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第43話  一つ屋根の下⁉ 騎士見習いの試練!其の二

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 夜も更け、部屋は静まり返り、外の風の音だけがかすかに響いていた。

 深い眠りに落ちたはずのレオンは、ふと目を覚ました。

 彼はぼんやりと壁を見つめ、頭をすっきりさせようと軽くまばたきをした。

 しかし、すぐに背中に違和感を覚えた。

 誰かの寝息がかすかに聞こえ、その息遣いが背中に当たっているのだ。

 レオンの心臓は一気に高鳴り、彼は体を硬直させた。

「おれのベッドに…...誰かいる...…?」

 寝息は穏やかで、まるで誰かが自分のすぐ後ろで眠っているかのようだった。

 レオンはゆっくりと息を吸い込み、冷静になろうとしたが、その状況を受け入れることができなかった。

「ドアには確かに鍵をかけたはずだし、誰かが侵入した気配はない。じゃあ、この寝息は…...?」

 頭の中で混乱が渦巻く中、レオンは少しずつ考えを巡らせた。

 今、部屋にいるのは自分と、リリカ様、ステラ様、セルフィの3人だけだ。

 そのうちの誰かが自分のベッドに入り込んだということになるが、それが一体誰なのかを確かめる勇気は、レオンには到底なかった。

「まさか…...俺に...…?」

 レオンの心臓は激しく鼓動し、冷や汗が額を流れ落ちた。

 隣で眠っているのがリリカなのか、ステラなのか、セルフィなのか、それすらもわからないまま、彼はただ硬直したまま息を潜めていた。

 自分が少しでも動けば、背中に感じるこの穏やかな寝息の主が目を覚ますかもしれない。

 そう思うと、どうしても動けなかった。

「どうすればいいんだ…...」

 背中に感じる体温は暖かく、そのぬくもりがレオンをさらに困惑させた。

 彼は心の中で様々な思いが交錯するのを感じながら、冷静さを取り戻そうと必死だった。

「ステラ様は隣…...酔いつぶれていたから…...リリカ様もセルフィも…...」

 だが、そんな考えを巡らせている間にも、レオンは背中の感触を無視することができなかった。

 彼はゆっくりと息を吸い、そして意を決して背後を振り返ることを決めた。

 ゆっくりと頭を動かし、目を細めて後ろを振り向くと、そこにはリリカが小さく丸まって眠っていた。

 彼女の猫耳がピクピクと動き、安心しきった表情で寝息を立てている姿が見えた。

「リリカ様…...なんでここに…...」

 リリカはレオンのベッドに入り込み、まるで自分のベッドのようにぐっすりと眠っていた。

 彼女の髪はふわりと広がり、その穏やかな寝顔にレオンは思わず見入ってしまった。

「こんな無防備な姿を…...」

 レオンはため息をつきながら、リリカの寝顔を見つめ続けた。

 彼女が自分のベッドに入り込んできた理由はわからない。

 むしろ、安心しきったその表情に、レオンは心のどこかで安堵感を覚えていた。

「でも、これは…...まずいよな…...」

 レオンは心の中で葛藤しながらも、リリカを起こすべきかどうか悩んでいた。

 彼女の寝顔を見ていると、その安らかな眠りを邪魔するのは気が引けるが、このまま朝を迎えるのも問題があるように思えた。

「どうしたらいいんだ…...」

 レオンは再び目を閉じ、もう一度深く息を吸い込んだ。

 このまま何もせずに朝を迎えるのは避けたいが、リリカを起こしてしまっても彼女を驚かせてしまうだろう。

 彼は自分の中で答えを出せずにいた。

 すると、不意にリリカが小さく声をもらした。

「ステラ…...あったかい…...」

 その言葉に、レオンは一瞬固まった。

 リリカはまだ眠っているのだろうか、それとも寝ぼけているだけなのか、彼には判断がつかなかったが、彼女のその言葉が彼の心に深く響いた。

「本当に仲がいいんですね…...」

 レオンはリリカの髪をそっと撫で、彼女が目を覚まさないように注意深く体をずらした。

 彼女を驚かせないように、そっと彼女の頭を枕に戻し、自分はベッドの端に体を寄せた。

「これで…...いいかな」

 リリカは再び静かな寝息を立て始め、レオンはようやく少しだけリラックスすることができた。

 彼女が自分のベッドに来た理由は謎のままだが、レオンは彼女が安心して眠れる場所を提供できたことに、少しだけ誇りを感じていた。

「リリカ様、安心してお休みください」

 レオンはそのままリリカの隣で目を閉じた。

 彼はこの夜を無事に過ごせたことに感謝しながら、再び眠りにつこうとした。

 だが、その時、ふいに部屋の隅からかすかな音が聞こえた。

 レオンはすぐに目を開け、音の方に視線を向けた。

 暗闇の中、彼の目に映ったのは、まだ完全には酔いが冷めていないセルフィが、ベッドから体を起こし、ぼんやりと立ち上がる姿だった。

「セルフィ…...?」

 レオンは慌てて立ち上がり、セルフィに駆け寄った。

 彼女はまだ意識が朦朧としているようで、ふらふらと部屋の中を歩き始めた。

「セルフィ、大丈夫?」

レオンがセルフィを支えようとしたその瞬間、セルフィは彼の腕にしがみつき、まるで子供のように甘えた声をもらした。

「あたたかい…...」

 レオンはその言葉に驚きつつも、セルフィの体をしっかりと支えた。

 しばらくの間、レオンはセルフィを抱きしめたまま立ち尽くしていた。

「これも…...任務のうち…...だよな…...」

 そう自分に言い聞かせ、レオンは静かにセルフィをベッドに戻した。

 そして、もう一度自分のベッドに戻り、ようやく一息つくことができた。

 この夜の出来事は、レオンにとって決して忘れられない一夜となった。彼は美少女たちと一つ屋根の下で過ごすことの責任と、その中での自分の役割を改めて見つめ直すこととなったのだった――。

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