目覚めたら猫耳⁉ ～神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第20話 決戦の幕開け⁉ 王国騎士団との模擬戦へ！

　夜も更けた王宮で、ステラはアレクに付き添われて、客人用の宿舎へと向かっていた。

　豪奢な装飾が施された廊下を歩きながら、ステラの心はまだ少しざわついていた。

　しかし、アレクの隣にいることで、少しずつ冷静さを取り戻していた。

「ステラ、リリカもきっと協力してくれると思う。君たち二人なら、必ずいい結果を出せるはず」

　アレクの言葉にステラは小さく頷いた。

　やがて、居間たどり着くと、そこにはリリカがソファーに寝転がって待っていた。

「ステラ、おかえりなさい。遅かったね、何かあったの？」

　リリカの穏やかな声に、ステラはほっとしたように微笑んだ。

　アレクもリリカに軽く挨拶をすると、ステラと並んでソファに座った。

　リリカはふと、ステラとアレクが二人きりでやってきたことに気づき、にやりと笑みを浮かべた。

「ねぇ、ステラ？二人で仲良く来たの？なんだかいい雰囲気だったけど、デートの帰りだったりするのかな？」

　リリカのからかいに、ステラの顔が一気に赤く染まった。

　アレクも少しばつが悪そうに視線を逸らし、軽く咳払いをした。

「ち、違うわよ、リリカ！アレクが付き添ってくれただけで、そんなことじゃ…！」

　ステラは慌てて言い訳をしたが、リリカのからかうような笑みにさらに恥ずかしさがこみ上げてきた。

　アレクも照れくさそうに笑いながら、リリカに応えた。

「いや、リリカ、そういうわけじゃないんだ。ただ、ステラが心配だったから少しお付き合いしただけで。」

　リリカはその答えに、さらに興味深げな視線を二人に向けた。

「そうなんだ。でも、お二人ともお似合いだよ。アレクも、ステラのことすごく大切にしてるみたいだし、うらやましいなぁ。」

　リリカの言葉に、ステラはますます顔を赤くして手で顔を隠すようにしたが、心の中では少し嬉しさも感じていた。

　アレクはリリカの言葉を受け止めつつ、照れ隠しのように笑みを浮かべた。

「ありがとう、リリカ。でも、今日はそんな話をしに来たんじゃないんだ。実は、ステラと王国の騎士団ガレッド団長、それに六光の騎士たちと話し合いがあってね。そこで模擬戦をすることが決まったんだ。相手は騎士団長と六光の騎士たち、全部で七人。その件をリリカに相談しに来たんだ」

　リリカのからかいが一旦収まると、ステラは本題に戻り、話の詳細を説明し始めた。

　その言葉に、リリカの表情も真剣さを取り戻した。

「騎士団との模擬戦って、本気で言ってるの？」

　ステラは小さく頷き、リリカに申し訳なさそうな表情を見せた。

「ごめんね、リリカ。私、ついカッとなって受けちゃったの。実力を試したいって言われて、どうしても引けなくて…あなたに相談もせずに決めちゃったこと、本当にごめんなさい。」

　ステラの言葉に、リリカは一瞬考え込んだが、やがてその顔に笑みを浮かべた。

「面白そうじゃない！　燃えてきた！　ステラと一緒なら、きっと勝てるよ。私たちの力、見せつけてやろうよ！」

　リリカの意外な反応に、ステラは驚きつつも安堵の表情を浮かべた。
　
　アレクもその様子を見て微笑んだ。

　その時、宿舎の侍女が部屋に入ってきて、ステラに一通の手紙を差し出した。

「ステラ様、騎士団からの手紙が届きました。」

　ステラは侍女から手紙を受け取り、その場で封を開けた。

　テーブルの上に手紙を広げ、模擬戦の日時や場所、対戦条件について書かれた内容を確認し始めた。

「二日後、場所は騎士団が統括する練習場…戦闘不能になったら負け、ね。」

　ステラが手紙を読みながら呟くと、アレクがテーブルに近づき、手紙の内容を確認しようとステラの隣に身を寄せた。

　アレクの顔が近づくと、ステラは思わず息をのんだ。

　アレクの真剣な表情が目の前にあり、その整った顔立ちに見とれてしまったステラは、しばらく視線をそらすことができなかった。

　顔が近づきすぎて、ステラはかたまってしまった。

「アレ…ク…」

　ステラの声が震えた。
　
アレクが顔を上げてステラの目を覗き込むと、彼女の頬がほんのりと赤く染まっていることに気づいた。

「ステラ、大丈夫？　何か気になることでも？」

　アレクは無邪気に尋ねたが、ステラはますます顔を赤くしてしまった。

「い、いえ…大丈夫。ただ、ちょっと顔が近かっただけで…」

　ステラの慌てぶりに、アレクは微笑んだ。

「ごめんなさい、つい真剣になってしまって。」

　そのやりとりを見ていたリリカは、二人の様子に気づき、笑いをこらえきれずに声を出して笑った。

「ステラ、本当にわかりやすいんだから！でも、アレクもなかなかやるね。」

　リリカの言葉に、ステラは思わず目を丸くし、リリカに向かって軽く抗議した。

「リリカ、もうからかわないでよ！　私たち、真剣な話をしてるんだから…」

　それでもリリカの笑みは収まらず、ステラは恥ずかしそうに俯いてしまった。

　アレクはそんな二人の様子を微笑ましく見守り、改めて二人に向き直った。

「模擬戦は二日後。大変な戦いになると思うけど、ステラとリリカならきっと乗り越えられる。僕も全力で応援します。」

　アレクの言葉に、リリカとステラは互いに頷き合った。

　リリカはその笑顔のままステラに手を差し伸べた。

「ステラ、一緒に頑張ろう。私たちなら絶対勝てるよ！」

　ステラもその手をしっかりと握り返し、力強く頷いた。

「そうね、リリカ。私たちの力を信じて、全力で戦おう。」

　こうして二人は模擬戦に向けて気持ちを一つにし、再び決意を固めた。アレクの応援も胸に刻みながら、二人は新たな挑戦に向けて歩み始めるのだった――。