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第6章 溶ける氷
十四話 暖かかった日の事
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「存在してはいけないとか、生きている価値が無いとか、そんな事誰が決めたのよ!」
アミはユキを抱きしめたまま、力の限り叫んだ。
心の底から叫びたかった。
理不尽な世の中の不条理を。
「存在してはいけない命なんてない……。ユキは今、確かに生きているじゃない……」
叱られて怯えた子供の様に立ちすくむユキに、アミは強く、それでいて優しく問い掛け続けた。
「私はユキの温もりを、今確かに感じている……。ユキは今ここにちゃんといるの。確かに生きてるんだから」
ユキは不意に瞳から涙が溢れそうになる。
その温もりが暖かくて。
今まで感じた事の無い、その感情を抑えきれなくて。
それでもーー
「許される訳ないじゃないですか……。私は……私は!」
涙が咽に詰まる感じで、それ以上言葉が出てこなかった。
「許すとか許さないとかじゃない。ユキは皆の分まで幸せに生きていかなきゃいけないの」
“私が幸せに生きる?”
“両親を……弟まで殺した私が”
“そんな事あってはいけないのに……”
“どうしてーー”
“どうして!?”
「ごめんね、ユキの事を気付いてあげられなくて。ユキは一人じゃないから……私の大切な家族なんだから」
ーー家族……。
そうだ。
必要とされたかった。
こうやって抱きしめて貰いたかった……。
ユキの瞳からはとめどなく涙が溢れ、流れていく。
これまで心の奥底で氷の様に固められていた自分でも気付かない、いや気付かない振りをしていた想い全てが、涙と共に溶けて流れていく。
本当に暖かい涙だった。
ずっと欲しかった温もり。
自分の存在意味。
あの時、一度だけ流した涙。
あの時と今のは違っていた。
それはきっと哀しみではなくーー
窓から洩れる月明かりが、抱き合う二人を優しく照らす。
初めて温もりを知った日の事。
初めて嬉し涙を流した日の事。
初めて自身の存在意味を知った日の事。
そんなーー寒いけど暖かった日の事。
アミはユキを抱きしめたまま、力の限り叫んだ。
心の底から叫びたかった。
理不尽な世の中の不条理を。
「存在してはいけない命なんてない……。ユキは今、確かに生きているじゃない……」
叱られて怯えた子供の様に立ちすくむユキに、アミは強く、それでいて優しく問い掛け続けた。
「私はユキの温もりを、今確かに感じている……。ユキは今ここにちゃんといるの。確かに生きてるんだから」
ユキは不意に瞳から涙が溢れそうになる。
その温もりが暖かくて。
今まで感じた事の無い、その感情を抑えきれなくて。
それでもーー
「許される訳ないじゃないですか……。私は……私は!」
涙が咽に詰まる感じで、それ以上言葉が出てこなかった。
「許すとか許さないとかじゃない。ユキは皆の分まで幸せに生きていかなきゃいけないの」
“私が幸せに生きる?”
“両親を……弟まで殺した私が”
“そんな事あってはいけないのに……”
“どうしてーー”
“どうして!?”
「ごめんね、ユキの事を気付いてあげられなくて。ユキは一人じゃないから……私の大切な家族なんだから」
ーー家族……。
そうだ。
必要とされたかった。
こうやって抱きしめて貰いたかった……。
ユキの瞳からはとめどなく涙が溢れ、流れていく。
これまで心の奥底で氷の様に固められていた自分でも気付かない、いや気付かない振りをしていた想い全てが、涙と共に溶けて流れていく。
本当に暖かい涙だった。
ずっと欲しかった温もり。
自分の存在意味。
あの時、一度だけ流した涙。
あの時と今のは違っていた。
それはきっと哀しみではなくーー
窓から洩れる月明かりが、抱き合う二人を優しく照らす。
初めて温もりを知った日の事。
初めて嬉し涙を流した日の事。
初めて自身の存在意味を知った日の事。
そんなーー寒いけど暖かった日の事。
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