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第8章 絶望へのカウントダウン
一話 帰還
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――エルドアーク宮殿――
「ルヅキ様御帰還!」
次元断層内の異空間にその籍を置き、現世からはその存在を伺う事は出来ぬ狂座の本部、エルドアーク宮殿。
宮殿外から飛来する紅く光り輝く球体を、目視確認した中世風の鎧兜を身に纏う兵の一人が声を挙げ、それに続き出迎える様に数十名の兵達が、一斉に垣根の道を造る様に直線に整列する。
紅い球体は兵達の垣根の中心に降り立ち、その光が薄れ消えていくと共に、そこから一人の恐ろしいまでに美しき女性が姿を現した。
光界玉川奪取の為、地上へ出向いてたルヅキの本部への帰還である。
「……御苦労」
ルヅキは出迎えた兵達に声を掛け、入り口へ続く兵達による垣根の道をゆっくりと歩んでいく。
『相変わらずお美しい……』
歩み流れるルヅキのその姿に、兵達の誰もが魅入られていた。
ルヅキの美しさには、誰もがその目を奪われる。
だがその実は、狂座の最高幹部“当主直属部隊”その筆頭である。
“推定臨界突破レベル『200%』前後”
冥王不在に代わり、実質的にも実力的にも狂座の頂点に位置する彼女に、誰もが畏怖と尊敬の念で崇めていた。
兵達の垣根の奥に続く、その宮殿の入り口から人影が姿を現す。
「ル~ヅキ☆」
帰りを待ってましたと言わんばかりに、ユーリが天真爛漫な笑顔でルヅキの下へ駆け寄った。
「おかえりなさ~い☆」
周りの目を気にする事も無く、ユーリはルヅキの胸に飛び込む。それに対し、ルヅキは怪訝そうな表情を浮かべる。
「皆の見てる前だぞユーリ……」
ルヅキはそう咎めるが、仔猫の様にすりついてくるユーリの姿に、すぐにその冷徹そうな表情は崩れ、穏やかで美しいまでの笑顔となった。
『ルヅキ様が笑顔を!?』
『さすがはユーリ様……』
兵達はその光景に感嘆する。ルヅキのその表情を見た事のみならず、ユーリの恐れを知らないその行動に。
「だって心配したんだよ……ルヅキにもしもの事があったらって。でも成功して無事に帰ってきて良かった~☆」
そんな笑顔を見せるユーリの頭にルヅキは手を乗せ、その栗色の滑らかな髪を撫で下ろす。
「ああ済まない……。だが光界玉は我らの手に有る。我々の勝利だ」
ルヅキのその言葉に、周りの兵達が一斉に歓声を挙げた。
「オオォォォ!!」
「我々の勝利が!」
「ルヅキ様万歳!」
「狂座に永遠の栄光を!」
エルドアーク宮殿に歓喜の雄叫びが響き渡る。それはまるで、勝利の宴であるかの様に。
「ルヅキ様御帰還!」
次元断層内の異空間にその籍を置き、現世からはその存在を伺う事は出来ぬ狂座の本部、エルドアーク宮殿。
宮殿外から飛来する紅く光り輝く球体を、目視確認した中世風の鎧兜を身に纏う兵の一人が声を挙げ、それに続き出迎える様に数十名の兵達が、一斉に垣根の道を造る様に直線に整列する。
紅い球体は兵達の垣根の中心に降り立ち、その光が薄れ消えていくと共に、そこから一人の恐ろしいまでに美しき女性が姿を現した。
光界玉川奪取の為、地上へ出向いてたルヅキの本部への帰還である。
「……御苦労」
ルヅキは出迎えた兵達に声を掛け、入り口へ続く兵達による垣根の道をゆっくりと歩んでいく。
『相変わらずお美しい……』
歩み流れるルヅキのその姿に、兵達の誰もが魅入られていた。
ルヅキの美しさには、誰もがその目を奪われる。
だがその実は、狂座の最高幹部“当主直属部隊”その筆頭である。
“推定臨界突破レベル『200%』前後”
冥王不在に代わり、実質的にも実力的にも狂座の頂点に位置する彼女に、誰もが畏怖と尊敬の念で崇めていた。
兵達の垣根の奥に続く、その宮殿の入り口から人影が姿を現す。
「ル~ヅキ☆」
帰りを待ってましたと言わんばかりに、ユーリが天真爛漫な笑顔でルヅキの下へ駆け寄った。
「おかえりなさ~い☆」
周りの目を気にする事も無く、ユーリはルヅキの胸に飛び込む。それに対し、ルヅキは怪訝そうな表情を浮かべる。
「皆の見てる前だぞユーリ……」
ルヅキはそう咎めるが、仔猫の様にすりついてくるユーリの姿に、すぐにその冷徹そうな表情は崩れ、穏やかで美しいまでの笑顔となった。
『ルヅキ様が笑顔を!?』
『さすがはユーリ様……』
兵達はその光景に感嘆する。ルヅキのその表情を見た事のみならず、ユーリの恐れを知らないその行動に。
「だって心配したんだよ……ルヅキにもしもの事があったらって。でも成功して無事に帰ってきて良かった~☆」
そんな笑顔を見せるユーリの頭にルヅキは手を乗せ、その栗色の滑らかな髪を撫で下ろす。
「ああ済まない……。だが光界玉は我らの手に有る。我々の勝利だ」
ルヅキのその言葉に、周りの兵達が一斉に歓声を挙げた。
「オオォォォ!!」
「我々の勝利が!」
「ルヅキ様万歳!」
「狂座に永遠の栄光を!」
エルドアーク宮殿に歓喜の雄叫びが響き渡る。それはまるで、勝利の宴であるかの様に。
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