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三の罪状

裏と表

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現代社会を裏で牛耳っているのが、この都市伝説とされる狂座という組織だ。


その影響力は日本のみならず世界各国、地球全域にまで及ぶ。


だがその存在が公に出る事は無い(都市伝説として知れ渡ってはいても。あくまで象の無い、噂が生んだ産物として)


狂座という名は、各国に於ける最重要機密。極秘事項の一つだからだ。


“政府が公認している?”


もしくは――


“黙認している”


それは正しいとも云えるし、どちらも意味合いが少々違う。


国は決して狂座を公認している訳でも、黙認している訳でも無い。


“知らないだけ”だ。


仮に政府がこれらを公に認めてしまったら、世界情勢、その在り方を根底から覆してしまう事になるからだ。


ゆえに表と裏。それらは完全に拮抗が保たれている。


“合わせ鏡の如く、世界は二つに別れている”


裏は決して表に出てはならないし、表は決して裏に介入してはならない。


これは絶対不可侵の不文律。お互いに暗黙の密約。


ちなみに裏事情の極秘事項を知るのは、一国の大統領クラスの権力を持つ者のみ。


************


「で、どうする? 競争率高いから急がねぇと」


ランクS依頼は危険度とは裏腹に、請けたがるエリミネーターが多いのも事実。


A級ならS級昇格の大チャンスであり、何より軽く二桁の億が動く。


「気が乗らないな……」


だが幸人は興味津々のジュウベエとは裏腹に、あまり今回の依頼に対して乗り気では無い。


「まあ国からの依頼に興味が無いっつうのも、お前らしいんだけどよ……」


金額や難易度の問題では無いのだ。


幸人にとって依頼とは、個人の念の深さが重要。国からの依頼はあやふや過ぎて、判断が難しいのだ。


これが“本当の恨み”なのかを。


「だがよ、個別にちまちま消した所で、所詮は焼け石に水。ここらで根本を一気に消す事も必要なんじゃねぇか?」


それは今回のランクS依頼を、請ける必然性が有る事を意味していた。


確かにジュウベエの意見には一理有る。


ランクS以上は、多くの人々が危機に晒されかねない程の事態。


幸人は暫し考える。


己のその在り方を。


ランクS以上を“ほぼ確実に”完遂出来るのは、特等であるSS級のみ。


S級以下だと失敗の可能性の方が高く、結局自分にお鉢が回って来かねない。


「……行くか」


それが確実に出来るのは、現在は自分のみだという事を。


「そうこなくっちゃな」


既に腹は決まった。


二人は部屋を後にし、何時もの場所へと向かう。


闇の仲介所へと――
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