50 / 99
第6章 溶ける氷
十二話 多くの命が消えた日の事
しおりを挟む
「ユキやめてぇ!」
アミの声が届く筈もない。ただ無情に映像は流れていく。
それでもアミは声をあげた。
怯える二人の親子。
その親子に歩みよるユキ。
「怯えないで! ユキを……抱きしめてあげて!」
アミは必死に母親に問い掛けるが、此処は映像だけの世界。
干渉する事は決して出来ない。
「お願い……」
アミはもどかしくとも、ただ見ている事しか出来なかった。
不意にユキの身体から、青白い凍気が溢れ出す。
「やっ、やめっ!」
恐怖に怯えた二人の親子は、その表情のまま全身が凍り、崩れ散っていくのであった。
************
ーー母上とシュリが、僕の目の前から消えていく。
どうして!?
こんな事望んでない!!
皆、僕が殺した……。
九夜の皆も。
父上も。
母上も。
弟のシュリも。
皆、皆僕が殺した……。
僕が死ぬはずだったのにーー
どうして!!
僕はこの世に存在してはいけない存在。
生きている価値も無いのに、生き残ってしまった……。
この世に在ってはならない罪を、どう償えばいい?
※この日、将軍家裏隠密忍衆“九夜”はこの世から消滅した。
一人の特異点が覚醒した日の事。
多くの命が消えた日の事。
そんな雪が降る、寒い夜の日の事ーー
アミの声が届く筈もない。ただ無情に映像は流れていく。
それでもアミは声をあげた。
怯える二人の親子。
その親子に歩みよるユキ。
「怯えないで! ユキを……抱きしめてあげて!」
アミは必死に母親に問い掛けるが、此処は映像だけの世界。
干渉する事は決して出来ない。
「お願い……」
アミはもどかしくとも、ただ見ている事しか出来なかった。
不意にユキの身体から、青白い凍気が溢れ出す。
「やっ、やめっ!」
恐怖に怯えた二人の親子は、その表情のまま全身が凍り、崩れ散っていくのであった。
************
ーー母上とシュリが、僕の目の前から消えていく。
どうして!?
こんな事望んでない!!
皆、僕が殺した……。
九夜の皆も。
父上も。
母上も。
弟のシュリも。
皆、皆僕が殺した……。
僕が死ぬはずだったのにーー
どうして!!
僕はこの世に存在してはいけない存在。
生きている価値も無いのに、生き残ってしまった……。
この世に在ってはならない罪を、どう償えばいい?
※この日、将軍家裏隠密忍衆“九夜”はこの世から消滅した。
一人の特異点が覚醒した日の事。
多くの命が消えた日の事。
そんな雪が降る、寒い夜の日の事ーー
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが当たり前になった世界。風間は平凡な会社員として日々を暮らしていたが、ある日見に覚えのないミスを犯し会社をクビになってしまう。その上親友だった男も彼女を奪われ婚約破棄までされてしまった。世の中が嫌になった風間は自暴自棄になり山に向かうがそこで誰からも見捨てられた放置ダンジョンを見つけてしまう。どことなく親近感を覚えた風間はダンジョンで暮らしてみることにするが、そこにはとても可愛らしいモンスターが隠れ住んでいた。ひょんなことでモンスターに懐かれた風間は様々なモンスターと暮らしダンジョン内でのスローライフを満喫していくことになるのだった。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です
詳細説明
生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。
そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。
そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。
しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。
赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。
色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。
家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。
※小説家になろう様でも投稿しております
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる