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元売れっ子?ラノベ作家、異世界へ立つ
遺跡に祠がありました
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目の前にある遺跡。
崩れた屋根のアーキトレーブに残っている女性の胸像の額に紅い何かが光っている。
私はゆっくりと立ち上がり、その場を見渡した。
広さは30m×30m程であろうか。
整然と並んだ石畳の間には雑草すら生えていない。
どれほど精密に繋がれているのだろうか。
視線を目の前の崩れた建物に移す。
一瞬神殿のようにも見えたそれはどちらかと言うと祠という感じだ。
それでもかなりの大きさ。
そしてアーキトレーブに唯一、まともな形で残っている女性の胸像。
胸像を形作る真っ白な石は大理石だろうか?
その女性はこの祠に祭られていた神か何かであろうか?
しかしまあ、美人というか何というか。
表現しづらいな。
私は大きく深呼吸をすると自らの意識に気合を入れる。
鑑定
【失われた大地母神【*?%&#】の祠】
【*?%&#】
神々の母であり
万物の根源であり
魔力であり
信仰無き神
【胸像】
失われた大地母神【*?%&#】のバストアップ
リークヴァメタロ製
紅魔晶石(極大)付き
はぁ。
何というかまあ。
これってルールウより更に上位の存在なんじゃないか?
この世界の神がルールウの上位なのか同等なのか下位なのかは分からないが、それの生みの親って……。
それにこの表記だと【*?%&#=魔力】ということは宇宙そのものということ?
なんかとんでもない存在を発見してしまったような気がする。
しかしこの表記、矛盾があるなぁ。
信仰無き神ということならば誰がこの祠を建てたのだろう?
分からないな。
そしてリークヴァメタロってなんだ?
もう一度気合を入れて。
鑑定
【リークヴァメタロ】
白濁した流体金属
ありとあらゆる現象に対応し無効にできる金属
チートかよ。
持っていけるかな?
で、最後に額の宝石らしきものが魔晶石ね。
魔晶石……、魔晶石って私が埋め込まれたやつか!
しかし、極大ってあるけどどう見ても5cm程度だよなぁ。
綺麗だから欲しいけど触らないほうが良いか……。
私はとりあえず胸像の前に立ち手を合わせる。
「この聖域?に迷い込んでしまった哀れな人間でございます。
あなた様が何というお名前なのか存じませんが、この哀れな人間にこの場の一角をお借りすることをお許しください」
うん。
とりあえず場所を借りたいということを伝えた。
そして腕輪の中からハッカ飴とラピスの実、クルミとどんぐりを取り出す。
「すみません、手持ちの食料がこれしか無いもので……。
このラピスの実、クルミ、どんぐりはこの森で採れたものです。
またこの小さな粒は私が過去存在した世界から持ってきた食べ物です」
私はそれらをティッシュに包んで胸像の前に供え、もう一度手を合わせた。
あ、お金が良かったかな?
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
しばらく祈った後、私は一度遺跡から離れた。
水分が足りなくなっていたことを忘れてしまっていたからだ。
1時間後、私はまた遺跡の石畳の上にいた。
今いる所は石畳の中心にある祠からなるべく離れた場所。
そう、ここに拠点を作ることにしたのだ。
今現在私は石畳の上に座り必死に火を熾していた。
そう長くはかからず火は熾き、温かい熱が私の身体を暖める。
石畳の上なので直に座ると痛いので、焚火のすぐ近くにかなりの量の草を敷いて座っている。
それに直に座って尻が冷えたらゴロゴロピーになりかねないし。
「とりあえず、食事にしよう」
私の手には枝に刺さったラピスの実があり、実は火の上にある。
凄まじくいい匂いがそこら中に漂っており、空腹の腹から凄まじい音を引き出している。
久しぶりの炙ったラピスの実。
早く食べたいという気持ちを抑えながら焼けるのを待つ私がいた。
「やっぱり美味いなぁ」
焼けたラピスの実を齧りながら空を見上げる。
漆黒の闇がこの焚火の周囲以外に広がっていた。
『……う……ですね……』
ん?
なんか聞こえたような……。
私は手に持ったラピスの実を口に咥え、近くに置いた愛刀を左手に持ち、柄に手をかけ暗闇に包まれた周囲を見回した。
特に何もいない。
ゆっくりと愛刀を地面に降ろし、口に咥えたラピスの実をそのまま齧り火の方へ視線を向けた。
『ごくり』
耳に響く唾液を飲む音。
私はゆっくりと目玉だけを動かし、音の方へ視線を向ける。
視線の先、私の顔のほんの数センチ横に青く薄い透きとおった顔があり、ジッとラピスの実を見つめていた。
「ニュッッ」
『にゅ?』
私の口から出た変な音に真横にいた顔がこちらを向く。
その青白く透明な顔は私の顔とぶつかり、私の顔の中を通り過ぎる。
「にゅぅうわああああぁぁぁぁぁぁ----!」
私は変な声を上げると同時に意識を飛ばした。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
パチパチと薪の爆ぜる音が聞こえてくる。
凄まじい疲れが全身を襲う。
頭を振り、身体を起こす。
どうやら気絶していたようだ。
石畳の上に直接倒れていたようで全身が痛い。
「なんだっ……、たんだ……」
徐々に蘇る記憶。
私の手は自然と自分の左に置いた愛刀へと伸びていた。
愛刀に触れ、掴もうとした瞬間、手の甲に何かが触れた。
『それほど驚かれると辛いものがありますよ……』
ギギギギギ
首から擬音が聞こえてくる。
愛刀へ視線を移すと、握った手の上に青い透明の手が触れている。
そのまま手、腕へと顔ごと視線を動かす。
豊かな胸、美しい鎖骨、細い首、そして整った顔。
そこには半透明の美女がいた。
「はぅあ」
「気絶すな!」
頭に衝撃が走る。
その強烈な一撃に一瞬飛んだ意識は一気に引き戻された。
『まったく、失礼な方。
女子の顔を見て2回も気絶するなんて!』
頭が真っ白な状態の私に半透明の美女が膨れっ面で話しかけてくるのであった。
崩れた屋根のアーキトレーブに残っている女性の胸像の額に紅い何かが光っている。
私はゆっくりと立ち上がり、その場を見渡した。
広さは30m×30m程であろうか。
整然と並んだ石畳の間には雑草すら生えていない。
どれほど精密に繋がれているのだろうか。
視線を目の前の崩れた建物に移す。
一瞬神殿のようにも見えたそれはどちらかと言うと祠という感じだ。
それでもかなりの大きさ。
そしてアーキトレーブに唯一、まともな形で残っている女性の胸像。
胸像を形作る真っ白な石は大理石だろうか?
その女性はこの祠に祭られていた神か何かであろうか?
しかしまあ、美人というか何というか。
表現しづらいな。
私は大きく深呼吸をすると自らの意識に気合を入れる。
鑑定
【失われた大地母神【*?%&#】の祠】
【*?%&#】
神々の母であり
万物の根源であり
魔力であり
信仰無き神
【胸像】
失われた大地母神【*?%&#】のバストアップ
リークヴァメタロ製
紅魔晶石(極大)付き
はぁ。
何というかまあ。
これってルールウより更に上位の存在なんじゃないか?
この世界の神がルールウの上位なのか同等なのか下位なのかは分からないが、それの生みの親って……。
それにこの表記だと【*?%&#=魔力】ということは宇宙そのものということ?
なんかとんでもない存在を発見してしまったような気がする。
しかしこの表記、矛盾があるなぁ。
信仰無き神ということならば誰がこの祠を建てたのだろう?
分からないな。
そしてリークヴァメタロってなんだ?
もう一度気合を入れて。
鑑定
【リークヴァメタロ】
白濁した流体金属
ありとあらゆる現象に対応し無効にできる金属
チートかよ。
持っていけるかな?
で、最後に額の宝石らしきものが魔晶石ね。
魔晶石……、魔晶石って私が埋め込まれたやつか!
しかし、極大ってあるけどどう見ても5cm程度だよなぁ。
綺麗だから欲しいけど触らないほうが良いか……。
私はとりあえず胸像の前に立ち手を合わせる。
「この聖域?に迷い込んでしまった哀れな人間でございます。
あなた様が何というお名前なのか存じませんが、この哀れな人間にこの場の一角をお借りすることをお許しください」
うん。
とりあえず場所を借りたいということを伝えた。
そして腕輪の中からハッカ飴とラピスの実、クルミとどんぐりを取り出す。
「すみません、手持ちの食料がこれしか無いもので……。
このラピスの実、クルミ、どんぐりはこの森で採れたものです。
またこの小さな粒は私が過去存在した世界から持ってきた食べ物です」
私はそれらをティッシュに包んで胸像の前に供え、もう一度手を合わせた。
あ、お金が良かったかな?
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しばらく祈った後、私は一度遺跡から離れた。
水分が足りなくなっていたことを忘れてしまっていたからだ。
1時間後、私はまた遺跡の石畳の上にいた。
今いる所は石畳の中心にある祠からなるべく離れた場所。
そう、ここに拠点を作ることにしたのだ。
今現在私は石畳の上に座り必死に火を熾していた。
そう長くはかからず火は熾き、温かい熱が私の身体を暖める。
石畳の上なので直に座ると痛いので、焚火のすぐ近くにかなりの量の草を敷いて座っている。
それに直に座って尻が冷えたらゴロゴロピーになりかねないし。
「とりあえず、食事にしよう」
私の手には枝に刺さったラピスの実があり、実は火の上にある。
凄まじくいい匂いがそこら中に漂っており、空腹の腹から凄まじい音を引き出している。
久しぶりの炙ったラピスの実。
早く食べたいという気持ちを抑えながら焼けるのを待つ私がいた。
「やっぱり美味いなぁ」
焼けたラピスの実を齧りながら空を見上げる。
漆黒の闇がこの焚火の周囲以外に広がっていた。
『……う……ですね……』
ん?
なんか聞こえたような……。
私は手に持ったラピスの実を口に咥え、近くに置いた愛刀を左手に持ち、柄に手をかけ暗闇に包まれた周囲を見回した。
特に何もいない。
ゆっくりと愛刀を地面に降ろし、口に咥えたラピスの実をそのまま齧り火の方へ視線を向けた。
『ごくり』
耳に響く唾液を飲む音。
私はゆっくりと目玉だけを動かし、音の方へ視線を向ける。
視線の先、私の顔のほんの数センチ横に青く薄い透きとおった顔があり、ジッとラピスの実を見つめていた。
「ニュッッ」
『にゅ?』
私の口から出た変な音に真横にいた顔がこちらを向く。
その青白く透明な顔は私の顔とぶつかり、私の顔の中を通り過ぎる。
「にゅぅうわああああぁぁぁぁぁぁ----!」
私は変な声を上げると同時に意識を飛ばした。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
パチパチと薪の爆ぜる音が聞こえてくる。
凄まじい疲れが全身を襲う。
頭を振り、身体を起こす。
どうやら気絶していたようだ。
石畳の上に直接倒れていたようで全身が痛い。
「なんだっ……、たんだ……」
徐々に蘇る記憶。
私の手は自然と自分の左に置いた愛刀へと伸びていた。
愛刀に触れ、掴もうとした瞬間、手の甲に何かが触れた。
『それほど驚かれると辛いものがありますよ……』
ギギギギギ
首から擬音が聞こえてくる。
愛刀へ視線を移すと、握った手の上に青い透明の手が触れている。
そのまま手、腕へと顔ごと視線を動かす。
豊かな胸、美しい鎖骨、細い首、そして整った顔。
そこには半透明の美女がいた。
「はぅあ」
「気絶すな!」
頭に衝撃が走る。
その強烈な一撃に一瞬飛んだ意識は一気に引き戻された。
『まったく、失礼な方。
女子の顔を見て2回も気絶するなんて!』
頭が真っ白な状態の私に半透明の美女が膨れっ面で話しかけてくるのであった。
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