幻惑の令嬢と公爵の魔犬たち:家畜に堕ちた令嬢

第4話 風呂場の屈辱

アリシアが「クロエ」としての生活に徐々に慣れ始めた頃、彼女の苦悩は日々積み重なっていった。犬としての訓練や散歩の屈辱は、彼女の心を押しつぶし、次第に無力感が心に根を張っていった。彼女は隷属の首輪により、公爵の命令に逆らえず、逃げることもできない。すべての希望が奪われた状態で、アリシアはただ耐えるしかなかった。

ある日のことだった。アリシアは公爵の屋敷の中庭で、他の犬たちと遊ぶふりをして過ごしていた。

彼女は心の中で自分が人間であることを繰り返し念じながらも、犬としての生活に順応する自分がいることを感じ、絶望感を募らせていた。

そんな彼女に、さらなる試練が待っていた。メイドの一人がクロエを呼び寄せ、優しく頭を撫でながら言った。

「クロエ、お風呂の時間よ。」

その言葉に、アリシアの心臓が凍りついた。彼女の心の奥底で、激しい羞恥心と恐怖が湧き上がってきた。しかし、彼女は従わなければならなかった。隷属の首輪が、彼女の意志を完全に抑え込んでいたのだ。

メイドに促され、アリシアは浴室へと連れて行かれた。広々とした大理石の浴室は、貴族の家にふさわしい豪華さを誇っていたが、アリシアにとってはまるで処刑台に向かうかのような思いだった。浴槽にはすでに温かい湯が張られ、メイドたちは手早く準備を整えていた。

アリシアは人間の体を持っていることを忘れられない。見た目は犬だが、肉体はそのまま人間のままで、犬の様に見えているというだけだった。そのため、彼女は自分が洗われるという行為が、どれほど屈辱的であるかを深く理解していた。

「さあ、クロエ。綺麗にしてあげるわね。」

メイドは微笑みながら、丁寧に彼女の「毛並み」を洗い始めた。アリシアは動くことができず、ただその行為に耐えるしかなかった。メイドの手が自分の身体を撫でるたびに、彼女は羞恥心で体が震えるのを感じた。彼女の心は、まるで引き裂かれるような痛みで満たされていった。

「毛が柔らかくて素敵ね。まるで絹のようだわ。」

メイドの無邪気な言葉が、彼女の心にさらに深い傷を刻んだ。アリシアは、見た目が犬であるために、誰も自分の本当の姿に気づかないことを理解しつつも、この状況が終わらないことへの絶望に囚われた。

時間が経つにつれ、メイドたちは彼女の全身を丁寧に洗い終わり、毛並みを整えた。アリシアはその間ずっと、自分の人間としての尊厳が失われていくのを感じ続けていた。何もできない無力さが、彼女をさらに深い絶望へと追いやった。

「もうすぐ終わるわよ、クロエ。いい子ね。」

メイドたちは、アリシアがどれほどの苦しみを味わっているかなど知らず、彼女を褒め、優しく撫でながら、最後の仕上げをしていった。彼女の体は、見た目だけでなく、すべての意味で犬として扱われていた。

ようやく浴室での試練が終わり、アリシアは浴槽から出された。メイドたちは彼女の体をタオルで優しく拭き、乾かし終えると、彼女を公爵のもとへと連れて行った。

アリシアは疲れ果て、精神的にも肉体的にも限界に達していた。しかし、公爵の前では何もなかったかのように振る舞わなければならなかった。彼女の心は絶え間ない葛藤で揺れていたが、隷属の首輪によってその葛藤は抑え込まれ、彼女はただ従順な犬として振る舞うしかなかった。

「クロエ、お前は本当に特別な犬だ。」

レオニード公爵は、彼女を優しく抱き上げ、その瞳を見つめた。その瞬間、アリシアは彼の言葉に少しの救いを感じたが、それは長続きしなかった。彼女が完全に犬として生きることを強いられているという現実が、再び彼女の心を覆った。

こうして、アリシアの屈辱と苦しみに満ちた風呂場での体験は終わり、彼女は再び公爵の側で犬としての生活に戻ることとなった。しかし、その経験が彼女の心に刻んだ傷は、決して癒えることはなかった。