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覚醒と召喚とランク社会
どうしてこうなったからはじまるプロローグ
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どうしてこうなったーー。
「カイっ!?しっかりして!?」
とある路地裏。湿った地面の上に、白目を向いて気絶しているイケメンが1人ーーー。
そして彼に駆け寄る美少女達のその悲痛な叫び声に、俺はどうすることもできずその場で立ち尽くしていた。
「ぐっ、お前達っ、何者だーー」
ふと、足元から声がして、俺は飛びかけていた意識を正気に戻す。
片腕を押さえ、苦しそう跪きながら俺を睨みつけているのは、
これまた容姿の整ってらっしゃる【実は学園最強】の一匹狼くん。
いいな‥その漆黒のサラサラの髪も切れ長の瞳も‥あのー、つかぬことをお聞きしますが、顔面偏差値ってどこで手に入りますか?
見下ろした先で悔しそうな顔をする学園最強の腕を、
俺はものともせず踏みつけた。
「っぐ、あ‥」
苦しそうな学園最強くんを眺めながら、俺は頭を抱える。
あーもうッ今はそれどころじゃないだろッ!しっかりしろ俺!状況を把握するんだッ!!俺ならできる‥この現実を‥突破して‥。
ッ‥、、、うん!何にも思いつかないね!寧ろ、頭の中から思考が消えていくわ。真っ白だよ。雪のように真っ白だよっ!
はぁ‥現実逃避、したいな。
「ッ‥」
ギロリと向けられる視線。びくりと身体が強張る。ねえ、急にそんな目で俺を見ないでよ‥。びっくりするから俺、繊細なのっ、分かる?
「っ、答えろ‥お前らは‥何者なんだっ」
「おい!タマ!そいつらはほっとけ!さっさと次行くぞ!」
必死な叫びを掻き消すように、苛立った声が背後から聞こえて、俺は犬のように声の主に返事をする。
「うん!わかった!‥っ!?」
「待てっ!まだ話は終わってないぞっ、お前らは、この世界を滅ぼす存在なのか!?答えろよっ!?ーーー」
進みだそうとした俺の足を学園最強くんが掴んできて、俺は大きくため息をついた。
うん、勘違いしてるよ君。伝えないと、ちゃんと伝えないとっ
「違う‥俺は」
普通に話すことはまだ慣れないから、最小限に区切って否定の言葉を口にする。
俺の言葉を待つ学園最強くんと、美少女軍団。背後では凶暴な俺の相棒が、痺れを切らして近づいてくる気配。
あわあわあわあわ。女の子よりもか弱い俺。生まれたての小鹿よりメンタル弱い俺。だから‥だから‥そんな目で見ないで‥注目されると胃が痛くなるんだゔ‥ぎもぢわるいッ。
ドカンッバコンッと、あちこちで爆発音が聞こえてきて、俺はさらに頭が痛くなった。
人の叫び声。悲鳴、
平和な世界‥平和って‥なんだっけ‥。
「っ‥どう、して」
人間の視線に気持ち悪くなって、口とお腹を押さえる俺の背後から、小さく小さく泣き声みたいな言葉が聞こえてきて、
俺は恐る恐る振り返える。
落書きだらけの壁にもたれかかる少女。
長い前髪でほぼ顔は見えないけど、シュートなヘアの頭から、包帯がハラリと落ちて、その間から垣間見える灰色の両の目が、俺をじっと見つめている。
あぁ、そうだ。
全部、この子のせいだーー。
ギラギラした目玉の数々‥殺気と好奇心とその他etc‥。
あの日ーーー
全ての【ランク】がひっくり返った。
この【ランク】が全ての世界でだ。
どうして、こうなってしまったんだろうーー
「答える気はないってか‥っ、俺は‥諦めねえ‥ぜってえ、
てめぇをぶっ潰すッ!!」
「ッ!?!?」
ぶわりと駆け抜ける覇気にフラフラして、俺は声にならない悲鳴をあげる。
どうしてこうなったのか、俺にも分からない。関わることが無いはずの人物達と、出会うはずのない奇跡が、俺の世界に突然舞い込んできたんだから。
グイッと引っ張られるパーカーのフード。銀髪がキラキラと揺れて、輝いた。
「行くぞタマ。あいつらをぶっ殺しにな!ーーー」
あぁ、神様魔王様‥help、俺はただの陰キャなんです。だから、頼むから‥頼むからッ放っておいてくださいいいいっ‥。お゛ええええ
ーーー
「カイっ!?しっかりして!?」
とある路地裏。湿った地面の上に、白目を向いて気絶しているイケメンが1人ーーー。
そして彼に駆け寄る美少女達のその悲痛な叫び声に、俺はどうすることもできずその場で立ち尽くしていた。
「ぐっ、お前達っ、何者だーー」
ふと、足元から声がして、俺は飛びかけていた意識を正気に戻す。
片腕を押さえ、苦しそう跪きながら俺を睨みつけているのは、
これまた容姿の整ってらっしゃる【実は学園最強】の一匹狼くん。
いいな‥その漆黒のサラサラの髪も切れ長の瞳も‥あのー、つかぬことをお聞きしますが、顔面偏差値ってどこで手に入りますか?
見下ろした先で悔しそうな顔をする学園最強の腕を、
俺はものともせず踏みつけた。
「っぐ、あ‥」
苦しそうな学園最強くんを眺めながら、俺は頭を抱える。
あーもうッ今はそれどころじゃないだろッ!しっかりしろ俺!状況を把握するんだッ!!俺ならできる‥この現実を‥突破して‥。
ッ‥、、、うん!何にも思いつかないね!寧ろ、頭の中から思考が消えていくわ。真っ白だよ。雪のように真っ白だよっ!
はぁ‥現実逃避、したいな。
「ッ‥」
ギロリと向けられる視線。びくりと身体が強張る。ねえ、急にそんな目で俺を見ないでよ‥。びっくりするから俺、繊細なのっ、分かる?
「っ、答えろ‥お前らは‥何者なんだっ」
「おい!タマ!そいつらはほっとけ!さっさと次行くぞ!」
必死な叫びを掻き消すように、苛立った声が背後から聞こえて、俺は犬のように声の主に返事をする。
「うん!わかった!‥っ!?」
「待てっ!まだ話は終わってないぞっ、お前らは、この世界を滅ぼす存在なのか!?答えろよっ!?ーーー」
進みだそうとした俺の足を学園最強くんが掴んできて、俺は大きくため息をついた。
うん、勘違いしてるよ君。伝えないと、ちゃんと伝えないとっ
「違う‥俺は」
普通に話すことはまだ慣れないから、最小限に区切って否定の言葉を口にする。
俺の言葉を待つ学園最強くんと、美少女軍団。背後では凶暴な俺の相棒が、痺れを切らして近づいてくる気配。
あわあわあわあわ。女の子よりもか弱い俺。生まれたての小鹿よりメンタル弱い俺。だから‥だから‥そんな目で見ないで‥注目されると胃が痛くなるんだゔ‥ぎもぢわるいッ。
ドカンッバコンッと、あちこちで爆発音が聞こえてきて、俺はさらに頭が痛くなった。
人の叫び声。悲鳴、
平和な世界‥平和って‥なんだっけ‥。
「っ‥どう、して」
人間の視線に気持ち悪くなって、口とお腹を押さえる俺の背後から、小さく小さく泣き声みたいな言葉が聞こえてきて、
俺は恐る恐る振り返える。
落書きだらけの壁にもたれかかる少女。
長い前髪でほぼ顔は見えないけど、シュートなヘアの頭から、包帯がハラリと落ちて、その間から垣間見える灰色の両の目が、俺をじっと見つめている。
あぁ、そうだ。
全部、この子のせいだーー。
ギラギラした目玉の数々‥殺気と好奇心とその他etc‥。
あの日ーーー
全ての【ランク】がひっくり返った。
この【ランク】が全ての世界でだ。
どうして、こうなってしまったんだろうーー
「答える気はないってか‥っ、俺は‥諦めねえ‥ぜってえ、
てめぇをぶっ潰すッ!!」
「ッ!?!?」
ぶわりと駆け抜ける覇気にフラフラして、俺は声にならない悲鳴をあげる。
どうしてこうなったのか、俺にも分からない。関わることが無いはずの人物達と、出会うはずのない奇跡が、俺の世界に突然舞い込んできたんだから。
グイッと引っ張られるパーカーのフード。銀髪がキラキラと揺れて、輝いた。
「行くぞタマ。あいつらをぶっ殺しにな!ーーー」
あぁ、神様魔王様‥help、俺はただの陰キャなんです。だから、頼むから‥頼むからッ放っておいてくださいいいいっ‥。お゛ええええ
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