雫 -SIZUKU- 最終特異少年戦記~序

ユキナ

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第8章 決戦の刻

四話 進軍開始

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ーー広大な森を見渡せる崖の上。其処に大勢の黒装束を纏った者達が集結していた。


「あの森の奥深くに夜摩一族。そして光界玉が隠されている……か」


そう呟くのは長い黒髪を全て後ろに結い上げ、綺麗に整えられた顎髭が熟練の剣士を思わせる、狂座第二十四軍団長クウガ。


「ククク、いよいよ我等の出番ですなアザミ様」


同じく黒装束を纏い、顔には奇妙な眼帯。両腕に装着した鈎爪を舌なめずりし笑うのは、狂座第三十七軍団長ショウキ。


「何でも特異点が居るとの事ですね」


長身痩躯、長い黒髪を靡かせ、腰に差した鍔元から鞘に至るまで漆黒の刀を携えて森を見ているのは、狂座第八軍団長リト。


そして、その中心に立つ人物ーーアザミ。


当主直属部隊のアザミを筆頭に軍団長三名、一般兵卒から選りすぐられた精鋭四十八名、総勢五十二名が此処に集結していた。


「ああ、奇襲を仕掛ける。目的は光界玉及び特異点の首。その他邪魔な者は皆殺しにして構わん」


アザミの言葉に全体の士気が一気に上がる。歓声を上げる者も居た程だ。


「総員、サーモの電源は落としておけ。情報は全てこちらにある以上、最早無意味だ」


アザミがそう伝えると、統率が取れているが如く、一斉に全員が腕に装着したサーモの電源を落とす。


必要無いのは勿論だが、特異点との遭遇で全員のサーモが裏コード移行の警告音を鳴らされたら、全軍の士気が乱されかねないとアザミは判断したからだ。


アザミは恐ろしい迄に冷酷で、冷静だった。誰もがその佇まいに畏怖と尊敬の念を抱いている。


アザミは全員を見回し、高らかに告げる。


「総員、進軍開始」
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