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第6章 溶ける氷
九話 最期に見た光景
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ーー複数の足音が聞こえる。
何だろう?
その足跡は僕の前までやってくると、二人の男達が目の前の鉄格子を開けて入ってきた。
もしかして此処から出してくれるの?
二人の男達は無言で僕をここから連れ出していく。
やっと此処から出られる。
永かった……。
此処に入れられてから、千八百日以上が過ぎただろうか?
この闇では時間の概念が分からないから、正確な日数とか分かる訳がない。
二人の男に連れられて、僕は屋敷の外へと出された。
ーー初めて見る外の世界……。
辺りは日が落ちていたけど、月明かりがとても綺麗でーー
ちらちらと、雪が降っていた。
外には沢山の人達が集まっていて、その中心には父上と、その傍らに母上と弟のシュリが居た。
何が始まるんだろう?
とても嫌な予感がする……。
僕は二人の男に掴まれるように、ある場所まで歩かされる。
そこは何かの台座みたいで、僕はその上に仰向けに寝かせられた。
何故か両手両足には、鎖が巻き付けられていく。
ああ、そうか。
僕は理解出来た。
僕は存在してはいけない存在。
特異点。
だから僕はこの世界から消えなければならない。
仕方ないよね……。
どうやら、この世界ともお別れみたいだ。
長いようで短かった気がする。
僕が居なくても皆、上手くやっていける。
僕が居たら、むしろ迷惑が掛かる。
不思議と怖くは無かった。
……でも何故だろう?
何故こんなに、目から水が溢れ出してくるんだろう?
最後に見たのは怖い位綺麗な満月とーー
その月明かりに照らされて銀色に光る何か。
今なら分かる。
それは刀だった。
人を斬る為のーー
人を殺す為だけの道具。
高く抱え上げられた刀が、僕に振り降ろされる。
ちらちら降る雪と一緒にーー
銀色に光る刀が、ゆっくりと落ちてくる。
まるで全ての時間が止まったかのように、ゆっくりとーー
死ぬ前って、きっと時間の流れがゆっくりになるんだね……。
元より存在しない者。
今まで僕はーー
生きていたのかな?
何だろう?
その足跡は僕の前までやってくると、二人の男達が目の前の鉄格子を開けて入ってきた。
もしかして此処から出してくれるの?
二人の男達は無言で僕をここから連れ出していく。
やっと此処から出られる。
永かった……。
此処に入れられてから、千八百日以上が過ぎただろうか?
この闇では時間の概念が分からないから、正確な日数とか分かる訳がない。
二人の男に連れられて、僕は屋敷の外へと出された。
ーー初めて見る外の世界……。
辺りは日が落ちていたけど、月明かりがとても綺麗でーー
ちらちらと、雪が降っていた。
外には沢山の人達が集まっていて、その中心には父上と、その傍らに母上と弟のシュリが居た。
何が始まるんだろう?
とても嫌な予感がする……。
僕は二人の男に掴まれるように、ある場所まで歩かされる。
そこは何かの台座みたいで、僕はその上に仰向けに寝かせられた。
何故か両手両足には、鎖が巻き付けられていく。
ああ、そうか。
僕は理解出来た。
僕は存在してはいけない存在。
特異点。
だから僕はこの世界から消えなければならない。
仕方ないよね……。
どうやら、この世界ともお別れみたいだ。
長いようで短かった気がする。
僕が居なくても皆、上手くやっていける。
僕が居たら、むしろ迷惑が掛かる。
不思議と怖くは無かった。
……でも何故だろう?
何故こんなに、目から水が溢れ出してくるんだろう?
最後に見たのは怖い位綺麗な満月とーー
その月明かりに照らされて銀色に光る何か。
今なら分かる。
それは刀だった。
人を斬る為のーー
人を殺す為だけの道具。
高く抱え上げられた刀が、僕に振り降ろされる。
ちらちら降る雪と一緒にーー
銀色に光る刀が、ゆっくりと落ちてくる。
まるで全ての時間が止まったかのように、ゆっくりとーー
死ぬ前って、きっと時間の流れがゆっくりになるんだね……。
元より存在しない者。
今まで僕はーー
生きていたのかな?
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