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第5章 仮初めの日常
八話 悪魔の腕
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“ーー捕らえきれなかっただと!? 速い……何者だ?”
ガイラは自分に斬り掛かってきた人物に目を向けた。
「リュウカさん! 大丈夫ですか!?」
アミは小太刀をガイラに向けたまま、倒れているリュウカに目を向ける。
“ーー酷い……”
その状態にアミは思わず目を背けそうになる。
「に、逃げるんだ……。奴に刀は効かない」
リュウカは誰の目にも、危険な状態にある事は明らかだ。
「早く! 誰か急いでリュウカさんの手当てを!」
その状況に気付いた近くの者達が、急ぎリュウカの下に駆け寄った。
娘と思わしき少女が必死に父にすがり、泣き叫んでいる。
“ーー許せない!”
アミは怒りの表情で小太刀を構え、ガイラを見据え対峙していた。
“ーーこの動きからして、まさかこの女か!?”
ガイラはサーモの対象をアミに向ける。
“ーー間違いない! 侍レベル『68%』シオンを殺ったのはコイツだ!”
レベルで多少シオンに劣りながら殺されたという事は、何かしら特殊な力を持っている可能性が有る事をガイラは即座に判断した。
“油断はせん、全力で潰す!”
ガイラは奮える興奮を抑えきれなかった。
「ククク、ようやく見つけたぞ。冥土の土産に面白いものを見せてやろう」
突如ガイラの右腕が黒く輝く。
何かこの世の者とは思えない、形容し難い猛悪な何かに、ガイラの右腕は黒く変形したのだった。
「デモンズ・アーム(悪魔の腕)」
変形したガイラの右腕は、禍々しいまでの邪気を漂わせていた。
「俺のデモンズ・アームは鋼鉄をも引き千切る」
あの腕に捕まったら最期な位、想像しなくても分かる事だろう。
なら、あの腕の射程に入らない様、離れながら一瞬の隙を付くしかない。
狙うはあの腕が振り降ろされた直後ーー
アミがその隙を付こうと、飛び掛かろうとした時だった。
「どいてください」
「ユキ?」
ユキが何時の間にか、後ろから声をかけていた。
「貴女はまだ、この闘いに於ける彼等の本質を理解していない。ここは私が行きます」
ユキはアミの前に立ち、ガイラと対峙するのだった。
まだユキは刀を抜いても、殺気を出してもいなかった。
だからガイラが気付かないのも無理はなかった。
ガイラは自分に斬り掛かってきた人物に目を向けた。
「リュウカさん! 大丈夫ですか!?」
アミは小太刀をガイラに向けたまま、倒れているリュウカに目を向ける。
“ーー酷い……”
その状態にアミは思わず目を背けそうになる。
「に、逃げるんだ……。奴に刀は効かない」
リュウカは誰の目にも、危険な状態にある事は明らかだ。
「早く! 誰か急いでリュウカさんの手当てを!」
その状況に気付いた近くの者達が、急ぎリュウカの下に駆け寄った。
娘と思わしき少女が必死に父にすがり、泣き叫んでいる。
“ーー許せない!”
アミは怒りの表情で小太刀を構え、ガイラを見据え対峙していた。
“ーーこの動きからして、まさかこの女か!?”
ガイラはサーモの対象をアミに向ける。
“ーー間違いない! 侍レベル『68%』シオンを殺ったのはコイツだ!”
レベルで多少シオンに劣りながら殺されたという事は、何かしら特殊な力を持っている可能性が有る事をガイラは即座に判断した。
“油断はせん、全力で潰す!”
ガイラは奮える興奮を抑えきれなかった。
「ククク、ようやく見つけたぞ。冥土の土産に面白いものを見せてやろう」
突如ガイラの右腕が黒く輝く。
何かこの世の者とは思えない、形容し難い猛悪な何かに、ガイラの右腕は黒く変形したのだった。
「デモンズ・アーム(悪魔の腕)」
変形したガイラの右腕は、禍々しいまでの邪気を漂わせていた。
「俺のデモンズ・アームは鋼鉄をも引き千切る」
あの腕に捕まったら最期な位、想像しなくても分かる事だろう。
なら、あの腕の射程に入らない様、離れながら一瞬の隙を付くしかない。
狙うはあの腕が振り降ろされた直後ーー
アミがその隙を付こうと、飛び掛かろうとした時だった。
「どいてください」
「ユキ?」
ユキが何時の間にか、後ろから声をかけていた。
「貴女はまだ、この闘いに於ける彼等の本質を理解していない。ここは私が行きます」
ユキはアミの前に立ち、ガイラと対峙するのだった。
まだユキは刀を抜いても、殺気を出してもいなかった。
だからガイラが気付かないのも無理はなかった。
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