堕ちた令嬢と冥界の契約

第17話 屈辱の命乞い

オークの巨大な手に捕らえられたクロエ・ハートフィリアは、冷たい汗が体を流れ落ちるのを感じながら、どうすればこの窮地を逃れられるかを必死に考えていた。彼女の不可視化の魔法は、オークの鋭い嗅覚の前ではまったく効果を発揮しなかった。スケルトンたちも瞬時に破壊され、彼女は完全に無防備な状態でオークに捕まっていた。

「こんな……私が……」

クロエの心は絶望に支配されていた。自信を持って臨んだこの冒険は、思わぬ形で終わりを迎えようとしている。オークは力強い手で彼女をしっかりと握りしめ、彼女の苦しげな表情を楽しんでいるかのように見下ろしていた。

「助けて……誰か……」

だが、森の中に彼女の声が届く者はいない。孤立したクロエは、何とかしてこの状況から脱出しようと足掻いたが、オークの力はあまりにも強大だった。体を押さえつけられ、逃げることも戦うこともできない。

絶望が頂点に達した瞬間、クロエの中で一つの思いが芽生えた。命だけは助かりたい――この強い本能が、彼女を屈辱的な行動に駆り立てた。

「……お願い……何でもする……命だけは……助けて……」

クロエは苦しげに顔を上げ、震えながらオークに向かって命乞いをした。普段の誇り高い彼女からは想像もつかない、屈辱的な懇願だった。だが、クロエにとってはこの状況で命を守るためには、プライドを捨てる以外に選択肢は残されていなかった。

オークは、クロエの命乞いを聞きながら、彼女の体をしばらく見下ろしていた。彼の顔には、邪悪な笑みが浮かんでいた。クロエの懇願が、彼の欲望を満たす手段として捉えられたのは明白だった。

「グルゥ……」

オークは低く唸り声を上げ、クロエをさらに強く握りしめた。彼の手の力が増し、クロエの体がさらに締め付けられる。痛みに耐えながら、クロエは再び声を振り絞った。

「お願い……本当に何でもします……だから、命だけは……！」

彼女の声は震えていた。普段の自信に満ちたクロエとはまるで別人のように、必死で命を守ろうとしていた。屈辱と恐怖が彼女の心を支配していたが、それでも何とか生き延びたいという気持ちが勝っていた。

オークはしばらくの間、クロエの言葉を吟味するかのように無言で彼女を見下ろしていた。彼の目には冷酷さが宿り、彼女の命乞いを聞いて楽しんでいるかのようだった。

やがて、オークはゆっくりと彼女を地面に下ろした。だが、手はまだ彼女を掴んだままだ。クロエはオークの意図を理解し、恐怖で心臓が高鳴るのを感じた。

「……わかった……お前は俺のものだ……」

オークの粗雑な声が響く。彼はクロエを奴隷として扱うつもりだった。彼女の命は助けられたが、その代わりに自由を失うことになる。クロエはその現実を受け入れざるを得なかった。

「……分かりました……何でもします……」

クロエは涙をこらえながら、小さな声で答えた。彼女の体は震えていたが、命だけは助かったという事実に安堵していた。彼女の中で、自分の誇りが崩れ去る音が聞こえるようだったが、それでも生きるためには仕方がないと自分に言い聞かせた。

その日から、クロエはオークの奴隷として扱われることになった。彼女はかつての貴族としての生活からは想像もつかないほどの屈辱的な境遇に追いやられた。オークの命令に従い、彼の身の回りの世話をしながら、毎日を過ごさざるを得なかった。

「これが……私の選んだ道なの……？」

クロエは自分に問いかけながら、屈辱に耐え続けた。