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第7章 終幕。そして……
一話 彼らにしか理解出来ぬ想い
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二人は凍結していき、後は塵となるのみ。それは最早、誰にも止められない。
「ユキ! もうやめてぇぇ!!」
アミの悲痛な叫びが響き渡った。
「姉様駄目ぇ!」
ユキの下へ駆け寄ろうとするアミを、ミオはしがみつく様に引き止めた。
二人を包む絶対零度の空間に近づいたら、即座に氷の塩となってしまうだろう。その為、このまま成り行きを見届けるしかなかった。
「……まだまだ青いな、お前も」
身体中を氷が浸食していく中、シグレは意味有りげな笑みを浮かべる。そしてーー
『なっ!?』
シグレは水の刃で自ら己の身体を切り離し、ユキとの繋がりを断つ。
『自分で自分を!?』
その余波でユキの手から浸透していた絶対零度は解除され、シグレの下半身は凍結により崩れ散り、分離した上半身だけが宙に残った。
「シグレぇぇぇ!!」
離れ離れになった二人。シグレの突然の行動に、ユキは雄叫びとも似つかわない叫び声を上げた。
「ククク……ハハハハハ!」
上半身だけとなったシグレは、高らかに笑う。だがそれすらも浸食する凍結に、徐々に塵となり崩れ散っていく。
「餓鬼が! お前如きに殺される俺だと思ったか!? 地獄へは……自らの意思で逝く」
そう、誇り高い迄の意地と、蒼い瞳でユキを見据えて。
「だが、お前はまだ来るんじゃねえよ。強さ以外に正しいものが有るとするなら……それを証明する為、もっと生き抜き貫いてみせな」
「シグレ……」
シグレの身体は崩れ散り、既に首だけとなっている。
『お前の生き様、奴等と共に地獄の底から見といてやるよーー』
それはかつて共有した仲間達と。そして最期に見えたのは、純粋な迄の確かな笑顔。
それでもシグレは最期まで悪としての己を貫き、そしてそれすらも淡く滲んで消えて逝く。初めから、その存在が無かったかの様に。
地に刺さったシグレの村雨だけが、その存在の証しであるかの様に、煌めきを醸し出していた。
「…………」
ユキは地に刺さる村雨を一瞥し、その隣り合わせに刺さる雪一文字のみを引き抜き、自分の鞘に納めた。
「ユキ……」
アミは急ぎ、傷付き過ぎた彼の下へ駆け寄る。
「ーーあっ!?」
駆け寄るアミに振り向いたユキを見て、アミは思わず足を止めた。
「どうしたんですかアミ?」
アミの瞳に映るユキの表情。彼の瞳からは一筋の涙が確かに、雫の様に頬を伝って零れ落ちていた。
「ユキ……泣いてる……」
「えっ!?」
アミの一言に、ユキはその手を頬に添える。
「私は……何で?」
その涙の意味に不思議そうに戸惑う彼を、アミはそっとその小さく傷付いた身体を抱き締めた。そしてユキを抱き締めたまま、彼女も涙を流す。彼の気持ちが痛い程に伝わったから。
同じ存在を生きた特異点。
彼等だけにしか理解出来ない想い。
その涙は同情でも哀れみでも無い、最後の仲間への見送りの涙なのかもしれない。
ただ、泣いているユキをアミは、そのままいつまでも抱き締めていた。
「ユキ! もうやめてぇぇ!!」
アミの悲痛な叫びが響き渡った。
「姉様駄目ぇ!」
ユキの下へ駆け寄ろうとするアミを、ミオはしがみつく様に引き止めた。
二人を包む絶対零度の空間に近づいたら、即座に氷の塩となってしまうだろう。その為、このまま成り行きを見届けるしかなかった。
「……まだまだ青いな、お前も」
身体中を氷が浸食していく中、シグレは意味有りげな笑みを浮かべる。そしてーー
『なっ!?』
シグレは水の刃で自ら己の身体を切り離し、ユキとの繋がりを断つ。
『自分で自分を!?』
その余波でユキの手から浸透していた絶対零度は解除され、シグレの下半身は凍結により崩れ散り、分離した上半身だけが宙に残った。
「シグレぇぇぇ!!」
離れ離れになった二人。シグレの突然の行動に、ユキは雄叫びとも似つかわない叫び声を上げた。
「ククク……ハハハハハ!」
上半身だけとなったシグレは、高らかに笑う。だがそれすらも浸食する凍結に、徐々に塵となり崩れ散っていく。
「餓鬼が! お前如きに殺される俺だと思ったか!? 地獄へは……自らの意思で逝く」
そう、誇り高い迄の意地と、蒼い瞳でユキを見据えて。
「だが、お前はまだ来るんじゃねえよ。強さ以外に正しいものが有るとするなら……それを証明する為、もっと生き抜き貫いてみせな」
「シグレ……」
シグレの身体は崩れ散り、既に首だけとなっている。
『お前の生き様、奴等と共に地獄の底から見といてやるよーー』
それはかつて共有した仲間達と。そして最期に見えたのは、純粋な迄の確かな笑顔。
それでもシグレは最期まで悪としての己を貫き、そしてそれすらも淡く滲んで消えて逝く。初めから、その存在が無かったかの様に。
地に刺さったシグレの村雨だけが、その存在の証しであるかの様に、煌めきを醸し出していた。
「…………」
ユキは地に刺さる村雨を一瞥し、その隣り合わせに刺さる雪一文字のみを引き抜き、自分の鞘に納めた。
「ユキ……」
アミは急ぎ、傷付き過ぎた彼の下へ駆け寄る。
「ーーあっ!?」
駆け寄るアミに振り向いたユキを見て、アミは思わず足を止めた。
「どうしたんですかアミ?」
アミの瞳に映るユキの表情。彼の瞳からは一筋の涙が確かに、雫の様に頬を伝って零れ落ちていた。
「ユキ……泣いてる……」
「えっ!?」
アミの一言に、ユキはその手を頬に添える。
「私は……何で?」
その涙の意味に不思議そうに戸惑う彼を、アミはそっとその小さく傷付いた身体を抱き締めた。そしてユキを抱き締めたまま、彼女も涙を流す。彼の気持ちが痛い程に伝わったから。
同じ存在を生きた特異点。
彼等だけにしか理解出来ない想い。
その涙は同情でも哀れみでも無い、最後の仲間への見送りの涙なのかもしれない。
ただ、泣いているユキをアミは、そのままいつまでも抱き締めていた。
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