目覚めたら猫耳⁉ ～神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第47話 伝説の町長⁉ 英雄が築いた湖の町！

　夕焼けが町全体を包み込み、建物の壁に赤い光が反射して美しい風景を作り出していた。四人はまず宿を探そうと辺りを見渡した。

「暗くなる前に宿を探さないと」

ステラが心配そうに周囲を見回すと、セルフィも考え込んだ。

「一応王宮の関係者だと町長に挨拶しておきましょう。その方が安心です」

「そうね。宿の手配もお願いできるかもしれないし」

　ステラが案内板を確認して町役場の場所を見つけた。

「町役場はこの通りをまっすぐ行った先にあるわ。行ってみましょう」

　四人は町役場へ向かって歩き出した。通りには観光客が溢れ、町のいたるところにドラゴンと騎士をモチーフにした装飾が見られた。町全体がドラゴン討伐の歴史を誇りにしていることが伝わってくる。

「この町、ドラゴンの伝説が本当に多いのね。どこを見てもドラゴンばかり」

リリカが興奮気味に話すと、ステラも頷いていた。

「それだけこの町の人々にとって誇りなんでしょうね。見てるとこっちもワクワクしてくるわ」

　やがて、四人は町役場に到着した。入口には大きなドラゴンの彫刻が飾られており、訪れる者を歓迎しているようだった。広々としたロビーの中央には、一つのモニュメントが立っていた。それは、勇敢な騎士がドラゴンと戦う姿を彫ったもので、その顔には見覚えがあった。

「このモニュメント…どこかで見たことがあるような…」

リリカがモニュメントをじっと見つめると、セルフィもその顔を覗き込んだ。

「確かに、どこかで見た気がするわ。でも、どこだったかしら？」

その時、奥の扉が開き、昼間の隻眼の老人が姿を現した。4人は驚愕し、顔を見合わせた。

「あれ？あの人…！」

　ステラが驚きの声を上げた。そこに立っていたのは、昼間に道中で出会った隻眼の老人だった。彼は穏やかな微笑みを浮かべ、四人に向かってゆっくりと歩み寄った。

「皆さん、無事に来られたようで何より。ようこそ、ベイロンへ」

　老人は左目を細めながらそう言った。彼こそがこの町の現町長であり、40年前に行われたドラゴン討伐の唯一の生き残りだったのだ。

「おじいさんがこの町の町長さんだったんですか！？」

　リリカが驚いて声を上げると、老人は静かに頷いた。

「そうです。討伐で一人生き残ったわたしはその後、この町に私財を投じて尽力してきました」

　老人は少し目を伏せ、モニュメントを懐かしそうに見つめた。

「かつての戦場をこうして観光地にすることで、町の人々に新たな希望をと思ったのです」

　その言葉に四人は深い感慨を覚えた。老人が語る壮絶な戦いの裏には、彼の仲間たちへの思いと、この町を守り抜いた誇りが込められていたのだ。

「町を発展させるために私財をなげうったなんて、並大抵のことじゃないですね」

　ステラが敬意を込めて言うと、老人は穏やかに微笑んだ。

「私はただ、仲間たちの意志を継ぎたかっただけ。それが町のためになるのなら、私の財産なんて安いものです」

　老人は4人に向かって丁寧に挨拶をした。

「改めまして、私の名はバイス。元王宮ドラゴン討伐隊の一人としてステラ様、リリカ様、セルフィ様、レオン様お会いできて光栄です。皆様のご尽力は既に耳にしております。どうぞこの町でのひと時をお楽しみください。今夜の宿は私が手配させていただきますので、どうぞごゆっくりおくつろぎください」

　バイス町長の言葉に、リリカが嬉しそうにお礼を言うと、セルフィも続けて頭を下げた。

「お心遣い感謝します。せっかくなので、この町の魅力を存分に楽しませていただきます」

　その後、四人は町役場を後にし、町長が手配してくれた湖畔の宿へと向かった。湖のほとりにあるその宿は、落ち着いた雰囲気のある建物で、窓からは美しい湖の景色が一望できた。

　宿に到着すると、まずは夕食を楽しむことになった。テーブルには町の特産物をふんだんに使った料理が並べられ、四人はその豪華さに目を輝かせた。

「見て！これ、全部ドラゴンの形してる！」

　リリカが興奮して言うと、ステラも笑顔を浮かべた。

「さすがドラゴンの町ね。こんなに徹底してるとは思わなかったわ」

　料理にはドラゴンの形をしたパンや、ドラゴンの鱗を模したサラダがあり、デザートには小さなドラゴンの形をしたケーキも並んでいた。4人はその見た目の楽しさと、味の美味しさに大満足だった。

「美味しいわ。特にこのスープ、体が温まる」

セルフィがスープを飲みながら言うと、レオンも感心して頷いた。

「町の特産品を使っているからでしょうね。食材も新鮮で美味しいです」

　四人は和やかに食事を楽しみ、旅の疲れを癒すことができた。あたりはすっかり暗くなり、宿の外には湖の光がゆらめき、静かな時間が流れていた。
　
「夜は長いし、町を観光してみましょう」

　ステラが提案すると、リリカとセルフィもレオンその提案に賛成し、四人はその夜、町の灯りと湖の輝きを楽しんだ。ドラゴン討伐の歴史と隻眼の町長との再会が、彼らにとって特別な思い出となった――。