上 下
22 / 32
元売れっ子?ラノベ作家、異世界へ立つ

旅の準備をしましょう

しおりを挟む
 移動式住居も完成?し、道具も色々と揃った。
遠出に必要不可欠であった水筒も出来た。
食料もラピスの実をかなりの数確保。
群生地を全て掘り返した程だ。
 これに関しては一応プリミティーヴァに採っても良いか確認してある。
本来ならば採りつくすなどは反則なのだが、背に腹は代えられない。
何しろこれからいつ人里へ着くか分からない旅に出るのだ。
用心しすぎる事は無い。

 当然水筒もあるだけ作れば良いのだろうが、流石にそれは自重した。
それにラピスの木が地球にある竹とほぼ同じ性質を持っていると分かったので、木自体も確保しておきたいからだ。
私自体は編み込みは出来ないが、簡単な組み合わせ方は知っているのでこの世界の人類で器用な人に教えて色々と作って貰うつもりだ。
 ラピスの木は50本確保。

 さて、今私は伐採に勤しんでいる。
まずは剣葉けんよう
湖の畔に自生している剣葉けんようを7割ほど刈る。
どのように使うかは分からないがとりあえず確保。

 次に先日見つけていた木々の伐採。
 残念ながらカブラの木とミツの木には手を出していない。
カブラの木は正直近づいただけで痒みが襲ってきたからだ。
何度か見ているので鑑定を使わなくても避けることができるようになった。

 ミツの木に関しては近くに花が無いということなのでらなかった。
何故近くに花が無いかが分かったかというとプリミティーヴァに確認したからだ。
最初は【花?】という感じだったが私から吸収した知識を見たのか、【無いですね】という一言で片付けられた。

 次にモロの木。
試しに1本切って薪にしてみたが、まあよく燃える。
逆に燃えすぎて火力を押さえるのが大変だった。
これは10本ほど確保。
それほど大きな木ではなかったが、薪以外に使いどころを見つけることが出来なかったのでこの本数だ。

 カシの木。
これは20本ほどった。
高さが20mクラスのものからったのでこの本数。
正直でかいよ。
まあ腕輪の容量を圧迫するほどではないが、今後の事を考えてこの数だ。

 コルクガシの木。
正直使い出があるのでこれは30本分。
コルクガシに関しては伐採したわけではなく、幹の表面を剥いでいっただけだ。
だけだと言ってもこれが相当時間がかかった。
何故剥がすだけかというと、確か幹さえ傷付けなければ皮は再生するはずだからだ。

 ウォールナット。
これも20mクラスを20本ほど。
まだまだ余裕はあるが、少し多めに確保したい木があったのでこの数だ。

 そして一番確保したくなったものがカッチの木だ。
これは最初、石斧モドキマジックアイテムれるか試したのだが一発で石斧モドキが壊れるほど頑丈だった。
まあ、鑑定でミスリラやアダマンティンで加工するとあったから当然といえば当然か?
 正直ミスリラやアダマンティンの硬さがどれくらいなのかが分からないので何とも言えないが、特殊加工のようなので硬いのだろう。

 何故れるようになったかというと、八つ当たりが功を奏したのだ。
 石斧モドキマジックアイテムったときの腕の痺れと痛み、思わずリークヴァメタロを刀状に変形させ斬りつけた。
刃渡り2m程のそれはあっさりとカッチの木を切断。
そのまま気絶し、目が覚めた時プリミティーヴァに散々説教された。

 まさかれるとは思っていなかったがれると分かれば欲しくなるもので、5m程の木を50本ほどった。
魔力消費が桁外れでプリミティーヴァに補助を頼んだ。
最初は面倒くさがっていたがハッカ飴の残り全てで釣った。

 ついでに風魔法の風刃と水魔法の水刃ウォーターカッターを試してみたが見事に弾かれた。
これは魔法抵抗能力というより、単純に硬すぎて魔法が貫通できなかったようだ。
ただ、鑑定に出てこないので人里に出たら聞いてみよう。
 収穫だったのはリークヴァメタロがミスリラやアダマンティンと同等もしくはそれ以上の硬さを出すことが出来ると分かったのが収穫だった。
 もっともこの威力は最後の手段としてしか使えないが……。


 そしてマジックアイテムの作成。
 リークヴァメタロはほぼ・・万能であるのだが、常時使うとなると魔力を常に消費するので正直使い勝手が悪い。
鎧に関しては必要最低限の装備ということと、魔力操作の訓練ということで常時展開しているが、普段使いの道具はマジックアイテムを使うことにして量産をした。
まあ、このマジックアイテムは消耗品だしね。

 石斧モドキ、すきモドキ、水筒、梯子、蔦の縄、コップ、石槌、挙句の果てには移動式住居。
そう、移動式住居も湖に沈めた。
 さすがにプリミティーヴァには微妙な目で見られたが、そこはラピスの実を細かく切ったものと胡桃を砕いたものを炒めた食べ物で気を引いた。
 お試しでやってみたのだが、ラピスの実のなんとも言えない美味さと香り、胡桃を焼いた香ばしい香り、食感が合わさって面白い食べ物になり、プリミティーヴァの気を逸らすのに十分なものになった。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 「さて、世話になった」

 私は今まで創ったもの全てを腕輪の中に仕舞いプリミティーヴァと向かい合う。
上半身は胸元から腹、左腕の手首まではリークヴァメタロが変形した鎧状のものに覆われ、左の腰には愛刀が吊るされている。
何故愛刀を装備しているかというとリークヴァメタロの存在を隠すため。
そして左腕だけ覆われているのは、手首に盾があるからだ。
この盾はタワーシールド型ではなくカイトシールド型だ。
もっとも先端の両側には30cm程のスパイクが1本ずつ生えており、シールドアタックが出来るようになっている。
 鎧は作り武器は作らない理由は、鎧から武器が生えているように見えてしまうからだ。
盾に関しては腕に密着していてもそれほど問題は無いが、流石に武器は不味いのでそのように対処した。
この金属?の存在を知られるのは不味いような気がするからね。


 『………………お気をつけて』

 プリミティーヴァがジッと私の目を見る。
私はプリミティーヴァの頭をそっと撫で・・、私が最初に来た方角へと歩き始めた。
方角に理由は無い。
何となくだ。

 『あのっ!』

 プリミティーヴァの声に私は立ち止まる。
振り返るとそこには微妙な表情をしたプリミティーヴァ。

 『少し探ってみたのですが、この森は半径1000kmはあり、その周囲は砂漠です。
歩いて行くなんて自殺行為です。
それよりも人里近くに出る転移門があります』

 ………………転移、門?
聞いてねぇ。
早く教えて欲しかった。

 動きが止まった私にプリミティーヴァは美しい笑顔を浮かべ口を開く。

 『転移門はあの湖・・・ですよ』

 oh……、目の前かい。
 
 orz。
 
しおりを挟む

処理中です...