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第12話 初体験
しおりを挟む獣との交尾は、野生的で荒々しく、クロエの雌の本能を刺激する。
雄に蹂躙される喜び、淫魔として、雄の快楽と精力を搾取する満足感、純潔を獣に奪われる喪失感、そのどれもが甘美な幸福感を与えてくる。
しかし、獣に純潔を奪われたクロエには、血統を重視する王族との結婚は出来ないだろう。
快楽と共に自分の価値が失われていく・・・。
犬に純潔を奪われた事を家族が知ったら、どんな顔をするだろうか?
心配したり、悲しんだりするかな?
手塩にかけて育てた娘を奪われて怒ってくれる?
それとも、恥ずかしくて、世間から隠そうとするだろうか?
いや、厳格で冷酷なハートフィリア家の当主がそんな甘いわけが無いか。
私の意思すら確認せず、王家と政略結婚させる様な親だ。
きっと、私の事を役立たずだと軽蔑して侮蔑するに違いない。
純潔を失った貴族令嬢に、真面な縁談が来ないのは、貴族社会の常識であり、クロエの存在は、ハートフィリア家の汚点だ。
私は、不良品在庫であり、お荷物だ。
ああ・・・自分はなんて無価値なんだろう?
道端の雑草の方が、まだ価値がある。
獣の性欲の捌け口にされるゴミ以下の存在。
こんな汚れた生ゴミを抱きたい人間なんていないだろう。
私には、魔物や亜人の相手がお似合いだ。
愛も尊厳も無い、単なる性欲の捌け口として、快楽に身を任せる。
もう・・・人間には戻れない。
自分が堕ちていく感覚は、浮遊感にも似た気持ち良さがあった。
・・・もう、どうなっても良いや。
クロエは、全ての悩みを快楽の炎に投げ入れて、身を任せる事にした。
「ワフッ!?」
灰色狼の体がビクッと震えるのと同時に、膣内の肉棒が、倍近くに膨張するのが分かった。
「ふグゥッ!?おっきっヒグゥッ!!」
肉棒がギュウギュウに膣内を圧迫し、まるで灰色狼と一つになったかの様な一体感を覚える。
肉棒がビクビクと痙攣し、クロエの胎内へ熱い液体を出した。
「ングッ・・・熱い!」
まるで、お腹の中にお湯を注がれたかの様に身体がカッと熱くなるのが分かった。
ドクドクと大量に出され続ける性液は、クロエの子宮を満たしていく。
膨張した肉棒によって栓をされた膣内は精液で満たされ、クロエのお腹は、妊婦の様に膨れた。
初めて精子を摂取した淫魔の肉体が歓喜しているのが分かった。
生まれて初めて食事をしたかの様にクロエの性器が肉棒に食い付いて離そうとしない。
砂漠でカラカラに渇いた状態で飲む水の様に、精液が身体に染み込み、吸収されて行くのが分かった。
怠かった身体に活力が漲り、枯渇した魔力の泉が湧き出る様に全身に行き渡る。
飢餓状態だったクロエの肉体は、飢えた獣の様に、灰色狼の快楽と精力を吸い尽くしていく。
「ワフッ!?」
淫魔の権能である生命力吸収は、触れるだけでは、それ程生命力を奪う事は出来ない。
しかし、相手が快楽に身を任せ、射精する瞬間は、膨大な生命力が放出される無防備な状態であり、魂まで奪う事が可能だった。
飢えた淫魔の本能が、灰色狼の命を刈り取った。
射精と共に命を出し切った灰色狼は、そのまま地面に横たわった。
「・・・終わったの?」
人生で一度しか味わえない初体験の終わりは、実に呆気なかった。
役目を終えた肉棒が抜けると、ドロっとした白い液体が溢れ出る。
・・・勿体無い。
妊婦の様に膨らんだお腹は、直ぐに元に戻った。
精力を吸収したせいか、細かな擦り傷も瞬時に回復し、肌艶も前より良くなった気がする。
「チッ、随分と時間が掛かったじゃねーか!」
いつから見ていたのだろうか?
木の影から赤帽子が現れた。
「・・・小鬼」
クロエは、まだ終わっていなかった事を思い出した。
元はと言えば、この小鬼に襲われた事が始まりだ。
「これじゃあ、効率悪過ぎんだろ!」
赤帽子は、クロエのお尻を足蹴にして、八つ当たりをする。
「ヒグゥッ! な、何をするんですか?」
クロエは、赤帽子の目的が分からず、困惑する。
「テメェは狩の道具なんだよ!マゾ豚雌奴隷らしく、オークでも旅人でも何でも良いから、誘惑して穴を使わせて、殺せ!」
そう言うと、赤帽子は、灰色狼の死体を引きずって運び始める。
なるほど・・・私を使って狩りをするのが目的だったのね。
クロエは、赤帽子が、なぜクロエを抱かずに放置したのか理解した。
赤帽子は、クロエが淫魔である事を知っていたのだ。
つまり・・・役立たずって事ね。
「じゃあ、最初に小鬼から殺す事にするわ」
赤帽子の誤算は、クロエの力を見誤った事だ。
飢餓状態で弱体化していたクロエを弱いと判断したが、本来のクロエは、火竜を殺せる程の力を有している。
灰色狼の精力を吸収したクロエは、魔力が漲っており、一瞬にして両手を拘束していた縄を解いた。
クリピアスのワイヤーが括り付けられている木の根を魔力の斬撃で破壊し、立ち上がった。
ずっと身体を拘束されていたが、精力を吸って、活性化した肉体は、痛みも無い。
「テメェ!何勝手に拘束を解いてやがる!?」
クロエが勝手に拘束を解いた事に気づいた赤帽子は、怒り狂い、曲刀を構えて襲い掛かる。
「遅いよ」
クロエは、右手を前に翳し、魔力弾を放つ。
圧縮された魔力の塊を放つだけの単純な攻撃だが、膨大な魔力が込められた弾は、赤帽子の頭を吹き飛ばし、血の雨を降らせた。
「・・・温かい」
全身に返り血を浴びて、白雪の様な肌が真っ赤に染まっていく。
小鬼の血が温かく、気持ちが良い。
自分という存在が汚されて行く様な、何とも言えない快感に、クロエは、自分で血を全身に塗りたくり、自慰をした。
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