公爵令嬢の破滅願望:呪われた運命

第5話 山賊との遭遇

クロエはゴブリンとの屈辱的な敗北から立ち直ろうとしていた。彼女は冒険者としての名誉を取り戻すため、何度も自分に言い聞かせたが、心の奥底ではその屈辱が渦巻き、彼女を苦しめていた。

そんなある日、冒険者ギルドに立ち寄ったクロエは、山賊退治の依頼が掲示されているのを目にした。その内容は、周辺の村々を襲撃している山賊の一団を討伐するというものだった。山賊たちは数も多く、組織的に動いているため、討伐には相当な危険が伴うとされていたが、報酬もまた非常に高額であった。

クロエはその依頼を手に取り、決意を固めた。ゴブリンたちとの戦いで失った自信と名誉を取り戻すためには、これほどの挑戦が必要だと感じたのだ。

「これで、すべてを取り戻せるかもしれない…」

クロエは自分にそう言い聞かせながら、依頼を引き受けた。彼女の心の中で再び燃え上がる闘志は、呪いの影響を受けつつも、強大な力を発揮することを期待していた。

数日後、クロエは山賊たちの潜む山へと向かった。険しい山道を進む中で、彼女の心は依然として不安定だったが、それでも前に進むしかなかった。途中、山賊たちが村人から略奪した品々の痕跡や、無残に倒れた犠牲者の遺体を目にするたび、クロエの中で怒りと悲しみが交錯した。

「こんな連中に負けるわけにはいかない…！」

クロエはそう自分に言い聞かせ、山賊のアジトに向かってさらに進んでいった。しかし、彼女はまだ知らなかった。その道の先に、さらなる試練と屈辱が待ち受けていることを。

やがて、クロエは山賊たちのアジトにたどり着いた。崖に囲まれた隠れ家には、数十人もの山賊たちがたむろしており、彼らは皆、粗暴で残忍な笑みを浮かべていた。

クロエは慎重に作戦を練り、魔法の力を駆使して一気に彼らを討伐しようと考えた。だが、先のゴブリンとの戦いで自分がどれほど脆弱であったかを思い出し、不安が心を支配し始める。

それでもクロエは決意を固め、山賊たちのアジトに足を踏み入れた。彼女の魔力が満ちると、雷のような魔法が発動し、数人の山賊たちを一瞬で葬り去った。だが、その瞬間、山賊たちは一斉にクロエに向かって攻撃を開始した。

クロエは必死に応戦したが、数の差は圧倒的だった。さらに、山賊たちは狡猾な戦術で彼女の動きを封じ、魔力の消耗を狙っていた。クロエは次第に追い詰められ、ついには魔力が尽き、身体が思うように動かなくなってしまった。

「まだ…まだ終わらせるわけには…」

クロエは必死に立ち上がろうとするが、山賊たちは容赦なく彼女を打ち倒し、その身体を押さえつけた。彼女はもはや抵抗する力を失っていた。

「命だけは…助けて…お願い…」

クロエは屈辱にまみれた言葉を吐き、山賊たちに命乞いをした。かつての誇り高い公爵令嬢の姿は、もはやそこにはなかった。彼女は自らの命を守るために、何でもすると誓い、無様に屈服したのだ。

「いいだろう。だが、その代償として、お前は俺たちの奴隷として生きるんだ」

山賊の頭領は嘲笑を浮かべながらそう言い、クロエに隷属の首輪をはめた。その瞬間、彼女は完全に彼らの支配下に置かれた。高貴な身分も強大な力も、今や何の意味もなかった。

クロエはその場で無力に跪き、自らが山賊の奴隷となったことを受け入れるしかなかった。彼女の破滅願望は、ついに現実のものとなり、クロエはこれまでにない屈辱と絶望の中に沈んでいった。

「これが…私の選んだ運命…」

クロエは涙をこらえながら、かつての自分を思い出し、その姿がどれほど遠くなったかを痛感した。彼女の新たな人生は、ここからさらに深い奈落へと堕ちていくのだろう。

そして、クロエは奴隷として、山賊たちに従属する日々が始まった。彼女の心に残るのは、破滅への渇望と、屈辱にまみれた未来への恐怖だけだった。