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覚醒と召喚とランク社会

7 技名って連続で叫ばれると弱そうに聴こえる。

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サンダーボルトーー!!

サンダーーー!!

ーー!!


苦しい。痛い。辛い。もう楽にしてくれ。そんな言葉を頭の中で繰り返す。
走馬灯っていうんだろうか、色んな記憶が脳内を駆け巡り、あれやっときゃよかった、これも伝えていればなってめんどくさがってたことを悔やんだりして‥それから‥それから‥

「が、‥が‥ッ‥」

「サンダーショックッ!!サンダーッくそっくそっ!?離せッ気持ち悪りぃな!?このクズがッどけっ!!」

それから‥

雷に当たっても意識がある感覚。激痛が全身を走り、みぞおちや頭を何度も殴られて、ついに力が入らなくなった。

走馬灯‥普通もっとさ、楽しかった頃の記憶とかさ‥あんだろうに‥。ほんっと苦い思い出しか浮かんでこないのが嫌になる。
もっと酷い人生の人だっている。そう思って堪えてきたけど、今ぐらいは人生を嘆くことぐらい許して欲しい。

これが普通なんだって麻痺してたけど、今思い返すと屍のような毎日だった。幼馴染達が楽しそうに廊下を通っていく。俺は気づかれないように影のようにひっそりと、声をひそめた。中学時代はそんな惨めな記憶しかない。
生活費は高校に上がると同時に机には置かれなくなった。代わりに俺は部屋の前に置かれ続ける内職箱を、生活費袋が置かれ続けていた机の上に置いてやった。その日、久々に顔を合わせた母さんに殴られ何か暴言を吐きまくられたけれど、それよりも死活問題。急いでバイトを始める。ランクが低く、ちゃんと話す事すらできない俺は新聞配達やチラシのポスティングぐらいしかできなくて、雇ってもらうのにも苦労したけれど、なんとか頼み込んで仕事場を確保し、生活費を稼いだ。そこまではよかったんだ。

いつしか財布から盗まれようになった金。俺は怒りで母さんを問い詰めた。するとこう言われるんだ。あんたのランクが低いせいだと。俺はもう何も言えなかった。
学校と両立して、稼げる額はそう多くはない。その上、毎月給料日には、堂々と待ち構える母親に、精神が削られていく。給料袋から万札を抜かれ、無言で返される一枚の万札と余った小銭達。夜はカップラーメンをすすって来るはずのない未来の妄想だけが生きがい。もしもを想像できる未来だけが。

‥、一度でいい。Aクラスの授業受けてみたかったな。もしかしたら、努力すれば俺だってついていけたかもしれない。俺が存在していいって‥誰かに認めてほしかったな。生みの親ぐらいは信じてくれたっていいじゃねえかよ。‥一度でいいから‥

ふと何か記憶の一部分が、鮮明に映し出される。トカゲのぬいぐるみと、おやじと映った家族写真をぐちゃぐちゃに切り刻んで笑う、幼い俺の顔ーー。今の‥なんだ?

疑問に思ったのも最後、
頭を思い切り蹴られ、力が入らない体をぶっ飛ばされる。脳が揺れて、ガクンと首が空を向いた。

そこで俺の視界は真っ白になった。




白、どこを見ても白。
真っ白な視界の中で、キーンッとする音は、頭を蹴られ耳がやられた音なのか、先ほどから時々響いていた気持ち悪い音なのか、はたしてどっちなんだろうか。

どれだけ時間が経ったのか、ここがどこなのかすら分からない。俺はいつの間にか大きな6つのドアの前に立っていた。他の5つのドアは開いているのに、一つだけ頑丈な鍵がかかっていて、その扉は固く閉じられている。だけど、キーンッとそのドアの向こうから例の音がするから、俺は気になってそのドアに触れてみることにした。
触れた瞬間、ガチャンと何かが外れた音がして、そのドアにかかっていたであろう南京錠が音を立てて地面に落ちる。俺は勢いよく扉を開けたーー。
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