47 / 69
三の罪状
雫のレベル
しおりを挟む
「どうよ? 久々に俺の力を見てビビっちゃったかな?」
幸人の言葉を聞いていたのか、時雨が御満悦な表情で二人の下へ歩み寄って来る。
「笑わせる……。お前の力はただ殺しを楽しむ為だけのもの。怯懦する道理は無い」
幸人の返した答。それは明らかに挑発の類。
「幸人?」
“らしくない”
それがジュウベエが真っ先に感じた事。
二人の仲が宜しく無い事は、仲介所のやり取りで分かっていた事だが、それにしても珍しく感情が先走っていると。
“この二人の間に一体何が?”
「あ? 仕事は楽しくやるのが長続きのコツだろうが? 同じ穴のムジナ同士、楽しく殺ろうぜ」
時雨はその陽気な声とは裏腹に、顔が笑ってない。
「一緒にするなよ」
「この偽善者が……」
それは幸人も、御互いに同じ。
対峙する二人の間に、肌に張り付く様な緊張感、もとい亀裂が走る――
「あ! 良い事思い付いた。介添え役、同行中に敵の不意打ちにより死亡、て頭良いな俺」
時雨が不意に恐ろしい事を、さらりと言いのける。
それが頭良いかはともかく――
「俺も似た様な事を考えてた。執行者、執行中に油断から死亡。本部にはそう届けといてやる」
幸人も全くの同感。明らかに両者共に殺る気満々。御互いを――
「おっ……おい幸人!?」
危険を察知したのか、ジュウベエが急ぎ幸人の左肩から飛び降りたのは、その眼鏡を外していたからだ。
依頼以外の事で、その真の力を解放する等――
「上等上等、いい機会だ。お前とはいつかケリつけねぇと、と思ってたからな」
まるでこの時を待ってたかの様に嘲笑う時雨。
突如その身体の周りには、幾多ものテニスボール程の水球が現れ、不規則に渦巻いている。
限りなく透明で視覚も朧だが、先程と同様それは超圧縮された水の塊、正に水の集合体だ。
「昔から気に食わなかったんだよ。自分は他とは違う、っていうその勘違いっぷりがな!」
そう吐き捨てた時雨の表情に、既に笑みは無い。切れの長い蒼き瞳は冷酷そのもの。
「それは俺も同じだ。いい加減お前が目障りで仕方無い」
煌めく銀髪へと変わった幸人もまた同じ。
氷と水。等しい様で全てに於いて対極にある二人。
御互いがぶつかり合うのは、遥か昔から定められていたのかが如く、この対峙は必然だったのかも知れない。
そして完全に幸人から雫へと移行した瞬間――
“level99.99%over”
※※※※EMERGENCY※※※※
鳴り響く警告音は時雨から。
「くっくっく」
この状況に昂りを隠せず、自然と高揚の笑みが溢れる。
※レベル臨界突破計測確認――
CODE:0990100よりモード反転――
スタビライザー解除:裏コード移行――
※※※※EMERGENCY※※※※
※本機はこれより モード:エクストリームへ突入します――
地殻変動及び空間断裂の危険性大――
速やかな退避を推奨します――
※※※※EMERGENCY※※※※
時雨は微笑しながら、己がサーモの液晶画面を確認していた。
――――――――――――――
※裏コード~臨界突破
※第二マックスオーバー
※モード:エクストリーム
対象level 201.96%
※危険度判定 SS
――――――――――――――
幸人の言葉を聞いていたのか、時雨が御満悦な表情で二人の下へ歩み寄って来る。
「笑わせる……。お前の力はただ殺しを楽しむ為だけのもの。怯懦する道理は無い」
幸人の返した答。それは明らかに挑発の類。
「幸人?」
“らしくない”
それがジュウベエが真っ先に感じた事。
二人の仲が宜しく無い事は、仲介所のやり取りで分かっていた事だが、それにしても珍しく感情が先走っていると。
“この二人の間に一体何が?”
「あ? 仕事は楽しくやるのが長続きのコツだろうが? 同じ穴のムジナ同士、楽しく殺ろうぜ」
時雨はその陽気な声とは裏腹に、顔が笑ってない。
「一緒にするなよ」
「この偽善者が……」
それは幸人も、御互いに同じ。
対峙する二人の間に、肌に張り付く様な緊張感、もとい亀裂が走る――
「あ! 良い事思い付いた。介添え役、同行中に敵の不意打ちにより死亡、て頭良いな俺」
時雨が不意に恐ろしい事を、さらりと言いのける。
それが頭良いかはともかく――
「俺も似た様な事を考えてた。執行者、執行中に油断から死亡。本部にはそう届けといてやる」
幸人も全くの同感。明らかに両者共に殺る気満々。御互いを――
「おっ……おい幸人!?」
危険を察知したのか、ジュウベエが急ぎ幸人の左肩から飛び降りたのは、その眼鏡を外していたからだ。
依頼以外の事で、その真の力を解放する等――
「上等上等、いい機会だ。お前とはいつかケリつけねぇと、と思ってたからな」
まるでこの時を待ってたかの様に嘲笑う時雨。
突如その身体の周りには、幾多ものテニスボール程の水球が現れ、不規則に渦巻いている。
限りなく透明で視覚も朧だが、先程と同様それは超圧縮された水の塊、正に水の集合体だ。
「昔から気に食わなかったんだよ。自分は他とは違う、っていうその勘違いっぷりがな!」
そう吐き捨てた時雨の表情に、既に笑みは無い。切れの長い蒼き瞳は冷酷そのもの。
「それは俺も同じだ。いい加減お前が目障りで仕方無い」
煌めく銀髪へと変わった幸人もまた同じ。
氷と水。等しい様で全てに於いて対極にある二人。
御互いがぶつかり合うのは、遥か昔から定められていたのかが如く、この対峙は必然だったのかも知れない。
そして完全に幸人から雫へと移行した瞬間――
“level99.99%over”
※※※※EMERGENCY※※※※
鳴り響く警告音は時雨から。
「くっくっく」
この状況に昂りを隠せず、自然と高揚の笑みが溢れる。
※レベル臨界突破計測確認――
CODE:0990100よりモード反転――
スタビライザー解除:裏コード移行――
※※※※EMERGENCY※※※※
※本機はこれより モード:エクストリームへ突入します――
地殻変動及び空間断裂の危険性大――
速やかな退避を推奨します――
※※※※EMERGENCY※※※※
時雨は微笑しながら、己がサーモの液晶画面を確認していた。
――――――――――――――
※裏コード~臨界突破
※第二マックスオーバー
※モード:エクストリーム
対象level 201.96%
※危険度判定 SS
――――――――――――――
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
惨劇のアクター
鮫島
SF
2895年、第三次世界大戦が行われた後の地球
一度は絶滅まで追い込まれた人類だったが、とある理由で科学が大幅に飛躍、それにより打ち捨てられた都市は回復し、人類は進化した…それはある一つの技術
人々はそれを「マキナ(舞台装置)」呼ぶ、異次元の能力。
火を操り、水を生み出し、植物を思うように動かす…まさに「神の御業」そのもの
初めは全ての人が歓喜し、それを人類の発展へと役立てた…しかし、必ず大きな力にはそれの犠牲になった者達もいる
これは、そんな神の御業で復讐をなすものを取り締まり、捕獲し、収容する…
とある国家直属の特務機関13課「アクター(演者)」に所属する存在とアクターに戦争を仕掛ける、復讐者の復讐劇である
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――
EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。
そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。
そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。
そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。
そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。
果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。
未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する――
注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。
注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。
注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。
注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!
ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった!
もしかすると 悪役にしか見えない?
私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」
そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる