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第1章 邂逅
四話 名乗り
しおりを挟む少女はその瞳に一瞬ゾッとする、悪寒の様なものを感じた。
どう生きて来たらこうなるのか?
その瞳には何も無い。ただ闇が、虚無の世界だけが広がっていた。
「あっ! あの刀ならこちらで預かってるの。あとね、起きたばかりでごめんだけど……ちょっと来れるかな? 起きたらすぐ連れて来る様に言われててね……」
どう見ても只者ではない事は明らか。だが伝えられた事は遂行するのみ。
少女は何故か悲しそうな表情で、“本題”を少年に問い掛けた。
「いいでしょう」
少年は特に疑う事もせず、苦も無く立ち上がると少女と共に部屋を出て、ある場所へと向かう。
「そういえばまだお互い名乗ってなかったわね。私はアミ」
アミと名乗った少女はふと思い出したかの様に、自分の後ろを歩く少年に振り返り問い掛ける。
「えっと……君の名前を教えて貰えるかな?」
「ああ……。名前ですね」
少年は表情を変える事なく、そっと口を開く。
「私は……ユキヤと呼びます」
少年は誰に語りかける訳でも無いかの如く呟いた。
“呼びます”と。
それはまるで他人事の様に。
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