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第6章 溶ける氷
二話 七年前
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ーー生まれてから五年の月日が経過したある日の事。
私は四死刀の一人、星霜剣のユキヤに“とある戦場跡地”で会いました。
自分と同じ、白銀髪と瞳を持つ人。
そして自分と同じ特異能ーー“無氷”を持つ人。
これはとても特別な力と、そう教えられました。
ユキヤが私を拾ったのは、自分以外居ないと思っていた力の持ち主が他にいた驚きと、自分の後継者に仕立てあげるつもりだったのかもしれません。
それ以来、私は四死刀と共に戦場を駆け抜けてきました。
この普段は黒く見える髪色や瞳も、常人として振る舞う為の偽装の賜物です。精神にバリアを張る術、その他諸々。
まあスパルタ教育と言いましょうか?
闘う術や技は、闘いながら学べというのがユキヤの信条でしたから。
正直、これまで何度も死に直面した事も。
ある闘いで深手を負った時の事ですーー
四死刀の一人、魂縛のキリトは、あらゆる傷を再生させる力の持ち主でした。
深手を負った私に、キリトはその力で治癒を試みました。
でも何故か私の傷は再生する事は無かったのです
キリトの特異能ーー“再生再光”
これはとても優れた力で有りながら、その力の持ち主である自分自身には、再生能力が働かない欠点がある事。
キリトは私を調べました。
私にはキリトの持つ、再生再光を保有している事が分かりました。
何故二つの力が有るのか?
私には勿論、彼等にも分かりませんでした。
私にはユキヤと同じ無氷だけ、と思っていましたからーー
ユキはそう話し、それ以降は口を閉じた。
“ユキの事、少しだけ分かった気がする……”
アミは『じゃあ四死刀の人達に会う前は何をしていたの?』それを聞こうとして、寸前で思い留まる。
聞いてはいけない。
知ってはいけない。
そんな気がしたからーー
しかしユキが自分の事を、少しだけ話してくれた事。
今はそれだけで、アミは充分だった。
かける言葉が思いつかない沈黙した部屋の中ではあったが、とても穏やかな時が流れる。
“トントン”
不意に入り口の引き戸を、誰かが軽く叩く音がした。
“こんな夜更けに誰だろう?”
アミは『は~い』と声をかけて引き戸を開ける。
そこに立ちすくんでいたのは、リュウカの娘ミイだった。
私は四死刀の一人、星霜剣のユキヤに“とある戦場跡地”で会いました。
自分と同じ、白銀髪と瞳を持つ人。
そして自分と同じ特異能ーー“無氷”を持つ人。
これはとても特別な力と、そう教えられました。
ユキヤが私を拾ったのは、自分以外居ないと思っていた力の持ち主が他にいた驚きと、自分の後継者に仕立てあげるつもりだったのかもしれません。
それ以来、私は四死刀と共に戦場を駆け抜けてきました。
この普段は黒く見える髪色や瞳も、常人として振る舞う為の偽装の賜物です。精神にバリアを張る術、その他諸々。
まあスパルタ教育と言いましょうか?
闘う術や技は、闘いながら学べというのがユキヤの信条でしたから。
正直、これまで何度も死に直面した事も。
ある闘いで深手を負った時の事ですーー
四死刀の一人、魂縛のキリトは、あらゆる傷を再生させる力の持ち主でした。
深手を負った私に、キリトはその力で治癒を試みました。
でも何故か私の傷は再生する事は無かったのです
キリトの特異能ーー“再生再光”
これはとても優れた力で有りながら、その力の持ち主である自分自身には、再生能力が働かない欠点がある事。
キリトは私を調べました。
私にはキリトの持つ、再生再光を保有している事が分かりました。
何故二つの力が有るのか?
私には勿論、彼等にも分かりませんでした。
私にはユキヤと同じ無氷だけ、と思っていましたからーー
ユキはそう話し、それ以降は口を閉じた。
“ユキの事、少しだけ分かった気がする……”
アミは『じゃあ四死刀の人達に会う前は何をしていたの?』それを聞こうとして、寸前で思い留まる。
聞いてはいけない。
知ってはいけない。
そんな気がしたからーー
しかしユキが自分の事を、少しだけ話してくれた事。
今はそれだけで、アミは充分だった。
かける言葉が思いつかない沈黙した部屋の中ではあったが、とても穏やかな時が流れる。
“トントン”
不意に入り口の引き戸を、誰かが軽く叩く音がした。
“こんな夜更けに誰だろう?”
アミは『は~い』と声をかけて引き戸を開ける。
そこに立ちすくんでいたのは、リュウカの娘ミイだった。
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