目覚めたら猫耳⁉ ～神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第39話 思わぬ騒動⁉ 猫耳メイド魔法使いの町探訪！

  リリカたちは遺跡を抜け、ようやく森の入り口にたどり着いた。

　朝日が東の空に昇り始め、柔らかな光が彼らの疲れた体を包み込んでいた。

　闇を切り裂くようなその光は、彼らの心にも希望の光を灯してくれるようだった。

「やっと、ここまで来た…...」

　セルフィが息を切らしながら言葉を漏らした。

　彼女の額には汗がにじんでおり、その表情には安堵と疲労が入り混じっていた。

　レオンもまた、膝に手をつきながら深く息をついていた。

「でも、これからどうしようか…...」

　リリカが少し考え込むように言った。その時、セルフィがふと思い出したように口を開いた。

「そういえば、転移魔法陣が開くのってあ～とえっと二日後ですよね？」

　セルフィの言葉に、全員の表情が一瞬固まった。

　すぐに帰れない事に気づいた彼らは、どうするかを相談し始めた。

「二日もここで待つのは無理だね…...食べ物も水もないし、この状態じゃ危険だわ」

　リリカはそう言いながら周囲を見回した。

　遺跡での戦いで物資はすべて失い、セルフィ、レオンの体力も限界に近かった。

　待機するリスクは高く、彼らにとって最善の選択ではなかった。

「じゃあ、私たちで何とかして王宮に戻りましょう」

 ステラが決断を促すと、セルフィが思いついたように提案した。

「少しお金もありますし、町に多少顔も利くんです。みんなで町を抜けて王宮に戻りませんか？」

　セルフィの提案に全員が頷き、早速森を抜けて近くの町へと向かうことになった。

　道中、運よく通りかかった荷馬車に乗せてもらい、リリカたちは王国の豊かな風景を楽しんだ。

　広がる緑の畑や元気に働く農夫たちの姿が、戦いの疲れを少しずつ癒してくれた。

「この国、すごく豊かなんだね」

　リリカは目の前に広がる景色に目を輝かせた。

　ステラも同様にその景色を見つめ、頷いた。

「うん、本当に素敵な国だわ。私たちもこの国を守るために戦っているんだと思うと、もっと頑張ろうって気持ちになる」

　荷馬車は揺れながら町に近づき、やがてリリカたちは町の門に到着した。

　活気溢れる町の中には様々な商店が立ち並び、行き交う人々の姿があった。

「とりあえず、私たちの姿を隠せる服を買いましょう。猫耳と尻尾が目立ちすぎると、何かと不便だから」

　セルフィが提案し、リリカとステラは帽子とコートを購入して猫耳と尻尾を隠した。

　セルフィとレオンもまた、戦いでボロボロになった衣服を新しいものに着替えた。

「これで少しはまともな格好になったかな」

　レオンが新しい服に袖を通し、満足げに言った。

　四人はそのままセルフィの案内で町を観光することにした。
　
　市場を散策し、地元の特産品や雑貨を見て回る中で、リリカたちは久しぶりの平穏な時間を楽しんだ。

「これ、美味しそう！」

　リリカが露店で売られていた焼きたてのパンを手に取り、その香りに顔をほころばせた。

　ステラもまた、フルーツが詰まったタルトを見つけ、目を輝かせた。

「せっかくだから、いろいろ食べてみましょう！」

　セルフィが笑顔で言い、四人は少しずつ色んな食べ物を購入して食べ歩きを楽しんだ。

　彼らは町の雰囲気に浸りながら、リラックスした時間を過ごした。

「こうやってゆっくりするのも、たまにはいいね」

　リリカが微笑んで言うと、ステラも頷いた。

「本当に。こういう日常があるからこそ、戦う意味があるんだって実感するわ」

　しかし、そんな中でレオンは少し困った様子で町の人々の視線を感じていた。

　彼が美女三人を連れて歩いている姿に、周囲の人々は興味津々で、冷やかしの声が飛び交い始めた。

「お兄さん、いいねえ！　美女三人も連れて羨ましいよ！」

「こんな可愛い子たちと一緒だなんて、どうやって知り合ったんだ？」

「もしかして、ヒーロー様ってやつ？」

　レオンは顔を赤くしながら、周囲の視線を避けるように俯いた。
　
　リリカやステラ、セルフィもその反応に気づき、微笑みながらもフォローするように寄り添った。

「レオン、人気者だね」

　リリカがレオンの腕にに抱きつきからかうように言うと、レオンはさらに赤くなりながら肩をすくめた。

「もう…やめてください、恥ずかしいじゃないですか」

　セルフィも楽しそうに笑いながらレオンの肩を叩いた。

「まあまあ、レオン。あなたが私たちを引き連れているんだから、当然注目されるわよね」

「ちょっとしたハーレム気分だね、レオン！」

　ステラもレオンをからかうように言い、四人の笑い声が町中に響いた。

　そんな軽い冗談を交えながら、彼らは引き続き町を楽しんで回った。

　夕暮れが近づくと、四人はその日の宿を探すことにした。

　セルフィとレオンが宿を見つけに行く間、リリカとステラは町の広間のベンチで一休みすることにした。

「少しだけ休もうか」

　リリカがそう提案すると、二人はベンチに腰を下ろし、ゆっくりと目を閉じた。

　疲労が溜まっていたせいか、二人はすぐに眠りに落ちてしまった。

　しかし、その間に風が吹き、リリカとステラがかぶっていた帽子が飛ばされ、尻尾も隠しきれずに出てしまった。

　しばらくして、通りかかった町人たちがその光景に気づき、驚きの声を上げ始めた。

「猫耳と尻尾…これは伝説の猫耳メイド魔法使いじゃないか！」

「王宮専属アイドルのステラ＆リリカじゃないか！」

「まさか、なんでこんなところに…！」

　一人が声を上げると、周囲にいた人々も次々に気づき、広間はあっという間に大騒ぎになった。

　リリカとステラの周りに集まる人々は、驚きと興奮でざわめき、どんどん人数が増えていった。

　その頃、宿探しに出ていたセルフィとレオンが戻ってきたが、広場の騒ぎに気づき、駆け寄った。

「何があったの！？」

　セルフィがリリカとステラの姿を見て、状況をすぐに理解した。

「伝説の猫耳メイド魔法使いがいきなり現れたんだから、そりゃあ騒ぎになるよね…...」

　レオンも苦笑しながら言ったが、どうにかしてこの状況を収めなければならないと感じていた。

　二人は急いでリリカとステラを囲み、騒ぎを鎮めるべく動き始めた。

「皆さん、どうか落ち着いてください！私たちは王宮の者です！」

　レオンが人々に呼びかけるも、興奮は収まる気配がなかった。

　リリカとステラは寝起きもあって状況がよくのみ込めていない様子。

「本当にどうしよう…...こんなことになるなんて…...」

　レオンが呟き。

　セルフィはこの場をレオンにまかせある場所へ急いでいた。

　伝説の猫耳メイド魔法使いとして、二人は再び注目の的となってしまったのだった。

　彼らの帰還は、思わぬ騒動を巻き起こしつつ、さらに波乱に満ちた展開を迎えようとしていた――。