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異世界初の人類

異世界レクチャー

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 重装の戦士は暫くして復帰した。
まだ、体調は悪いようだが一人で立てるくらいには回復している。
 残りの三人はスプリットボアを解体してくれている。
 私は見学を兼ねて周囲の警戒をしていた。
解体のやり方は地球の猪の解体と同じだ。
血を抜き皮をはぎ内臓は穴を掘ってを捨てる。
皮と牙、そして爪。
肉は内臓を抜いた後真っ二つに割る。

「ところでこの肉とかをどうやって持って帰るんですか?」

 先ほど話しかけてきた魔術師の女カファが話しかけてきた。聞けば正直半分も持ち帰られないということ。
運搬は手で持てるだけということだ。

「ん、マジックバッグとかは無いの?」

 私の問いにカファは両手を振る。

「あれ、高いんですよ。とても私たちでは買えません」

 ふむ、テンプレか。
収納どうするかな……。
 因みにどれくらいの価値かを聞くと金板で10枚だそうだ。
私がこの世界に持ってきたお金換算にすると1000万か。
うむ、一財産だな。

 てか、この変換で大丈夫か?
私は硬貨を出してカファに見せる。
硬貨は世界通貨ということで大丈夫だということだ。

 うん?
 世界統一貨幣って便利すぎだろ、地球でもあれだけの貨幣があったのに。まあ、国も多かったけど。
ちなみにこの世界の収入は一般男性で大体金貨1枚、女性で銀貨8枚ほどだそうだ。
男尊女卑の世界かな?
冒険者は実力次第ということだそうだ。
 ついでにゴブリンの魔晶石の値段は銀貨1枚。
スプリットボアは金貨3枚だそうだ。
てかスプリットボア高すぎん?

 そう思って聞いてみるとどうやらこの辺りでは滅多に出ない生き物だとか。
それにやはり個体の強さがかなりのものらしい。ふつうは滑る皮と分厚い脂肪で刃が通らない。そして魔法も効きづらく、先ほど使った炎の魔法でもあの程度、つまり尻を焦がす程度とのこと。
これだけ簡単に倒せた私が凄いといわれてしまった。

 しばらくカファと話していると軽装の剣士マイクが終わったと告げる。
私は彼らと取り分を分ける。
魔晶石と牙1本、爪4個それに肉を半分と皮をもらう。
爪4本は皮の尻を焦がした詫びだとか。

 どうやって持って帰るのか聞いてみたら担いで帰るとのこと。
無茶だろ。
1mの猪なんか100kgで効くか?
正直持てるもんか。

 仕方ないので私はすべてを腕輪に放り込むことにした。

「ほえ、それマジックバックなのですか?」

 全員が興味深そうに覗いてくる。
私は「そんなもん」と言って足一本を残してすべてをしまう。

「とりあえず肉食いたいんだけど……」

私の言葉に全員が呆れた表情をする。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

「危険だ」

 マイクがここで調理はできないと言ってくる。
話しを聞くと魔獣や魔物が匂いにつられて寄ってくるらしい。
 因みに魔獣は言葉が話せない野生のもの、魔物は会話が通じないコミュニティを持つものと区分するらしい。
言語が違えば敵かぁ。
 とにかく街に案内するからそれまで我慢してくれと言われ、干し肉を出される。
私は仕方なしにそれを受け取ると豪快に齧るのであった。

塩っ辛いけど肉はサイコー!

---金変換表---
金板 1     1000000円
金貨 1  10   100000
銀板 1  10     10000
銀貨 1  10       1000
鉄板 1  10         100
鉄貨 10             10
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