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序~最終章 生死流転
二話 存在しない者
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「死なないでユキ……」
“ユキがどんどん冷たくなっていく。このままじゃ……”
「絶対に死なせないから!」
事は一刻を争う。急ぎ里に戻り、手当てをする事が最優先。
泣いている場合ではない事を。そうしている間にも、徐々に体温が失われていくのだから。
今にも消えようとしている小さな命。
アミは急ぎユキを背負う。
『っ!?』
だが彼女は、その余りの軽さに震撼した。
体積が小さいとか、血を流し過ぎているとか、そう云った問題では無い。
そう、まるで初めから其処に存在しないかの様に。
特異点だから?
人では無いから?
泣いている場合ではないのに、アミはまた涙が出てきそうになるのを堪える。
“存在してはしてはならない存在ーー”
でも確かに此処に存在している事。
アミは里へ向かって走り出す。重みを感じないユキを背負いながら。
“ユキのその小さな温もりは、確かに私に伝わってくるのだからーー”
“ユキがどんどん冷たくなっていく。このままじゃ……”
「絶対に死なせないから!」
事は一刻を争う。急ぎ里に戻り、手当てをする事が最優先。
泣いている場合ではない事を。そうしている間にも、徐々に体温が失われていくのだから。
今にも消えようとしている小さな命。
アミは急ぎユキを背負う。
『っ!?』
だが彼女は、その余りの軽さに震撼した。
体積が小さいとか、血を流し過ぎているとか、そう云った問題では無い。
そう、まるで初めから其処に存在しないかの様に。
特異点だから?
人では無いから?
泣いている場合ではないのに、アミはまた涙が出てきそうになるのを堪える。
“存在してはしてはならない存在ーー”
でも確かに此処に存在している事。
アミは里へ向かって走り出す。重みを感じないユキを背負いながら。
“ユキのその小さな温もりは、確かに私に伝わってくるのだからーー”
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