77 / 135
第2章4部
卵たちの意地
しおりを挟む
「All Element 土精霊ッ! 造形 剣客ッ!!」
土がジェシドの手の中で、その形を鋭い剣へと変えていく。
黄土色の硬質な刃がゆらりと揺れると、それをイカゲに向かって思い切り振り下ろした。
しかしイカゲはいとも簡単にそれを避け、瞬時に鎖を発現させるとジェシドを薙ぎ払った。
両手で剣を持つジェシドは、かろうじてその鎖を剣で受け止める。しかしそれは素人から見ても明らかに不慣れな動きだった。
「おや、お話は終わりですか?それならちょうどよかった。そろそろ、あなたたちを殺して、愛する人の元に戻りたいと思っていたところですっ!!」
イカゲは身体から伸びる鎖を器用に操らせた。撓る鎖からヒュッと空気が切れる音がする。
「わわっ・・・!!」
打ち付けられる攻撃にジェシドは無意識に身体を守ろうとする。しかしイカゲが繰り出す早い攻撃に、身体が付いていかなかった。
ガキィィィィン!と、金属音のぶつかる音が辺りに響き余韻を残してゆく。しかしそれはジェシドが豪快に飛ばされたことで不自然に途切れた。
「ぐっ・・・!」
慌てて身を起こすと、握っていた剣が無い。衝撃で遥か遠くに飛ばされた剣を諦め、もう1度発現する。
「造形 剣客・・・」
ゆっくりと手の中に発現された剣は震えていた。重たい衝撃を受け止めた反動もあるが、対峙したことのない強大な敵を前に本能が慄いているのだろう。
その様子にイカゲは笑いが止まらなかった。
「はははははははっ!!腰が引けてますよ!大丈夫ですか?」
「う、るさいっ・・・!」
再び剣を両手で持ち、腰を低く構える。
「うわぁぁぁぁぁっっ!!!」
剣を引いたまま思いきり突進するも、震える足のせいでもつれそうになる。それでもジェシドはイカゲに向かって剣をぶんぶんと振り回した。
イカゲは軽くステップを踏むようにその攻撃を回避する。完全に遊ばれている状態だ。
「無駄なことを・・・。自分で発現した魔法でさえ扱えていないじゃないですか。」
そんなこと自分が1番分かっている。
剣を振るうジェシドは、震えを止めようと両腕に力を込める。しかし、まったくうまくいかない。
「はははははっ!!!震えていますよっ!みっともないですね!!」
一方でイカゲの身体から伸びた鎖は容赦なくジェシドに襲いかかった。
薙ぎ払おうと必死に剣を振るが、ジェシドの拙い剣術では手も足も出なかった。
「・・・ぅぅ、っっ!!!」
重く冷たい鎖はジェシドの身体に何度も直撃する。その度に漏れる低い悲鳴は、ジェシドのせめてもの抵抗だった。
何度も弾き飛ばされ倒れ込むジェシドだが、決して起き上がることを止めようとしない。
重たい体を剣で支え、引きずり上げるように両腕に力をいれる。
ポタリポタリと落ちる血が、足元で不規則な跡を残していく。鎖で打ち付けられた傷が燃えているように熱く疼いた。
「しつこいですね。あなた、戦闘タイプじゃないでしょう。とっとと諦めたらどうですか?すぐにお仲間も一緒に殺して差し上げますから。」
イカゲはボロボロのジェシドを憐みの目で見た。
「はぁ・・・はぁ・・・確かに、僕は戦いが得意じゃ、ない・・・」
「ええ。振る舞いで分かります。」
「はぁ、はぁ・・・それでも・・・諦める、わけには・・・」
「無駄ですよ。弱いあなたが残ったことで完全に詰みです。」
「お前の、その薄汚い口から・・・出た情報は、必ず、持ってか・・・える・・・」
イカゲはピクリと顔を動かす。
「・・・なんですって?」
ゆっくりと顔を上げたジェシドは、にやりと笑った。
「ペラペラ、ペラペラと・・・。お前は、よっぽど、頭が悪いものと、混ぜられたんだろうなっ!!」
イカゲの身体から炎を纏った鎖が猛スピードで突出する。
「造形ッ! 岩壁ッ!」
しかし強固に作られた土壁は、イカゲの怒りの鎖を見事に弾いた。
そして、すかさず弾かれた鎖を素手でガッツリと掴み取った。
「なっ・・・!」
鎖を掴まれたイカゲは身体をふらつかせ身をよじる。これでは自由に動けない。
一方で、ジェシドはあまりの鎖の熱さに、声を上げそうになるのを必死に抑えていた。腹の底に溜まっていた憎悪をぶつけるように、息を細く吐き出す。
「ぅぅっ・・・・・っ、確かに僕は弱い・・・それでも・・・僕には僕の戦い方が、あるっ!!」
ジェシドは更に力を込め鎖を思いきり引っ張った。
「な、何をっ・・・?!」
「どんなに、泥臭くても、どんなに、不格好でも、いいっ・・・!」
手の皮がズルリと剥ける感触がある。既に痛さは感じない。ただただ、熱さだけを感じた。
「後輩が命を張っているのに、先輩が命を削らないでどうすんだぁぁぁぁっっ!!!」
渾身の力で引っ張られたイカゲは前のめりに倒れると、そのままズルズルと引きずられていく。
「くっっ!!は、離しなさい・・・・!」
しかしジェシドは意地でも鎖を離さなかった。イカゲに繋がる鎖を一心不乱に巻き取っていく。
「さすがっす、先輩。」
そこに赤い閃光が走った。
炎の拳が、派手な音と砂煙を巻き上げ炸裂する。それは、子どもたちを閉じ込めていた土の檻を粉々に粉砕した。
「なっっ、なにをっ・・・!!何をしているっ・・・・!?」
(わざと私の気を引いて、檻から遠ざけたのかっっ!!)
イカゲは必死に身体をよじり、自由を奪う鎖を外そうとした。しかし、ジェシドがそれを決して許さなかった。
「はな、さな、い・・・!!」
「やめろっ!!それに触るなっっ!!」
半狂乱のイカゲをよそに、テオは壊れた檻の瓦礫をどけてやった。
壊れた檻から現れたのは年齢もバラバラな4人の子どもだった。こわごわと顔を出し、誰もが不安な瞳を揺らしている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・逃げるんだ・・・」
震える子どもを前に、既に満身創痍のテオはその場から動くことができずにいた。
自分の背で子どもを隠しながら逃げ道を作ろうするが、子どもたちに動く様子は見られない。急な状況に混乱しているのだろう。
「早く逃げろっ・・・!」
声を荒らげてはいけないと分かっていてもそこまでの余裕が無かった。
案の定、子どもたちはビクリと身体を強張らせる。ジェシドがイカゲの変化に気づいたのはその時だった。
(なんだ・・・?急に静かに――)
倒れたままのイカゲから、昏く低い声音が聞こえる。どうやら、ぶつぶつと何かを呟いているようだ。
「なにを・・・せっかく・・・素材・・・やっと・・・情報・・・会える・・・」
「何を、言って・・・」
「素材・・・帰る・・・会える・・・認めて・・・会える・・・情報を・・・私を・・・見て・・・」
ジェシドはハッとする。その瞬間、頭に重い衝撃が走った。
「がっ・・・」
脳が揺れ視界が霞む。イカゲの身体から伸びたもう1本の鎖が、ジェシドの頭に直撃したのだ。
「情報・・・許さ・・・素材・・・もう・・・逃さな・・・許さ・・・」
力の抜けたジェシドとの鎖を外し、イカゲはゆっくりと立ち上がった。
「くそっ・・・!頼む、早く行くんだ!逃げてくれっ!」
テオは必死に説得を試みた。
「あいつに捕まったら酷い目に遭うんだっ!だから早くここから逃げるんだっ!早くっ!!」
しかし、こわごわとお互いの反応をうかがう子どもたちに、テオの願いは届きそうにない。
イカゲが虚ろな様子で手を伸ばし、ゆっくりと距離を詰めていく。それは明らかに子どもたちに向いていた。
「もう・・・もう1度・・・つか・・・捕まえ・・・早く・・・素材・・・情報・・・」
明らかに尋常ではないイカゲの様子に、再び子どもたちが硬直する。
「生き・・・もう1度・・・捕まえる・・・そう・・・足を折って、動けなく・・・」
「逃げろっ!!早くっ!!」
「っ・・・もう1度・・・捕まえるっ!!」
イカゲが発現した鎖が真っ直ぐに子どもたちの元へ伸びていく。
テオは重い体を引きずり子どもたちの前に飛び出した。そしてイカゲの鎖を一身に受け止めた。
「ぐぅぅぁぁっ・・・!!」
突出された攻撃はテオを弾いてゆく。
それでもテオは両手をいっぱいに広げ、イカゲの前に立ちふさがった。
「お前、邪魔だっっ!お前だ、お前ぇぇぇっ!!!」
何重もの鎖がまるで生き物のように伸びるとテオの両手を縛り、首に巻きついた。
ジャラジャラと地を這う鎖が近くの樹を伝う。そしてあっという間に、テオは太い幹に両手首を縛られた状態で吊るされてしまった。
テオは鎖を外そうと何度も体をくねらせる。しかし、その度に手首と首に巻き付いた鎖が締まっていくのを感じる。
「うぅっ!!!」
目の前で起こる恐ろしい光景に、子どもたちは静かに涙を流しながら頭を抱え目を瞑るしかなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・檻が壊されてしまいましたか・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・エレメントキューブとやらも、大したことないですね・・・。」
イカゲは上を見上げた。そこには吊るされたテオが、イカゲを睨みながら必死にもがいている。
「ハァ、ハァ、あなた意識があったのですね。先に殺しておけばよかった。
・・・さて、あなたはいつでも殺せます。先に素材を回収しましょうか。逃げられたら面倒ですし。」
視線を下ろせば怯え震える子どもたちが俯いている。
「まぁ、逃げられればの話ですがね。全員足を折って運びましょう。」
「や、やめろっ・・・!」
空気を吐けばさらに鎖が締まっていく。それでも叫ばずにはいられない。
ふぅーっ、ふぅーっと酸素を確保するテオの額には血管が浮き出ていた。
「何を言っているんですか。あなたが檻を壊したせいですよ。」
イカゲはフッと鼻で笑う。そして近くにいる1人の子どもに近づいていった。
「やめろ・・・やめろぉっー!!」
カタカタと震える子どもは全員裸足だった。イカゲが、その細く白い足に手を伸ばした時だった。
「跳長尾驢・・・」
「――ングッ!!!」
そこに現れた1体の式神が思いきりイカゲを蹴り飛ばす。その鍛えられた筋肉より繰り出された攻撃は、イカゲは数メートル先へ吹き飛ばした。
膝と両手を地につけた状態でシリアはゆっくりと顔を上げる。鼻からポタポタと垂れる血が口に入ることも気にせず、必死に声を張り上げた。
「絹江さんっ!!子どもたちを連れて逃げてっっ!!!」
ヒクヒクと鼻をひきつかせながら、絹江さんはシリアの元へ駆け寄ろうとした。
「私はいいのっ!!子どもたちをっっ!!!」
絹江さんは迷っているようだった。両端にいるシリアと子どもたちを交互に見つめている。
吹き飛ばされたイカゲが身体を起こし、軽く首を振る様子をシリアは視界に捉えた。
「行きなさい、絹江っっ!命令よっ!!!」
ビクリと体を震わせた絹江さんは瞳を揺らす。そして踵を返し、子どもたちの元へ大きくジャンプした。そして、動けない子どもたちをひょいひょいと掴みとると、器用にそのお腹におさめていった。
そして1度振り返る。視線の先にいたシリアはコクンと頷いた。
絹江さんはそのしなやかな後ろ足で大きく跳躍する。その姿はすぐに小さくなっていった。
「行かせるかぁぁっ!!!」
子どもたちが連れていかれたことに気付いたイカゲは激昂する。
荒々しく発現した炎の鎖を、猛スピードで絹江さんが消えた方向へ飛ばしていった。
「風弾・・・」
しかし、伸ばされた鎖は風の塊により弾かれ、その軌道を大きく変える。
倒れたまま手だけを伸ばしたオルジの魔法に、イカゲは大きく舌打ちをした。
「どいつもこいつもっ・・・・ふざけた真似をっ・・・!」
すでに絹江さんの気配は消えていた。怒りに満ちたイカゲに、笑い声が降りてくる。
「ははっ・・・ざ、まぁみろ・・・」
状況は芳しくない。それでも、子どもたちを逃がせたことにテオは心から安堵した。
「お、おのれぇぇっ・・・お、おのれぇぇ!!もう、許さんっ!!!」
ブルブルと怒りに震えるイカゲは、左腕を伸ばしテオに繋がる鎖に業火を纏わせる。そして、容赦なく噴出する業火をテオに浴びせかけた。
「あ゛あ゛ああ゛ぁぁっぁ゛ぁぁ!!!!」
「テ、テオォ!!テオォォッ!!」
「テオーーッ!!!!!」
視界に赤く小さな玉のようなものが映っている。ドロリとした感触は、頭から流れる血であり、さらにその小さな玉は睫毛に血の滴が乗っているのだと気が付いた。
真っ赤な世界に、テオが苦痛の表情で叫んでいる。
シリアは泣き叫び、オルジは必死に体を起こそうとしていた。
「ぐっ・・・テ、テオく・・・・」
ジェシドも手を伸ばす。しかし頭の激痛に思わず顔をしかめた。
「もう殺すっ!すぐに殺すっ!!」
「あ゛ぁぁぁぁ゛ぁっっっぁぁぁ!!!!」
「やめてぇぇっっ!!テオが死んじゃう、テオォォォッ、テオォォォッ!!」
「やめろっ!!テオを放せぇぇぇっっ!!」
(くそ・・・テオ君が危ない、のに・・・体が動かな、い・・・僕らが死んだら、子どもたちが、また危険な目に・・・)
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇっっ!!!!」
「テオォォォォォォッ!!」
(動け、・・・動け体・・・動いてくれ・・・頼む・・・テオ君を・・・助けないと・・・動け・・・)
気持ちとは裏腹にジェシドの身体はまったく動かない。ジェシドの意識はすでに限界のところまできていた。
「っ・・・ぅぅ・・・な、さけない・・・体、動いて、頼むから・・・テオ、君・・・みんなを、守りたい、のに・・・」
ガクンと身体の力が抜ける感覚がした。瞼も重い。意識がゆっくりと遠のいていく。
その時、ジェシドの肩にフワリと空気が舞った。ジェシドはゆっくりと目を開ける。それは本当に一瞬の出来事で、混濁した意識が見せた幻聴なのではと疑うほどだった。
しかし、肩に残った暖かい感触と、強い憧れを請う匂い、そして、たなびく赤いリボンで確信へと変わる。
一瞬気が緩み、目頭が熱くなる。喉と鼻の奥がツーンとした。
ジェシドは自分の唇を思いきり噛んだ。ググッと更に力を込めると唇から血が噴き出したが、構わず噛み続ける。
『ジェシド、もう少しだけ、頼む。』
一瞬聞こえた肩越しの言葉をジェシドは瞬時に理解した。
そして朦朧とする意識を覚ますため、わざと自分の身体を痛め続けた。
まるで神風の如く。目的の物を手にしたら、さらにスピードを上げてイカゲの元へ駆けつける。その神速の動きにイカゲは全く気付けなかった。
黄土色の硬質な刃が振り上げられた時、イカゲは剥き出しの殺気にゾクリとした。
躊躇はなかった。思いきり振り下ろした刃は、イカゲの左肩から腕をバッサリと切り落とす。
「え・・・?」
鎖に纏う業火がフッと消えると、キンッ!と金属が弾ける音がした。
放心するイカゲをよそに、テオに巻き付けられた鎖がキレイに両断される。
鎖から解放されたテオを静かに下ろすと、セリカは切っ先をイカゲに向けた。
土がジェシドの手の中で、その形を鋭い剣へと変えていく。
黄土色の硬質な刃がゆらりと揺れると、それをイカゲに向かって思い切り振り下ろした。
しかしイカゲはいとも簡単にそれを避け、瞬時に鎖を発現させるとジェシドを薙ぎ払った。
両手で剣を持つジェシドは、かろうじてその鎖を剣で受け止める。しかしそれは素人から見ても明らかに不慣れな動きだった。
「おや、お話は終わりですか?それならちょうどよかった。そろそろ、あなたたちを殺して、愛する人の元に戻りたいと思っていたところですっ!!」
イカゲは身体から伸びる鎖を器用に操らせた。撓る鎖からヒュッと空気が切れる音がする。
「わわっ・・・!!」
打ち付けられる攻撃にジェシドは無意識に身体を守ろうとする。しかしイカゲが繰り出す早い攻撃に、身体が付いていかなかった。
ガキィィィィン!と、金属音のぶつかる音が辺りに響き余韻を残してゆく。しかしそれはジェシドが豪快に飛ばされたことで不自然に途切れた。
「ぐっ・・・!」
慌てて身を起こすと、握っていた剣が無い。衝撃で遥か遠くに飛ばされた剣を諦め、もう1度発現する。
「造形 剣客・・・」
ゆっくりと手の中に発現された剣は震えていた。重たい衝撃を受け止めた反動もあるが、対峙したことのない強大な敵を前に本能が慄いているのだろう。
その様子にイカゲは笑いが止まらなかった。
「はははははははっ!!腰が引けてますよ!大丈夫ですか?」
「う、るさいっ・・・!」
再び剣を両手で持ち、腰を低く構える。
「うわぁぁぁぁぁっっ!!!」
剣を引いたまま思いきり突進するも、震える足のせいでもつれそうになる。それでもジェシドはイカゲに向かって剣をぶんぶんと振り回した。
イカゲは軽くステップを踏むようにその攻撃を回避する。完全に遊ばれている状態だ。
「無駄なことを・・・。自分で発現した魔法でさえ扱えていないじゃないですか。」
そんなこと自分が1番分かっている。
剣を振るうジェシドは、震えを止めようと両腕に力を込める。しかし、まったくうまくいかない。
「はははははっ!!!震えていますよっ!みっともないですね!!」
一方でイカゲの身体から伸びた鎖は容赦なくジェシドに襲いかかった。
薙ぎ払おうと必死に剣を振るが、ジェシドの拙い剣術では手も足も出なかった。
「・・・ぅぅ、っっ!!!」
重く冷たい鎖はジェシドの身体に何度も直撃する。その度に漏れる低い悲鳴は、ジェシドのせめてもの抵抗だった。
何度も弾き飛ばされ倒れ込むジェシドだが、決して起き上がることを止めようとしない。
重たい体を剣で支え、引きずり上げるように両腕に力をいれる。
ポタリポタリと落ちる血が、足元で不規則な跡を残していく。鎖で打ち付けられた傷が燃えているように熱く疼いた。
「しつこいですね。あなた、戦闘タイプじゃないでしょう。とっとと諦めたらどうですか?すぐにお仲間も一緒に殺して差し上げますから。」
イカゲはボロボロのジェシドを憐みの目で見た。
「はぁ・・・はぁ・・・確かに、僕は戦いが得意じゃ、ない・・・」
「ええ。振る舞いで分かります。」
「はぁ、はぁ・・・それでも・・・諦める、わけには・・・」
「無駄ですよ。弱いあなたが残ったことで完全に詰みです。」
「お前の、その薄汚い口から・・・出た情報は、必ず、持ってか・・・える・・・」
イカゲはピクリと顔を動かす。
「・・・なんですって?」
ゆっくりと顔を上げたジェシドは、にやりと笑った。
「ペラペラ、ペラペラと・・・。お前は、よっぽど、頭が悪いものと、混ぜられたんだろうなっ!!」
イカゲの身体から炎を纏った鎖が猛スピードで突出する。
「造形ッ! 岩壁ッ!」
しかし強固に作られた土壁は、イカゲの怒りの鎖を見事に弾いた。
そして、すかさず弾かれた鎖を素手でガッツリと掴み取った。
「なっ・・・!」
鎖を掴まれたイカゲは身体をふらつかせ身をよじる。これでは自由に動けない。
一方で、ジェシドはあまりの鎖の熱さに、声を上げそうになるのを必死に抑えていた。腹の底に溜まっていた憎悪をぶつけるように、息を細く吐き出す。
「ぅぅっ・・・・・っ、確かに僕は弱い・・・それでも・・・僕には僕の戦い方が、あるっ!!」
ジェシドは更に力を込め鎖を思いきり引っ張った。
「な、何をっ・・・?!」
「どんなに、泥臭くても、どんなに、不格好でも、いいっ・・・!」
手の皮がズルリと剥ける感触がある。既に痛さは感じない。ただただ、熱さだけを感じた。
「後輩が命を張っているのに、先輩が命を削らないでどうすんだぁぁぁぁっっ!!!」
渾身の力で引っ張られたイカゲは前のめりに倒れると、そのままズルズルと引きずられていく。
「くっっ!!は、離しなさい・・・・!」
しかしジェシドは意地でも鎖を離さなかった。イカゲに繋がる鎖を一心不乱に巻き取っていく。
「さすがっす、先輩。」
そこに赤い閃光が走った。
炎の拳が、派手な音と砂煙を巻き上げ炸裂する。それは、子どもたちを閉じ込めていた土の檻を粉々に粉砕した。
「なっっ、なにをっ・・・!!何をしているっ・・・・!?」
(わざと私の気を引いて、檻から遠ざけたのかっっ!!)
イカゲは必死に身体をよじり、自由を奪う鎖を外そうとした。しかし、ジェシドがそれを決して許さなかった。
「はな、さな、い・・・!!」
「やめろっ!!それに触るなっっ!!」
半狂乱のイカゲをよそに、テオは壊れた檻の瓦礫をどけてやった。
壊れた檻から現れたのは年齢もバラバラな4人の子どもだった。こわごわと顔を出し、誰もが不安な瞳を揺らしている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・逃げるんだ・・・」
震える子どもを前に、既に満身創痍のテオはその場から動くことができずにいた。
自分の背で子どもを隠しながら逃げ道を作ろうするが、子どもたちに動く様子は見られない。急な状況に混乱しているのだろう。
「早く逃げろっ・・・!」
声を荒らげてはいけないと分かっていてもそこまでの余裕が無かった。
案の定、子どもたちはビクリと身体を強張らせる。ジェシドがイカゲの変化に気づいたのはその時だった。
(なんだ・・・?急に静かに――)
倒れたままのイカゲから、昏く低い声音が聞こえる。どうやら、ぶつぶつと何かを呟いているようだ。
「なにを・・・せっかく・・・素材・・・やっと・・・情報・・・会える・・・」
「何を、言って・・・」
「素材・・・帰る・・・会える・・・認めて・・・会える・・・情報を・・・私を・・・見て・・・」
ジェシドはハッとする。その瞬間、頭に重い衝撃が走った。
「がっ・・・」
脳が揺れ視界が霞む。イカゲの身体から伸びたもう1本の鎖が、ジェシドの頭に直撃したのだ。
「情報・・・許さ・・・素材・・・もう・・・逃さな・・・許さ・・・」
力の抜けたジェシドとの鎖を外し、イカゲはゆっくりと立ち上がった。
「くそっ・・・!頼む、早く行くんだ!逃げてくれっ!」
テオは必死に説得を試みた。
「あいつに捕まったら酷い目に遭うんだっ!だから早くここから逃げるんだっ!早くっ!!」
しかし、こわごわとお互いの反応をうかがう子どもたちに、テオの願いは届きそうにない。
イカゲが虚ろな様子で手を伸ばし、ゆっくりと距離を詰めていく。それは明らかに子どもたちに向いていた。
「もう・・・もう1度・・・つか・・・捕まえ・・・早く・・・素材・・・情報・・・」
明らかに尋常ではないイカゲの様子に、再び子どもたちが硬直する。
「生き・・・もう1度・・・捕まえる・・・そう・・・足を折って、動けなく・・・」
「逃げろっ!!早くっ!!」
「っ・・・もう1度・・・捕まえるっ!!」
イカゲが発現した鎖が真っ直ぐに子どもたちの元へ伸びていく。
テオは重い体を引きずり子どもたちの前に飛び出した。そしてイカゲの鎖を一身に受け止めた。
「ぐぅぅぁぁっ・・・!!」
突出された攻撃はテオを弾いてゆく。
それでもテオは両手をいっぱいに広げ、イカゲの前に立ちふさがった。
「お前、邪魔だっっ!お前だ、お前ぇぇぇっ!!!」
何重もの鎖がまるで生き物のように伸びるとテオの両手を縛り、首に巻きついた。
ジャラジャラと地を這う鎖が近くの樹を伝う。そしてあっという間に、テオは太い幹に両手首を縛られた状態で吊るされてしまった。
テオは鎖を外そうと何度も体をくねらせる。しかし、その度に手首と首に巻き付いた鎖が締まっていくのを感じる。
「うぅっ!!!」
目の前で起こる恐ろしい光景に、子どもたちは静かに涙を流しながら頭を抱え目を瞑るしかなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・檻が壊されてしまいましたか・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・エレメントキューブとやらも、大したことないですね・・・。」
イカゲは上を見上げた。そこには吊るされたテオが、イカゲを睨みながら必死にもがいている。
「ハァ、ハァ、あなた意識があったのですね。先に殺しておけばよかった。
・・・さて、あなたはいつでも殺せます。先に素材を回収しましょうか。逃げられたら面倒ですし。」
視線を下ろせば怯え震える子どもたちが俯いている。
「まぁ、逃げられればの話ですがね。全員足を折って運びましょう。」
「や、やめろっ・・・!」
空気を吐けばさらに鎖が締まっていく。それでも叫ばずにはいられない。
ふぅーっ、ふぅーっと酸素を確保するテオの額には血管が浮き出ていた。
「何を言っているんですか。あなたが檻を壊したせいですよ。」
イカゲはフッと鼻で笑う。そして近くにいる1人の子どもに近づいていった。
「やめろ・・・やめろぉっー!!」
カタカタと震える子どもは全員裸足だった。イカゲが、その細く白い足に手を伸ばした時だった。
「跳長尾驢・・・」
「――ングッ!!!」
そこに現れた1体の式神が思いきりイカゲを蹴り飛ばす。その鍛えられた筋肉より繰り出された攻撃は、イカゲは数メートル先へ吹き飛ばした。
膝と両手を地につけた状態でシリアはゆっくりと顔を上げる。鼻からポタポタと垂れる血が口に入ることも気にせず、必死に声を張り上げた。
「絹江さんっ!!子どもたちを連れて逃げてっっ!!!」
ヒクヒクと鼻をひきつかせながら、絹江さんはシリアの元へ駆け寄ろうとした。
「私はいいのっ!!子どもたちをっっ!!!」
絹江さんは迷っているようだった。両端にいるシリアと子どもたちを交互に見つめている。
吹き飛ばされたイカゲが身体を起こし、軽く首を振る様子をシリアは視界に捉えた。
「行きなさい、絹江っっ!命令よっ!!!」
ビクリと体を震わせた絹江さんは瞳を揺らす。そして踵を返し、子どもたちの元へ大きくジャンプした。そして、動けない子どもたちをひょいひょいと掴みとると、器用にそのお腹におさめていった。
そして1度振り返る。視線の先にいたシリアはコクンと頷いた。
絹江さんはそのしなやかな後ろ足で大きく跳躍する。その姿はすぐに小さくなっていった。
「行かせるかぁぁっ!!!」
子どもたちが連れていかれたことに気付いたイカゲは激昂する。
荒々しく発現した炎の鎖を、猛スピードで絹江さんが消えた方向へ飛ばしていった。
「風弾・・・」
しかし、伸ばされた鎖は風の塊により弾かれ、その軌道を大きく変える。
倒れたまま手だけを伸ばしたオルジの魔法に、イカゲは大きく舌打ちをした。
「どいつもこいつもっ・・・・ふざけた真似をっ・・・!」
すでに絹江さんの気配は消えていた。怒りに満ちたイカゲに、笑い声が降りてくる。
「ははっ・・・ざ、まぁみろ・・・」
状況は芳しくない。それでも、子どもたちを逃がせたことにテオは心から安堵した。
「お、おのれぇぇっ・・・お、おのれぇぇ!!もう、許さんっ!!!」
ブルブルと怒りに震えるイカゲは、左腕を伸ばしテオに繋がる鎖に業火を纏わせる。そして、容赦なく噴出する業火をテオに浴びせかけた。
「あ゛あ゛ああ゛ぁぁっぁ゛ぁぁ!!!!」
「テ、テオォ!!テオォォッ!!」
「テオーーッ!!!!!」
視界に赤く小さな玉のようなものが映っている。ドロリとした感触は、頭から流れる血であり、さらにその小さな玉は睫毛に血の滴が乗っているのだと気が付いた。
真っ赤な世界に、テオが苦痛の表情で叫んでいる。
シリアは泣き叫び、オルジは必死に体を起こそうとしていた。
「ぐっ・・・テ、テオく・・・・」
ジェシドも手を伸ばす。しかし頭の激痛に思わず顔をしかめた。
「もう殺すっ!すぐに殺すっ!!」
「あ゛ぁぁぁぁ゛ぁっっっぁぁぁ!!!!」
「やめてぇぇっっ!!テオが死んじゃう、テオォォォッ、テオォォォッ!!」
「やめろっ!!テオを放せぇぇぇっっ!!」
(くそ・・・テオ君が危ない、のに・・・体が動かな、い・・・僕らが死んだら、子どもたちが、また危険な目に・・・)
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇっっ!!!!」
「テオォォォォォォッ!!」
(動け、・・・動け体・・・動いてくれ・・・頼む・・・テオ君を・・・助けないと・・・動け・・・)
気持ちとは裏腹にジェシドの身体はまったく動かない。ジェシドの意識はすでに限界のところまできていた。
「っ・・・ぅぅ・・・な、さけない・・・体、動いて、頼むから・・・テオ、君・・・みんなを、守りたい、のに・・・」
ガクンと身体の力が抜ける感覚がした。瞼も重い。意識がゆっくりと遠のいていく。
その時、ジェシドの肩にフワリと空気が舞った。ジェシドはゆっくりと目を開ける。それは本当に一瞬の出来事で、混濁した意識が見せた幻聴なのではと疑うほどだった。
しかし、肩に残った暖かい感触と、強い憧れを請う匂い、そして、たなびく赤いリボンで確信へと変わる。
一瞬気が緩み、目頭が熱くなる。喉と鼻の奥がツーンとした。
ジェシドは自分の唇を思いきり噛んだ。ググッと更に力を込めると唇から血が噴き出したが、構わず噛み続ける。
『ジェシド、もう少しだけ、頼む。』
一瞬聞こえた肩越しの言葉をジェシドは瞬時に理解した。
そして朦朧とする意識を覚ますため、わざと自分の身体を痛め続けた。
まるで神風の如く。目的の物を手にしたら、さらにスピードを上げてイカゲの元へ駆けつける。その神速の動きにイカゲは全く気付けなかった。
黄土色の硬質な刃が振り上げられた時、イカゲは剥き出しの殺気にゾクリとした。
躊躇はなかった。思いきり振り下ろした刃は、イカゲの左肩から腕をバッサリと切り落とす。
「え・・・?」
鎖に纏う業火がフッと消えると、キンッ!と金属が弾ける音がした。
放心するイカゲをよそに、テオに巻き付けられた鎖がキレイに両断される。
鎖から解放されたテオを静かに下ろすと、セリカは切っ先をイカゲに向けた。
0
あなたにおすすめの小説
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~
田尾風香
ファンタジー
ある日、リィカの住む村が大量の魔物に襲われた。恐怖から魔力を暴走させそうになったとき前世の記憶が蘇り、奇跡的に暴走を制御する。その後、国立の学園へと入学。王族や貴族と遭遇しつつも無事に一年が過ぎたとき、魔王が誕生した。そして、召喚された勇者が、前世の夫と息子であったことに驚くことになる。
【改稿】2026/01/01、第一章の36話までを大幅改稿しました。
これまで一人称だった第一章を三人称へと改稿。その後の話も徐々に三人称へ改稿していきます。話の展開など色々変わっていますが、大きな話の流れは変更ありません。
・都合により、リィカの前世「凪沙」を「渚沙」へ変更していきます(徐々に変更予定)。
・12から16話までにあったレーナニアの過去編は、第十六章(第二部)へ移動となりました。
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる