと、リリカとステラは顔を見合わせて笑い合った。

 一方、男湯にいたレオンは、静かな時間を楽しみながら湯船に浸かっていた。温かな湯が全身を包み込み、疲れと緊張が少しずつほぐれていくのを感じていた。

「こうして一人の時間もいいものだな…」

 レオンがのんびりとした気分で湯船の縁にもたれかかっていると、突然、バシャ!という音と共に何かが湯船に飛び込んできた。

「うわっ!?」

 レオンが驚いて目を開けると、そこには顔を真っ赤にしたセルフィが湯船の中で息を切らしていた。

「セルフィ!?どうしたんですか!?ここは男湯ですよ!」

 セルフィは何かを言おうと口を開けたが、顔をさらに赤くし、必死に呼吸を整えていた。

「レオン、大変だ…!」

 セルフィの言葉を聞いたレオンの心臓が一気に跳ね上がる。彼女の突然の飛び込みと緊迫した表情に、レオンは一体何が起こったのか全く分からないまま、彼の心も体もすっかりのぼせてしまった。次回へ続く――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女貞操逆転世界で、自己肯定感低めのお人好し男が、自分も周りも幸せにするお話

カムラ
ファンタジー
※下の方に感想を送る際の注意事項などがございます! お気に入り登録は積極的にしていただけると嬉しいです! ーーーーーーーーーーーーーーーーーー あらすじ    学生時代、冤罪によってセクハラの罪を着せられ、肩身の狭い人生を送ってきた30歳の男、大野真人(おおのまさと)。  ある日仕事を終え、1人暮らしのアパートに戻り眠りについた。  そこで不思議な夢を見たと思ったら、目を覚ますと全く知らない場所だった。  混乱していると部屋の扉が開き、そこには目を見張るほどの美女がいて…!?  これは自己肯定感が低いお人好し男が、転生した男女貞操逆転世界で幸せになるお話。 ※本番はまぁまぁ先ですが、#6くらいから結構Hな描写が増えます。 割とガッツリ性描写は書いてますので、苦手な方は気をつけて! ♡つきの話は性描写ありです! ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 誤字報告、明らかな矛盾点、良かったよ!、続きが気になる! みたいな感想は大歓迎です! どんどん送ってください! 逆に、否定的な感想は書かないようにお願いします。 受け取り手によって変わりそうな箇所などは報告しなくて大丈夫です!(言い回しとか、言葉の意味の違いとか) 作者のモチベを上げてくれるような感想お待ちしております!

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

処理中です...