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見た目は女の子
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20XX年。男の娘は一目見ただけでは区別できないほど、非常に進化していた。
髭が生えてこないこと。
男のような体毛が生えていないこと。
顔が小さいこと。
声変わりしてないこと。
顔が可愛いこと。
肌が美しいこと。
髪の毛が美しいこと。
筋肉の付き方が男でないこと。
骨格が男でないこと。
仕草が自然に可愛いこと。
男の体臭がしないこと。
などなど。
もちろん、上記の条件に当てはまらない本物の女性もいる。しかし、女性はやはり女性である。男とは明らかに違う。
過去の時代には、見た目明らかな男性が、自分は心は女性だと主張して、服装や髪型だけ女性風にして、まるで化け物のような風体で街中を歩き回り、酷いのになると女子トイレに堂々と入ったり、強引に女湯に入ろうとする輩が存在した。こういう連中は、一目見て明らかに男であったので、女性たちはこういう女装男を直感的に避けた。見るからに男が、ど派手な女装や女性の髪形にして無理矢理女性のふりをすると、却って化け物のように見える。
男の娘が進化して、こういう女装男の醜さが際立つようになると、野郎の女装男どもは、人々から厳しい視線を受けるようになった。
自分は、心は女だと主張するだけのどう見ても男の連中は、はっきりと女性とは認められないことが社会通念化したのである。
まるで生物が、拒絶反応により異物を体外へ吐き出すかのように、奴らは社会から締め出された。
と言っても、野郎に戻っただけのことである。真面目に働けば、普通に暮らせる。
こうして、一目見ただけでは男と全く区別できないほどの男の娘ばかりが、市民権を勝ち得る世の中となった。
もちろん、全てを兼ね備えた子はなかなかいないものであるから、彼女たちは美しい女性となるために、涙ぐましい努力を続けるのである。
しかしながら、「男の娘二世」という子供たちが登場してくると、生まれつきほぼ女性の子たちが闊歩するようになった。
「男の娘二世」とは、父親が男の娘で、おなべや一般女性と結婚して生まれてきた男の娘たちである。
その子供たちのうちには、強力な遺伝子を持っている子が少なからずいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『へっ、へっ。溜まんねえ景色だな。』
如月学園に入学した、辻本靖は後ろの席から教室中を見渡して、悦に浸っていた。
クラスの半数は、セーラー服を着ていて、短いスカートから眩しいばかりの白い太ももを出している。
如月学園は元々は共学であったが、全国でも有数な男の娘優遇措置を取ったおかげで、男の娘の生徒数が増えて行き、とうとう本物の女生徒はいなくなってしまった。そういう環境に居づらくなり、ある時を境に、堰を切ったように次々と転校してしまったのである。
こうして如月学園は、事実上男子校になった。
辻本は醜男である。そのため女性にもてたことが無い。いつもどの女性からも嫌われてきた。これは辻本の容貌のせいだけでなく、辻本の性格も災いしていた。自業自得なのである。
しかしこういう男は自己本位であるから、手を握ったり体を摺り寄せたりすることは、男同士なのだから普通にできるだろうと、高を括っていた。それが大きな間違いであることは、直に分かることになる。
休み時間になると、若い子たちだけに話に花が咲く。
辻本はそういう子たちの、太腿ばかりを凝視していた。
「えー、何それ?ちょっと見せてよ。」
と、別の子のスマホを見ようと、前のめりになった子のスカートの中が見えそうになった。
『ああっ、もうちょっとで見えそうだ。』
と、辻本は思わずしゃがんで床にまで顔を低くして、その子のスカートの中を覗こうとした。
その時、誰かが辻本の顔を思いっきり踏みつけた。
突然頭に打撃を食らった辻本は、立ち上がって相手に掴みかかった。
「てめー、何しやがんだよ!ぶっ飛ばすぞ!」
相手はきざな仕草で「ちっちっ」と、人差し指を振って言った。
「君い、盗撮は犯罪だよ。」
「なにー!盗撮なんかしてねえぞ!俺はただ下からスカートの中を覗き込んでただけだ。」
この騒ぎに気が付いた先ほどの子たちは、辻本の顔を変態を見るような目つきで睨んで、そこから離れて行ってしまった。
但し、辻本が『変態』だというのは当たっている。
『くっそー、変な目で見られちゃったじゃないか。あの野郎、必ず撲ってやる。』
辻本は執念深かった。
女の子たちは、何人かのグループに分かれてぺちゃくちゃ喋っている。なかにはちゃっかり一人の子を抱え込んで、二人っきりで語らっている男もいる。
そういう男たちは、やはりイケメンである。
辻本はくそ面白くないので、二年生の教室を見物しに行ってみた。
二年生の教室は、一年生のとはかなり雰囲気が違っていた、
ただ黙って抱擁しているだけのペアが、何組かいた。まるで深夜のアベックの溜まり場の公園のようだ。女の子の腰に手をまわして語り合っているペアもいた。
かと思えば、野郎だけで固まって話しているオタクっぽい連中や、ずっと一人でスマホを見ている連中もいた。
二極化が進んでいるようだ。
どきっとしたのは、女の子同士で抱擁しているペアもいたことである。男役と女役があるのだろうか。
性別上はどちらも男だから、見ていても分からない。
ただ気になったのは、女の子を抱いている男はことごとくイケメンだったことだ。
『やべーな、二年生は。この分だと三年生は、相当やべーんじゃねえか。』
と、辻本は勝手な妄想をした。
終業のベルが鳴ると、辻本は一目散に喫茶店に駆け込んだ。マスターに色々話を聞きたかったからだ。
「うん、確かに整形してるよ。高校生なのに、よく金があるもんだなと思うよ。」
『そうか、やっぱりあの美少女たちは整形してるのか。』と、辻本は「さもありなん」と、相槌を打った。
「違う、違う。男が整形してるんだよ。もてたいんだよな、奴らも。」
と、マスターは意外な事実を言った。
「女の子?いや、整形してる子は聞いたことないな。やっぱ若いうちに整形しちゃうと、歳取ってから悪影響あるからね。あの子たちは土台がいいんだよ。特に最近の子は。」
辻本は鼻息を荒くしながら、マスターに質問した。
「俺も整形したら、イケメンになれますか!」
マスターは、「うーん。」と唸ったまま、次の言葉を出せなかった。
ドアを開けサラリーマン風の客がやって来て、辻本とマスターとの会話は途切れてしまった。
やがて如月学園の制服を着たカップルが何組か入って来た。他の一般客も入って来て、店は賑わって来た。
辻本が観察するに、男どもは如月学園女子の太ももをちらちら盗み見しているようだ。まだ寒い風が吹くというのに、皆、生足を惜しげもなく出している。そして皆、顔が可愛い。男どもは、顔と太ももを見比べながら、悦に入っているようだ。
辻本のところに、マスターが注文の品を持ってきた。
「さっきの話、よそではしないでね。皆、うちの大事なお客さんだから。」
と、マスターがこっそり耳打ちした。
店からの帰り道、辻本は考えた。
「バイトすれば、プチ整形くらいなら何とかなるだろう。そうすれば俺も二学期には、可愛い子を腕に抱いていちゃいちゃできるようになるってもんだ。」
辻本はマスターの無言の忠告を聞いていない。
髭が生えてこないこと。
男のような体毛が生えていないこと。
顔が小さいこと。
声変わりしてないこと。
顔が可愛いこと。
肌が美しいこと。
髪の毛が美しいこと。
筋肉の付き方が男でないこと。
骨格が男でないこと。
仕草が自然に可愛いこと。
男の体臭がしないこと。
などなど。
もちろん、上記の条件に当てはまらない本物の女性もいる。しかし、女性はやはり女性である。男とは明らかに違う。
過去の時代には、見た目明らかな男性が、自分は心は女性だと主張して、服装や髪型だけ女性風にして、まるで化け物のような風体で街中を歩き回り、酷いのになると女子トイレに堂々と入ったり、強引に女湯に入ろうとする輩が存在した。こういう連中は、一目見て明らかに男であったので、女性たちはこういう女装男を直感的に避けた。見るからに男が、ど派手な女装や女性の髪形にして無理矢理女性のふりをすると、却って化け物のように見える。
男の娘が進化して、こういう女装男の醜さが際立つようになると、野郎の女装男どもは、人々から厳しい視線を受けるようになった。
自分は、心は女だと主張するだけのどう見ても男の連中は、はっきりと女性とは認められないことが社会通念化したのである。
まるで生物が、拒絶反応により異物を体外へ吐き出すかのように、奴らは社会から締め出された。
と言っても、野郎に戻っただけのことである。真面目に働けば、普通に暮らせる。
こうして、一目見ただけでは男と全く区別できないほどの男の娘ばかりが、市民権を勝ち得る世の中となった。
もちろん、全てを兼ね備えた子はなかなかいないものであるから、彼女たちは美しい女性となるために、涙ぐましい努力を続けるのである。
しかしながら、「男の娘二世」という子供たちが登場してくると、生まれつきほぼ女性の子たちが闊歩するようになった。
「男の娘二世」とは、父親が男の娘で、おなべや一般女性と結婚して生まれてきた男の娘たちである。
その子供たちのうちには、強力な遺伝子を持っている子が少なからずいた。
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『へっ、へっ。溜まんねえ景色だな。』
如月学園に入学した、辻本靖は後ろの席から教室中を見渡して、悦に浸っていた。
クラスの半数は、セーラー服を着ていて、短いスカートから眩しいばかりの白い太ももを出している。
如月学園は元々は共学であったが、全国でも有数な男の娘優遇措置を取ったおかげで、男の娘の生徒数が増えて行き、とうとう本物の女生徒はいなくなってしまった。そういう環境に居づらくなり、ある時を境に、堰を切ったように次々と転校してしまったのである。
こうして如月学園は、事実上男子校になった。
辻本は醜男である。そのため女性にもてたことが無い。いつもどの女性からも嫌われてきた。これは辻本の容貌のせいだけでなく、辻本の性格も災いしていた。自業自得なのである。
しかしこういう男は自己本位であるから、手を握ったり体を摺り寄せたりすることは、男同士なのだから普通にできるだろうと、高を括っていた。それが大きな間違いであることは、直に分かることになる。
休み時間になると、若い子たちだけに話に花が咲く。
辻本はそういう子たちの、太腿ばかりを凝視していた。
「えー、何それ?ちょっと見せてよ。」
と、別の子のスマホを見ようと、前のめりになった子のスカートの中が見えそうになった。
『ああっ、もうちょっとで見えそうだ。』
と、辻本は思わずしゃがんで床にまで顔を低くして、その子のスカートの中を覗こうとした。
その時、誰かが辻本の顔を思いっきり踏みつけた。
突然頭に打撃を食らった辻本は、立ち上がって相手に掴みかかった。
「てめー、何しやがんだよ!ぶっ飛ばすぞ!」
相手はきざな仕草で「ちっちっ」と、人差し指を振って言った。
「君い、盗撮は犯罪だよ。」
「なにー!盗撮なんかしてねえぞ!俺はただ下からスカートの中を覗き込んでただけだ。」
この騒ぎに気が付いた先ほどの子たちは、辻本の顔を変態を見るような目つきで睨んで、そこから離れて行ってしまった。
但し、辻本が『変態』だというのは当たっている。
『くっそー、変な目で見られちゃったじゃないか。あの野郎、必ず撲ってやる。』
辻本は執念深かった。
女の子たちは、何人かのグループに分かれてぺちゃくちゃ喋っている。なかにはちゃっかり一人の子を抱え込んで、二人っきりで語らっている男もいる。
そういう男たちは、やはりイケメンである。
辻本はくそ面白くないので、二年生の教室を見物しに行ってみた。
二年生の教室は、一年生のとはかなり雰囲気が違っていた、
ただ黙って抱擁しているだけのペアが、何組かいた。まるで深夜のアベックの溜まり場の公園のようだ。女の子の腰に手をまわして語り合っているペアもいた。
かと思えば、野郎だけで固まって話しているオタクっぽい連中や、ずっと一人でスマホを見ている連中もいた。
二極化が進んでいるようだ。
どきっとしたのは、女の子同士で抱擁しているペアもいたことである。男役と女役があるのだろうか。
性別上はどちらも男だから、見ていても分からない。
ただ気になったのは、女の子を抱いている男はことごとくイケメンだったことだ。
『やべーな、二年生は。この分だと三年生は、相当やべーんじゃねえか。』
と、辻本は勝手な妄想をした。
終業のベルが鳴ると、辻本は一目散に喫茶店に駆け込んだ。マスターに色々話を聞きたかったからだ。
「うん、確かに整形してるよ。高校生なのに、よく金があるもんだなと思うよ。」
『そうか、やっぱりあの美少女たちは整形してるのか。』と、辻本は「さもありなん」と、相槌を打った。
「違う、違う。男が整形してるんだよ。もてたいんだよな、奴らも。」
と、マスターは意外な事実を言った。
「女の子?いや、整形してる子は聞いたことないな。やっぱ若いうちに整形しちゃうと、歳取ってから悪影響あるからね。あの子たちは土台がいいんだよ。特に最近の子は。」
辻本は鼻息を荒くしながら、マスターに質問した。
「俺も整形したら、イケメンになれますか!」
マスターは、「うーん。」と唸ったまま、次の言葉を出せなかった。
ドアを開けサラリーマン風の客がやって来て、辻本とマスターとの会話は途切れてしまった。
やがて如月学園の制服を着たカップルが何組か入って来た。他の一般客も入って来て、店は賑わって来た。
辻本が観察するに、男どもは如月学園女子の太ももをちらちら盗み見しているようだ。まだ寒い風が吹くというのに、皆、生足を惜しげもなく出している。そして皆、顔が可愛い。男どもは、顔と太ももを見比べながら、悦に入っているようだ。
辻本のところに、マスターが注文の品を持ってきた。
「さっきの話、よそではしないでね。皆、うちの大事なお客さんだから。」
と、マスターがこっそり耳打ちした。
店からの帰り道、辻本は考えた。
「バイトすれば、プチ整形くらいなら何とかなるだろう。そうすれば俺も二学期には、可愛い子を腕に抱いていちゃいちゃできるようになるってもんだ。」
辻本はマスターの無言の忠告を聞いていない。
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