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能が無いのにどうしても総理大臣になりたかった男
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ある国に、どうしても総理大臣になりたかった男がいました。
この男は政治家の家系の人間でしたので、親の七光りで国会議員になれました。
そうして長く国会議員をやっていると、チャンスが回ってくるものです。
ライバルたちもおかしなのが多かったので、総理大臣の選挙の候補者になったのです。
ところが、この男は何のとりえも無かったので、苦し紛れに、
「私には、聞く力があります。」
と、意味のよく分からないことを、自分の長所だと言いました。
マスコミも盛んに持ち上げましたので、国民はこの言葉を覚えていました。
そうして、総裁選挙をやってみると、消去法でこの男が総理大臣になってしまったのです。
皆、『どうせ、この男はつなぎだ。』と思っていました。
でも、それは大きな間違いでした。
この男は、どんなに支持率が下がっても、議会を解散しないという前代未聞のやり方で、総理大臣であり続けたのです。
今までの総理大臣なら、支持率が大きく下がったら、「国民の信を問う」と言って、議会を解散して総選挙を行なってきました。
こうして、国の政治を浄化していたのでした。
この男は、国の政治を澱ませたのです。
ところでこの男の演説は、全く国民に響くものではなく、何を言ってるのかよく分からない、眠たくなるようなお粗末なものでした。
「話す力」は、無かったのです。
この男は、
「国の力の基は、税金だ。」
と、財務省の言うことばかり聞いて、ひたすら増税を行ないました。
そのため、国民はひどく苦しめられました。
またこの男は、
「覇権国家の言うことを聞いていれば、間違いない。」
と、国民のことは考えず、覇権国家の言う通りに、国のお金をとんでもなくたくさん使ってしまいました。
国民は、ますます苦しめられました。
この男の『聞く力』というのは、財務省の言うことを聞く力、覇権国家の言うことを聞く力、だったのです。
そのため、政府の支持率はとんでもなく低いものになりました。
「このままでは、次の選挙で落選してしまう。今のうちに解散・総選挙をしてくれ!」
と、多くの国会議員が悲鳴を上げました。
でもこの男は、総理大臣でいることが目的なので、議会の解散をしません。
議会を解散したら、次の総理大臣は別の人になるに決まっているからです。
「それでは、国民の言うことを一つ聞いてください。」
と、ある議員が議会で提案しました。
聞く力を長所としていたこの男は、
『一つだけなら構わないだろう。』
と思って、それを引き受けました。
国民の願いは、
「総理大臣の頭を、一発張らせてください。」
でした。
これには総理大臣も驚きましたが、
『グーではなく、パーで張られるのなら、まあいいか。それにそんな度胸のある国民は、せいぜい10人もいないだろう。』
と、高を括っていました。
それで、総理大臣の頭を一発張りたいと思う国民が、総理官邸に列を作りました。
総理大臣は椅子に座って、国民に頭を張られましたが、「結構痛いなあ。」と思い、並んでいる国民の数を見ると、たくさんの人が並んでいました。
総理大臣は、逃げ出そうとしましたが、
「これは大臣がお決めになったことです。最後までやり遂げなければいけません。」
と、忠実な役人は、総理大臣を椅子に縛り付けてしまいました。
こうして、総理大臣は「聞く力」を、身をもって実践したのです。
国民の列は、途切れることはありませんでした。
毎日毎晩、食事とトイレの時以外は、総理大臣は国民の思いを頭に受け続けました。
総理大臣の後頭部は、すっかり毛がなくなってしまいました。
とうとう総理大臣は、気絶をしているようでした。
『総理大臣の頭は、少し凹んでしまったのではないだろうか。』
と、役人は心配しましたが、決められたことなので、そのまま続けさせました。
こうして、総理大臣としてあり続けるというこの男の願いは、叶えられたのです。
この男は政治家の家系の人間でしたので、親の七光りで国会議員になれました。
そうして長く国会議員をやっていると、チャンスが回ってくるものです。
ライバルたちもおかしなのが多かったので、総理大臣の選挙の候補者になったのです。
ところが、この男は何のとりえも無かったので、苦し紛れに、
「私には、聞く力があります。」
と、意味のよく分からないことを、自分の長所だと言いました。
マスコミも盛んに持ち上げましたので、国民はこの言葉を覚えていました。
そうして、総裁選挙をやってみると、消去法でこの男が総理大臣になってしまったのです。
皆、『どうせ、この男はつなぎだ。』と思っていました。
でも、それは大きな間違いでした。
この男は、どんなに支持率が下がっても、議会を解散しないという前代未聞のやり方で、総理大臣であり続けたのです。
今までの総理大臣なら、支持率が大きく下がったら、「国民の信を問う」と言って、議会を解散して総選挙を行なってきました。
こうして、国の政治を浄化していたのでした。
この男は、国の政治を澱ませたのです。
ところでこの男の演説は、全く国民に響くものではなく、何を言ってるのかよく分からない、眠たくなるようなお粗末なものでした。
「話す力」は、無かったのです。
この男は、
「国の力の基は、税金だ。」
と、財務省の言うことばかり聞いて、ひたすら増税を行ないました。
そのため、国民はひどく苦しめられました。
またこの男は、
「覇権国家の言うことを聞いていれば、間違いない。」
と、国民のことは考えず、覇権国家の言う通りに、国のお金をとんでもなくたくさん使ってしまいました。
国民は、ますます苦しめられました。
この男の『聞く力』というのは、財務省の言うことを聞く力、覇権国家の言うことを聞く力、だったのです。
そのため、政府の支持率はとんでもなく低いものになりました。
「このままでは、次の選挙で落選してしまう。今のうちに解散・総選挙をしてくれ!」
と、多くの国会議員が悲鳴を上げました。
でもこの男は、総理大臣でいることが目的なので、議会の解散をしません。
議会を解散したら、次の総理大臣は別の人になるに決まっているからです。
「それでは、国民の言うことを一つ聞いてください。」
と、ある議員が議会で提案しました。
聞く力を長所としていたこの男は、
『一つだけなら構わないだろう。』
と思って、それを引き受けました。
国民の願いは、
「総理大臣の頭を、一発張らせてください。」
でした。
これには総理大臣も驚きましたが、
『グーではなく、パーで張られるのなら、まあいいか。それにそんな度胸のある国民は、せいぜい10人もいないだろう。』
と、高を括っていました。
それで、総理大臣の頭を一発張りたいと思う国民が、総理官邸に列を作りました。
総理大臣は椅子に座って、国民に頭を張られましたが、「結構痛いなあ。」と思い、並んでいる国民の数を見ると、たくさんの人が並んでいました。
総理大臣は、逃げ出そうとしましたが、
「これは大臣がお決めになったことです。最後までやり遂げなければいけません。」
と、忠実な役人は、総理大臣を椅子に縛り付けてしまいました。
こうして、総理大臣は「聞く力」を、身をもって実践したのです。
国民の列は、途切れることはありませんでした。
毎日毎晩、食事とトイレの時以外は、総理大臣は国民の思いを頭に受け続けました。
総理大臣の後頭部は、すっかり毛がなくなってしまいました。
とうとう総理大臣は、気絶をしているようでした。
『総理大臣の頭は、少し凹んでしまったのではないだろうか。』
と、役人は心配しましたが、決められたことなので、そのまま続けさせました。
こうして、総理大臣としてあり続けるというこの男の願いは、叶えられたのです。
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