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第2章 帰依

二話 妹

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ーーユキが森へ出掛けて一刻(約二時間)程経った頃、アミは一人、家内の片付け等をしていた。


その最中も、アミはずっとユキの事ばかりを考えていた。


「大丈夫かなぁユキ……」


“やっぱり私も着いていくべきだったかしら?”


アミの心配は他にもある。狂座がいつ攻めて来るか分からない事。


日常生活に支障はほぼ無いとはいえ、まだユキは戦闘を行える身体では無い。


まだ終わった訳では無いのだ。


もし今、アザミ並の直属級が攻めて来たら? と思うと、アミの不安と心配は更に大きくなっていく。


“もしそうなったら、今度こそユキは……”


アミはあの壮絶な死闘を思い出して身震いする。


だからだろうか?


アミの背後から、何者かが音も気配も消して、近づいて来るのに気付かなかったのは。


「……えっ!?」


その僅かな空気の流れの変化に気付いて振り返った時には時、既に遅し。


何者かが正面からアミにぶつかっていたのだから。


「ア……アナタは!」


その人物に、アミの瞳は驚愕を以って開かれた。


「姉様ただいま!」


そう言ってアミに抱き着いて来たのは、アミと同じ巫女衣装を纏い、ショートカットの綺麗な黒髪のまだ幼さの残る活発そうな少女だった。


「ミオ? もう、びっくりさせないで」


ミオと呼ばれたこの少女は、半年前に巫女修業の為に、一人旅に出ていたアミの妹であった。


「えへへ☆ 姉様をびっくりさせようと思って。ついさっき帰って来たんだよ」


“もうこの子は……。何時も驚かせようとするんだから……”


「でも、よく無事に帰って来たわねミオ。おかえりなさい」


そう言い、アミは半年振りの妹を包み込む様に、優しく抱きしめる。


「久々の姉様の匂い……やっぱり落ち着く~☆」


久々の姉妹の邂逅。


また二人で暮らせる事の喜びを噛み締める様に、ミオは重度のシスコンっぷりを発揮し、アミに甘える。積もる話は沢山有るが、もう暫くこのままでいたいとの顕れだった。


そんな空気を切り裂くが如く、ガラッという音と共に、家の入口の取っ手が開かれる。


二人同時に、その音がした方向を振り向く。


「只今戻りました」


ミオよりひと足遅れて、ユキが帰宅したのであった。
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