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第21話 地下迷宮
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イステリア王国の地下には巨大な下水道が張り巡らされており、かつて存在したダンジョンへと繋がっている。
その余りの広さと複雑さから、地下迷宮とも呼ばれており、一度迷い込むと、2度と出られないとも言われていた。
だが、下水道の清掃は、王都の生活を維持する上で必要な仕事であり、誰かがやらなければならない。
しかし、地下迷宮は、魔物が棲みついている危険な区域であり、清掃の仕事は冒険者ギルドに依頼されていた。
当然、汚い下水道で、魔物とも戦わなければならない危険な仕事を受けたがる冒険者はいない。
公共事業に近い国の依頼だが、予算は少なく、報酬も低いので、長らく放置されていた。
「下水道の清掃なんて・・・私にピッタリな仕事ね」
クロエは、暗い下水道の中を歩いていた。
隣を汚水の川が流れており、糞尿の臭いが充満している。
明かりは無いので、魔導式携行灯を持って、辺りを照らしながら進んで行く。
クロエが受けた依頼は、下水道の清掃だが、棲みついている魔物を討伐すると追加報酬が貰える。
「・・・早速お出ましね」
通路の向こう側から現れたのは、悪魔の鼠と呼ばれるネズミ型の魔物だった。
体調は1m程度だが、素早い身のこなしと、鋭い牙と爪には猛毒がある。
また、ネズミの様に繁殖力が高く、こういった下水道に棲みつき、大量発生する事で嫌われていた。
「ギィー!」
悪魔の鼠は、クロエを見つけた瞬間、襲い掛かってきた。
大量繁殖する代償として、常に食料不足となっている悪魔の鼠は、共喰いは当たり前であり、獲物を見つけたら、容赦無く襲い掛かり、骨まで食い尽くす。
だから、下水道で死んだ場合、痕跡は残らない。
クロエは、腰のダガーナイフを抜き、左手のナイフで悪魔の鼠の牙を防ぐと同時に右手のナイフを悪魔の鼠の心臓に突き刺した。
「ギイッ!?」
一撃で絶命した悪魔の鼠は、地面に横たわる。
悪魔の鼠の死体か魔石を持ち帰れば、パン一つ分くらいの報酬が貰えるのだが、死体には別の使い道があった。
「・・・君達には、働いて貰わないとね」
クロエは、右手に魔力を込めると、下級の擬似魂魄を創り出した。
そして、悪魔の鼠の頭に寄生させる。
「ギイッ!」
クロエのゴーレムとして生まれ変わった悪魔の鼠は、ムクリと起き上がり、主人の命令を待つ。
「じゃあ、この辺の悪魔の鼠を殺し続けてね」
クロエが命じると、悪魔の鼠は、闇の中へと消えて行った。
下水道の清掃は、シエロ王国でも問題となっていたが、クロエが冒険者になった事で解決した。
クロエは、その時と同じ方法を取る事にした。
倒した悪魔の鼠をゴーレムにして、同族を殺し続ける様に命令する。
通常の悪魔の鼠よりも、ゴーレム化した個体の方が力は強く、一定数のゴーレムを下水道に解き放てば、悪魔の鼠の発生を抑制できるのだ。
「これで、悪魔の鼠の問題は解決ね」
だが、下水道にいる魔物は悪魔の鼠だけでは無い。
それに、本来の目的は清掃であり、本番はこれからだ。
クロエは、悪魔の鼠を駆除しながら、地下迷宮の奥深くへと潜って行く。
「ここまで来れば、誰も居なさそうね・・・」
整備されていない下水道の奥には、ヘドロや糞が詰まった溜まり場がいくつも存在する。
そして、そんな場所に必ず居るのか、奴等だ。
泥水の中で蠢くのは、人の手の様な形をした泥の塊であり、汚水から無数の手が生えて、手招きをしていた。
これは、泥の手と呼ばれる死霊系の魔物であり、泥や沼に憑依して、生者を引き摺り込む事で知られている。
泥の手の厄介な点は、物理攻撃が効かないという事だ。
あくまで死霊であり、泥の肉体を破壊して散らしても、何度でも再生してしまう
「・・・凄いこと思い付いちゃったかも」
クロエは、泥の手を倒す方法を思い付き、背筋がゾクッとする様な快感を感じてしまう。
「服は汚れない様にしないとね」
下水道の奥深くで、服を脱いだクロエは、裸で汚水の前に立つ。
汚水から生えた泥の手がクロエを引きずり込もうと手を伸ばしている。
通常は、泥に憑依するのだが、ここは下水道であり、泥の手の素材は糞尿だ。
奴らに触られたらと想像するだけで、背筋がゾワッとして、鳥肌が立つ。
この中に入ったら・・・私は糞尿と同じになれるのかな?
・・・汚されたい。
誰の糞尿かも分からない汚水に塗れて、下水道の汚れの一つになれたら、どれほど惨めで、情けなくなれるのだろうか?
「・・・凄い臭い」
クロエは、そのまま汚水の中へと浸かった。
下半身が汚水に浸かり、足裏にニュルッとした糞尿の感触が気持ち悪い。
ゾゾゾッと背筋が凍りつく様な感覚は、凄まじい快感に変換されて、逝ってしまった。
次の瞬間、大量の泥の手がクロエの身体を鷲掴んだ。
その余りの広さと複雑さから、地下迷宮とも呼ばれており、一度迷い込むと、2度と出られないとも言われていた。
だが、下水道の清掃は、王都の生活を維持する上で必要な仕事であり、誰かがやらなければならない。
しかし、地下迷宮は、魔物が棲みついている危険な区域であり、清掃の仕事は冒険者ギルドに依頼されていた。
当然、汚い下水道で、魔物とも戦わなければならない危険な仕事を受けたがる冒険者はいない。
公共事業に近い国の依頼だが、予算は少なく、報酬も低いので、長らく放置されていた。
「下水道の清掃なんて・・・私にピッタリな仕事ね」
クロエは、暗い下水道の中を歩いていた。
隣を汚水の川が流れており、糞尿の臭いが充満している。
明かりは無いので、魔導式携行灯を持って、辺りを照らしながら進んで行く。
クロエが受けた依頼は、下水道の清掃だが、棲みついている魔物を討伐すると追加報酬が貰える。
「・・・早速お出ましね」
通路の向こう側から現れたのは、悪魔の鼠と呼ばれるネズミ型の魔物だった。
体調は1m程度だが、素早い身のこなしと、鋭い牙と爪には猛毒がある。
また、ネズミの様に繁殖力が高く、こういった下水道に棲みつき、大量発生する事で嫌われていた。
「ギィー!」
悪魔の鼠は、クロエを見つけた瞬間、襲い掛かってきた。
大量繁殖する代償として、常に食料不足となっている悪魔の鼠は、共喰いは当たり前であり、獲物を見つけたら、容赦無く襲い掛かり、骨まで食い尽くす。
だから、下水道で死んだ場合、痕跡は残らない。
クロエは、腰のダガーナイフを抜き、左手のナイフで悪魔の鼠の牙を防ぐと同時に右手のナイフを悪魔の鼠の心臓に突き刺した。
「ギイッ!?」
一撃で絶命した悪魔の鼠は、地面に横たわる。
悪魔の鼠の死体か魔石を持ち帰れば、パン一つ分くらいの報酬が貰えるのだが、死体には別の使い道があった。
「・・・君達には、働いて貰わないとね」
クロエは、右手に魔力を込めると、下級の擬似魂魄を創り出した。
そして、悪魔の鼠の頭に寄生させる。
「ギイッ!」
クロエのゴーレムとして生まれ変わった悪魔の鼠は、ムクリと起き上がり、主人の命令を待つ。
「じゃあ、この辺の悪魔の鼠を殺し続けてね」
クロエが命じると、悪魔の鼠は、闇の中へと消えて行った。
下水道の清掃は、シエロ王国でも問題となっていたが、クロエが冒険者になった事で解決した。
クロエは、その時と同じ方法を取る事にした。
倒した悪魔の鼠をゴーレムにして、同族を殺し続ける様に命令する。
通常の悪魔の鼠よりも、ゴーレム化した個体の方が力は強く、一定数のゴーレムを下水道に解き放てば、悪魔の鼠の発生を抑制できるのだ。
「これで、悪魔の鼠の問題は解決ね」
だが、下水道にいる魔物は悪魔の鼠だけでは無い。
それに、本来の目的は清掃であり、本番はこれからだ。
クロエは、悪魔の鼠を駆除しながら、地下迷宮の奥深くへと潜って行く。
「ここまで来れば、誰も居なさそうね・・・」
整備されていない下水道の奥には、ヘドロや糞が詰まった溜まり場がいくつも存在する。
そして、そんな場所に必ず居るのか、奴等だ。
泥水の中で蠢くのは、人の手の様な形をした泥の塊であり、汚水から無数の手が生えて、手招きをしていた。
これは、泥の手と呼ばれる死霊系の魔物であり、泥や沼に憑依して、生者を引き摺り込む事で知られている。
泥の手の厄介な点は、物理攻撃が効かないという事だ。
あくまで死霊であり、泥の肉体を破壊して散らしても、何度でも再生してしまう
「・・・凄いこと思い付いちゃったかも」
クロエは、泥の手を倒す方法を思い付き、背筋がゾクッとする様な快感を感じてしまう。
「服は汚れない様にしないとね」
下水道の奥深くで、服を脱いだクロエは、裸で汚水の前に立つ。
汚水から生えた泥の手がクロエを引きずり込もうと手を伸ばしている。
通常は、泥に憑依するのだが、ここは下水道であり、泥の手の素材は糞尿だ。
奴らに触られたらと想像するだけで、背筋がゾワッとして、鳥肌が立つ。
この中に入ったら・・・私は糞尿と同じになれるのかな?
・・・汚されたい。
誰の糞尿かも分からない汚水に塗れて、下水道の汚れの一つになれたら、どれほど惨めで、情けなくなれるのだろうか?
「・・・凄い臭い」
クロエは、そのまま汚水の中へと浸かった。
下半身が汚水に浸かり、足裏にニュルッとした糞尿の感触が気持ち悪い。
ゾゾゾッと背筋が凍りつく様な感覚は、凄まじい快感に変換されて、逝ってしまった。
次の瞬間、大量の泥の手がクロエの身体を鷲掴んだ。
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