目覚めたら猫耳⁉ ～神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第４話 魔法特訓開始⁉猫耳メイド魔法使いの秘めた力！

　ライバルのステラとの初対面を経て、リリカは新たな決意を胸に秘めていた。

　自分のパフォーマンスがステラに及ばなかったことは悔しいが、その悔しさこそがリリカの原動力となった。

　アイドルとしても、猫耳メイド魔法使いとしても、もっと成長したい。

　そう心に誓い、リリカは再びメルヴィルのもとで特訓に励む日々が始まった。

「リリカ、あなたにはまだ多くの可能性が眠っているわ。でも、その力を引き出すには、ただの努力だけでは足りないの」

　メルヴィルはリリカに魔法の基礎から徹底的に教え込んだ。
　
　リリカは魔法使いとしての才能を持っていると言われたが、その力はまだ未熟で、簡単な呪文すら思い通りに発動できないことが多かった。

　手をかざしても小さな光がが散るだけで、まともな魔法には程遠い。

「どうして……こんなに難しいんだろう」

　リリカは何度も自分に問いかけた。アイドル活動もそうだったが、魔法も思うようにいかないことが多すぎて、自信を失いかけていた。

　彼女は鏡の前で猫耳を触りながら、自分が本当にこの世界でやっていけるのか不安になった。

　そんなある日、メルヴィルはリリカを病院の外へ連れ出した。

　そこは美しい湖が広がる静かな場所で、自然の魔力が満ちていると感じられる場所だった。

「ここで特訓を行うわ。自然の魔力を感じ取ることが、魔法使いにとっては何よりも大切なの」

　リリカはメルヴィルの指示に従い、湖のほとりに座って目を閉じた。

　風が優しくリリカの髪を撫で、耳元で木々のざわめきが聞こえる。

　リリカはその音に耳を傾け、心を落ち着かせた。メルヴィルはゆっくりと話し始める。

「魔法はね、技術だけじゃないの。自然と調和し、自分の心と向き合うことが必要なのよ。リリカ、あなたの心の中にある本当の力を見つけて」

　リリカは深呼吸をして、自分の内側に意識を集中させた。
　
　湖の波音や風の感触が心を静め、彼女の中にある何かが呼び覚まされるのを感じた。

　その瞬間、リリカの手のひらにふわりと暖かい光が宿った。

　それは小さな光の球体で、まるで命を持っているかのようにリリカの手の上で揺れていた。

「やった…！できた！」

　リリカの声には歓喜があふれていた。

　初めて成功した魔法に、リリカは自分の可能性をほんの少しだけ垣間見た気がした。

　メルヴィルは静かに頷き、リリカの進歩を認めた。　

「いいわ、リリカ。その感覚を忘れないで。あなたの魔法はまだ始まったばかりだけど、その一歩一歩が大事なの」

　その日以来、リリカの特訓はさらに厳しさを増した。

　メルヴィルの指導のもと、リリカは様々な魔法の練習を続けた。

　風を操る魔法や、小さな火を灯す魔法、さらには防御の魔法まで。

　うまくいかないことも多かったが、少しずつリリカの魔法は形になり始めていた。

　一方で、アイドル活動も決して忘れてはいなかった。

　ステラとのライバル関係は続いており、次のステージでも対決することが決まっていた。

　リリカはステラに勝ちたいという思いと同時に、彼女から学べることも多いと感じていた。

　ステラのパフォーマンスは、常に観客を魅了し、引きつける力がある。

　リリカはその秘密を知りたくてたまらなかった。

　ある日、リリカは思い切ってステラに話しかけることにした。

　練習が終わった後、ステラが一人で休憩しているのを見つけ、リリカは勇気を出して近づいた。

「ステラさん、少しお話ししてもいいですか？」

　ステラは少し驚いたような表情を見せたが、すぐに微笑んでリリカを招き入れた。

「もちろんよ。どうしたの？」

　リリカは少し緊張しながらも、自分が感じていることを正直に話した。

「私、もっと上手くなりたいんです。ステラさんのパフォーマンスを見て、本当にすごいって思いました。どうしたら、あんな風に観客を引きつけられるんですか？」

　ステラは少し考え込んだあと、真剣な表情で答えた。

「リリカ、パフォーマンスっていうのは技術。自分を極限まで磨いて、自分を見て欲しいっていう気持ちをぶつけるの。観客に自分を伝えたいって気持ちがないとダメなの。リリカにとってのパフォーマンスは何？」

　リリカはその言葉にハッとさせられた。これまで自分は、上手く立ち回る事ばかり考えていた。大事な基本の技術をどこかおろそかにしていたし、パフォーマンスを勝ち負けで判断していた。

　リリカは考え込んでしまった。

「ステラにとってのパフォーマンスはいかに完璧な自分を見せれるか……ということか？」

「私が伝えたいこと……？」

　リリカはその言葉を胸に刻み、日々、考えるようになった。

「私はどうしたいの？　　観客のために、自分ができる最高のパフォーマンスって？」　

　きっとステラも苦悩し努力して、今の姿がある。リリカはステラに心から尊敬の念を抱いた。

　特訓と挑戦の日々はまだまだ続く。だが、リリカは確かに成長していると感じていた。魔法の力も、アイドルとしての自信も、少しずつではあるが確実にリリカの中で芽生えていたのだ。リリカの冒険はまだ始まったばかり。彼女は新たな決意を胸に、次のステージに向けて一歩ずつ進んでいく――。