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元売れっ子?ラノベ作家、異世界へ行く

異世界?にたどり着いたらしい……が?

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 ゆっくりと目を開くと光が目の中に飛び込んでくる。
私は思わず目を閉じた。先ほども全く同じことをしたような気がしたが前回とは違うことがある。

 それは匂いがあるということだ。
風も吹いている。
そして脳の中に響く声ではなく、小さな音が耳に入ってきた。

 「音!?」

 私は思わず身体を起こした。

 目の前に映り込む緑色。
起き上がるために着いた手には土の感触と柔らかい感触が感じ取れた。
ゆっくりと視線を移すとそこには土があり、草が生えている。

 草の感触を確かめながら手を支えに身体を起こし、思わず全身を見た。
 手のしわは消え、腹はへこんでいる。
頬を触ると張りが出ており、無くなりかけていた頭に手をやるとふさふさのものが存在した。

 「ある、あるぞ! 髪が復活した!」

 思わずその場で飛び上がってしまった。
今までの重たい身体が嘘のようだ。
 
 早速改造された身体を動かしてみる。
 身体のキレは地球での最後の時に比べはるかに動く。関節などの負担も全くない。
色々と動いてみた限り、問題どころか十代の頃よりも良い動きをする。
若いころに武術をやったとしたらこのような動きをするのだろうかと思いを馳せてしまった。

 「あ、いかん」

 年甲斐もなくはしゃいでしまった私は慌てて自分の現状を確認することにした。
まずは周りを見渡す。
若返った身体に我を忘れてはしゃいでしまったため、周りの様子が気になったのだ。

 「……どこだよ、ここ」

 私の周囲には10センチほどの草が生えた広場。
そして目の前には鬱蒼うっそうと茂った木々がある。
当然目の前だけではなく自分の周囲全てが森であった。

 先程ルールウといた場所ではない。
空気や雰囲気がまったくの別物だからだ。
悪い意味で。

それに空も普通の空……と言いたいところだが木々の隙間から青空が僅かに見える程度。

 つまり、すでに異世界に降ろされたということだろう。
説明も無しに……。

まあ、百歩譲ってそれは良いと思うのだが。

 「ちっくしょー、ルールウっ! せめて人里へ下ろしやがれっーーーー!」

 私は周りを確認もせずに叫んでいた。
八つ当たりなのは分かっているんだけど……、贅沢ぜいたくなのかなぁ……。

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 ひとしきり悪口雑言あっこうぞうごんを叫んだ後、とりあえず気持ちを落ち着け、持ち物を確認することにした。
当然警戒はマックスだ。
 鬱蒼うっそうとした森の中。
先程騒いだせいで何が出てもおかしくないからだ。

 「服は死んだときに着ていたものか……。 そして持ち物は、革の財布に……」

持っていたものは死ぬ前に着ていた服、革の財布、リュック、スマホ、時計、そして……。

 「愛刀がある!」

 そう、売るために持っていた愛刀が地面に転がっていたのだ。
思わず手に取って頬擦ほおずりをしてしまった。

 とりあえず地面が濡れていないかを確認し、その場に座る。
今更だが……。
まずは周囲の警戒をするべきだが、気配察知の能力などない。
周囲に気を配りながらの持ち物の確認。

 服は下がオーソドックスなジーンズに上はTシャツに厚手のトレーナー、そして革のジャケットだ。
寒がりなんだよね。
ちなみにファッションセンスはゼロだ。

で、靴は軍用のアンクルブーツ、鉄板入り。

 次に財布。
 これは正直期待はしていなかった。何しろ服などもそのままである。
当然中身も円だと思っていたのだが……。

 「なんだ、こりゃ?」

 財布には板が数枚と硬貨が数枚入っていた。
 私は思わす財布をひっくり返し中身をまじまじと見る。金色の硬貨、銀色の板と銀色の硬貨、そして鉄のような色をした板と硬貨が入っていた。

「う~ん、材質は金と銀、それと鉄のような気がするのだが……」

そしてふと思い出す。

「そうだ、鑑定を使ってみよう。
この程度なら大丈夫だろう、鑑定!」

と同時に目の前に文字が浮かび上がった。
日本語である。

金貨 1枚
銀板 5枚
銀貨 2枚
鉄板 8枚
鉄貨 9枚

 あ~、ファンタジーだ。
私は思わず呟いてしまった。
しかし定番の銅がないな。
この世界の貨幣はこれだけかな?
 貨幣に疑問を持って考えていると、次に貨幣の価値が浮かび上がってくる。

どうやら

金版=1,000,000円
金貨=100,000円
銀板=10,000円
銀貨=1,000円
鉄板=100円
鉄貨=10円

らしい。

ご丁寧な変換で……。

 これは自分の財布に入っていた金額をそのまま当てはめただけだが間違いはないだろう。
ルールウさんや、そこは増やしてくれていてもヨカッタノデスヨ。

 問題はどれくらいの物価なのかと、……使うところが近くに無いことだろう。
とりあえず出したお金をすべて財布へとしまい次に移ることにした。
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